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Twitterホロコースト否定論への反論(26):ホロコーストの偽写真?

目次
1.アウシュビッツのプレートの修正
2.切り離されたクレマⅠの煙突?
3.窓付きガス室のドアがペラペラ?
4.ロイヒターレポート
5.イギリス政府による嘘の疑惑
6.最初のホロコーストの流言
7.アウシュビッツのプール、病院など
8.Arbeit macht frei.
9.ワールド・アルマナックのデマ
10.赤十字統計のデマ
11.赤十字が死の収容所を視察?
12.チャーチル、アイゼンハワー、ドゴールの回想録には書かれていないガス室?
13.エリー・ヴィーゼルはガス室について言及しなかったのか?
14.エリー・ヴィーゼルは偽者?
15.より多くのヴィーゼルもの
16.アウシュビッツの暗号解読
17.生存者はガス室を見たり聞いたりしなかったのか?
18.アンネ・フランクの日記
19.ラッシニエはアウシュビッツのガス室を否定した。それともティース・クリストファーセンか?
20.ラーソンのデマ
21.偽物、信用できない、間違った目撃者
22.ガス室の壁に引っ掻き傷?
23.ダッハウのガス室、ブロシャートの手紙
24.生存者のリーバーマンとアウシュビッツのオーブン
25.ラシャウト文書
26.ホロコーストの偽写真?
27.科学がホロコーストを論破?
28.ブリタニカでガス室についての言及はないのか?
29.リストジェフスキー先生?サイモン・ウィーゼンタールのノルマ?
30.アウシュビッツでは小さな子供や人は仕事に不向き?
31.ユダヤ人はホロコーストについて嘘をつくのか?
32.確定した死亡者数?
33.ヒルバーグと有名な証人は、ツィンデル裁判で嘘つき、詐欺師であることを示したのか?
34.シンドラーのリストはフィクションの話?
35.ブルーノ・バウムはアウシュビッツで偽のプロパガンダが作られたことを認めたのか?
36.変わり続ける収容所の死の犠牲者数?
37.ソ連だけが見つけた死の収容所?
38.リックのホロコースト否定
39. 6桁の刺青でも被害者は600万人?

▼翻訳開始▼

26.ホロコーストの偽写真?

否定派の主張:

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ツイート:ホロコーストの写真(フェイク&オリジナル)
(右側の写真は元ツイートもなく、詳細は判別不能)

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ツイート:最も有名なホロコーストの写真(ブーヘンヴァルト)は加工されていた。なぜ?
ニューヨーク・タイムズ・マガジン 1945年5月6日号
(右側の写真は元ツイートもなく、詳細は判別不能)

簡単な反論:否定派は偽写真の例を提示し、失敗している。

更なるコメント:写真の偽造を証明する最初のステップは、オリジナルとフェイクの両方の出所を明確に特定することである。否定派はこれをしなかったので、ブーヘンヴァルトの写真を除いて、彼の例は単にその理由で却下されることになる。インターネット上のランダムでソースのない加工された写真を見つけることは、インターネット上にランダムでソースのない加工された写真があることを証明するのみで、それ以上のことはない。それでも見てみよう。

最初の画像は、ダッハウの囚人が死体をオーブンに押し込む方法を実演している、解放後の有名な写真である。

https://encyclopedia.ushmm.org/content/en/photo/demonstrating-the-operation-of-the-dachau-crematorium-3

おそらくホロコースト否定論者であろう誰かが、オリジナルが偽物であることを「証明」するために、写真から死体をフォトショップで消したのだ。実際には、この写真はシリーズの一部なのである。

2枚目の写真の多い画像は、これまた出典のない無駄な寄せ集めだが、ほとんどの写真がインターネット上のフォトショップで、おそらく否定派が自ら挑発するために作ったものであることは明らかである。このような写真は、ソ連の工作の例として配布されているが、もちろん、ソ連の資料にはそのような写真はない。例えば、ARCのウェブサイトに掲載されている本物の写真の1枚を持ち出したデマ屋がいる。

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をフォトショップで加工して、このフェイクにした。

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しかし、右下のARCのサインを消していないことから、理論上もソ連の偽物であることはありえないことがわかる。このデマッターはおそらく否定派であり、いずれにせよ、このような明らかに新しくフォトショップ加工された写真のリストを、実際のソ連のフェイクであると偽って広め、否定派をデマッターにしているのは否定派なのである。

ブーヘンヴァルトの写真についての主張は、ここで否定されている。手短に言えば、ニューヨークタイムズ誌は写真から立っている人を消したのである。このことは、元の写真が偽物であることを証明するものではない。ミームの嘘に反して、ニューヨークタイムズ誌はこの写真の最初の出版物ではない。

否定派は、上記の偽写真がまともな歴史研究に使用されたことを証明できない。フォトショップで加工された写真はたいていピンタレストのようなウェブサイトから来たもので、それを見つけても全く何の証明にもならない。

せっかくなので、次の有名な写真の「論破」を見てみよう。

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下に書かれたテキスト:http://www.strangehistory.net/2013/07/28/image-murder-of-woman-and-child-at-ivanhorod/ "まず、公式の話。この写真は、ドイツ兵が東部戦線(あるいはワルシャワ)から郵送し、ワルシャワでポーランドの愛国者がそれを阻止し、ドイツの戦争残虐行為の記録として撮影したものである。写真の裏には「Ukraine 1942 - Judenaktion in Iwangorod [Jewish Action in Ivanhorod]」と書かれている。この写真は、1969年にポーランドで出版された『1939-1945』という数ヶ国語で書かれた本の表紙に初めて掲載された。私たちは忘れていない..."。

まず、写真の下のテキストにあるように、この写真は確かに1942年にイヴァンゴロドで撮影されたものである。写真の裏面は以下の通り(この画像は『Świat - Tygodnik Ilustrowany, 1962』に掲載された)。

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画像提供:wm.

"Ukraine 1942"/"Judenaktion in Iwangorod" (ウクライナ 1942/イワンゴロドでのユダヤ人行動)と書かれている。つまり、トリミングされていない写真の右側に写っているユダヤ人の大量処刑が確かに描かれているのだ(子供を連れた女性がその一人なのか、銃のどれかが彼女に向けられているのかどうかは全く不明である)。ちなみに、この写真も同じ写真家が撮影している(同上)。

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画像提供:wm.

この写真の裏には、"Ukraine 1942"/"Judenerschießung in Gr. Sewastjanowka" (ウクライナ 1942/ビッグセバスティアノフカでのユダヤ人nの射殺; ちなみにこの村はイワンゴロドのすぐ隣)と、イワンゴロドの写真と同じ手書きで書かれている。

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画像提供:wm.

そう、それらはユダヤ人を殺した人たちが撮った写真なのである。

上記のミームの作者は、もちろん基本的な歴史について無知である。犯人は典型的なSSの戦闘服を着ていないと主張しているが、確かに着ていないし、そもそも誰も彼がSS隊員であると主張していない。実際の事実に触れずに藁人形を建てて叩き潰すのは、いかにも否定派の典型である。

銃撃者は、数十万人のユダヤ人を撃つ責任を負っていた秩序警察の典型的な制服を着ている。比較のために、リディツェ大虐殺の文脈で撮影された写真をいくつか紹介しよう。

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出典
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出典

ライフルに関しては、他のライフルとの類似性を指摘することは、その特定のモデルだけがこのように見えるという確信がない限り、議論にはならない。このミームの作者は、それをわざわざ立証しようとはしなかった。

確かに、他のマウザーモデルもこのような感じだった。G24(t)を持っているのかもしれない。

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写真提供:C&Rsenal

つまり、どちらの主張も怠惰な無知に基づくものなのである。

時折、否定派は誤ったラベルや多少レタッチされた写真やコラージュを見つけ、勝利の叫びとともにそれを「フェイク」とレッテルを貼ることがある。しかし、そのような稀な例は、圧倒的多数の良いリンゴの中に常に悪いリンゴを見つけることができるということ以外、何を証明するのかわからない。これまで見てきたように、一部の否定派は写真の捏造に手を染め、本物を撮影し、無茶苦茶な偽物を作って、それを「ホロコースト」の偽物と称して発表しているのである。否定派の論理では、これは否定を否定することになるはずである。

また、否定派が自ら贋作に引っかかることも多い

続きを読む

アンドラーシュ・シラギ「贋作に支えられた贋作の告発。本物のアウシュヴィッツ写真の中傷
ハンス・メッツナー「アウシュヴィッツ野外焼却場写真と修正主義者の偽造疑惑」(日本語訳
ブライアン・ハーモン「悪を見ず:ジョン・ボールの失態の航空写真分析
セルゲイ・ロマノフ 「ツリーハンギングの写真は、やはり偽物ではなかった...。

▲翻訳終了▲

写真が捏造であるとか、キャプションや説明が違うとか、写真はこうした歴史論争ではしょっちゅう槍玉にあげられます。日本の歴史論争だと有名なものでは、以下のような例があります。

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ダウンロード (9)
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これらの写真がどのようなものなのかについては詳しくはここでは語りません。Google画像検索すると色々とサイトが引っかかってくると思うのでそちらで何の画像なのか調べてみて下さい。

昔、南京事件の反否定派の集まるサイトで色々やりとりしていて、あまりにも否定派が写真がどうのとうるさいので、写真を検証する掲示板みたいなのを作ったらどうか?と提案して、作ってもらって色々検証していたことがあります。もう、自分でどれを調べていたのかも忘れましたが、古いアサヒグラフの写真を調べに大きな図書館まで資料をコピーしに行った記憶があります。確かそれを、当時、ネットに上げるためにスキャナーまで買いました。今時スキャナーなんてプリンタに普通に付属してる機能ですけどね。

写真を調べるって、実際やってみると、そう簡単ではなかったですね。例えば、上の写真の一番下で、幼児が線路脇に座って泣いているような写真がありますが、これ、よく見ると線路脇ではなく、プラットホームだったりします(否定派はそれすら見ていなかった)。そして、否定派はこれは単なるプロパガンダ写真であり、幼児をそこに置いて撮影し、日本への非難を意図して演出したものである、というのですけれど、実際にこの幼児、腕を失っている別の写真があるのです。仮にもし演出だとしても、実際に戦争被害者を写したものであり、そこは上海爆撃に遭っているまさにそこを写しているのは否定しようもない事実でもあり、当時、否定派の言い分が理解できなかったのを覚えています。

真ん中の一見、日本軍に連行されている中国人、みたいな写真がありますが、アサヒグラフにあった写真とされ、移動する村民を警護する日本兵、のようなタイトルでした。で、日本の歴史学者である笠原十九司氏が、確か、中国の出版物からこの写真を持ってきて自著に使ったのですが、別の歴史家である秦郁彦氏からアサヒグラフのものである、と指摘が入って写真を変更することになったものです。が、しかしそのアサヒグラフの写真を実際に見てみると、どうも何か変だということに気づいた人がいまして、結論としてアサヒグラフから借用したものではない、と当時ネット上で断定されました。多分、よほどコアな人でないとこれは知らないでしょう。

ちなみに一番上の、『悪魔の飽食』で森村誠一氏が731部隊による人体実験のものだとして使ったとされる写真に関しては、延々と何十年にもわたって日本の右派から「捏造写真だ!」と勝ち誇ったように喧伝され続けていて、未だにあたかも新発見かの如くに言う人がネットでは絶えません。否定派ってほんとに、「捏造」ものが好きなんですね。そのネットでの喧伝行為自体が否定のプロパガンダなのにね。で、プロパガンダが嘘でない場合もあるとうことを、否定派は自ら証明しているのです。どうしてそのダブスタに気づかないのでしょうか。

それにしても、ホロコーストの捏造写真って、どれもこれもヘッタクソですなぁ。一見して何かおかしいとすぐ気づくレベルです。しかし、あのうまくやれば見抜くのが難しいと言われてきたフォトショ加工も、アドビ自体が見抜くツールを作っているそうで、捏造も難しくなってきたかもしれません。

そうだ、戦争写真で有名なものと言えばこのロバート・キャパの写真ですね。

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この写真の真相は別として、いい写真です。ほんとに写真から銃声が聞こえてきます。


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