蜻蛉

自由気ままに思い付きで、note書いてます。主に文章です。自由が一番いいです。でもリベ…

蜻蛉

自由気ままに思い付きで、note書いてます。主に文章です。自由が一番いいです。でもリベラルとは違います。他人に強制はしないから。私の脳内を束縛できる人はいません。

マガジン

  • アーヴィングvsリップシュタット裁判資料

    デヴィッド・アーヴィングvsデボラ・E・リップシュタット裁判資料の翻訳集です。

  • ホロコーストを疑っている人のために

    かつてナチスドイツが行ったホロコーストを「なかった」という人たちがいます。それらの主張の代表的なものを、ある海外サイトを参考に論破する試みです。

  • ポーランドの戦争犯罪証言記録サイトに見る殺人ガスの証言証拠

    ポーランドの戦争犯罪証言記録を公開しているサイトがあり、そこからガス室の証言だけをいくつかピックアップして翻訳し、まとめたものです。

  • アウシュヴィッツの様々な議論

    ホロコースト議論で最も話題になるアウシュヴィッツ収容所についての、こんなのもあるよーという紹介みたいな雑多な情報のマガジンです。

  • マットーニョの『アウシュヴィッツ:その健全な真相』への批判

    イタリア人修正主義者であるカルロ・マットーニョが著した本、『アウシュヴィッツ:その健全な真相』に対する反論記事を翻訳したものです。

最近の記事

アーヴィングvsリップシュタット裁判資料(21):ホロコーストとヒトラー(2)

前回: それでは2回目の翻訳です。 ▼翻訳開始▼ 6.ヒトラーと1937年末以降のユダヤ人迫害の急進化6.1 1937年末までに、拡大主義的な対外政策への移行と同時に、ユダヤ人迫害の新たな、より急進的な段階が始まった。ユダヤ人をドイツから追放するという目標が優先され、これは特に、さらなる差別、直接的暴力の行使、より大きな経済的圧力によって達成されることになった。 6.2 このより急進的な路線は、1937年の帝国党大会でヒトラーが行った強い反ユダヤ主義的演説によって実際

    • アーヴィングvsリップシュタット裁判資料(20):ホロコーストとヒトラー(1)

      ホロコースト否定の議論において、ヒトラーに関する議論はあまりないと言っていいかと思います。強いて言えば、否定派が一つのテーゼのようにして主張する「ヒトラーの命令書がない」がある程度です。他には過去にnoteで起こしてきたヒトラーに関する記事として、以下のものがあります。 ヒトラーに関する議論があまりないのは、一つはヒトラーの命令書が存在しないことは定説側も同意している事項であり、また、ホロコーストの否定論自体に関する議論は、ヒトラー以外の部分で、あまりにも多岐にわたるため、

      • アインザッツグルッペンの証拠:作戦状況報告書ソ連の内容紹介(2)

        追記:紹介している「作戦状況報告書ソ連」の内容は、示しているリンク先の英文テキストから日本語訳にしていますが、元々はイツァーク・アラドらによる『アインザッツグルッペン報告書』から必要部分を手作業で転記入力したもののようで、若干の入力ミス的な誤りを含んでいます。文章にはほぼ誤りはないようで、大意としては問題はないと思いますが、厳密な議論をする場合は、前回記事で紹介してあるアーロルゼン・アーカイブズのサイトなどにある元文書の画像からドイツ語をGoogleレンズなどで抜き出して、翻

        • アインザッツグルッペンの証拠:作戦状況報告書ソ連の内容紹介(1)

          アインザッツグルッペンに関する証拠となる作戦状況報告書ソ連の内容を、この記事では、日本語訳して紹介したいと思います。非常に記事が長くなるため2回に分けます。この作戦状況報告書については、以下で詳しく解説されています。 米軍がドイツから捕獲した作戦状況報告書ソ連(OSR:OPERATIONAL SITUATION REPORT USSR)は、アメリカ国立公文書館(NARA)が所有していたらしいのですが、電子化されているのかどうかもわかりません(どこをどう調べたらいいのかもよく

        アーヴィングvsリップシュタット裁判資料(21):ホロコーストとヒトラー(2)

        • アーヴィングvsリップシュタット裁判資料(20):ホロコーストとヒトラー(1)

        • アインザッツグルッペンの証拠:作戦状況報告書ソ連の内容紹介(2)

        • アインザッツグルッペンの証拠:作戦状況報告書ソ連の内容紹介(1)

        マガジン

        • アーヴィングvsリップシュタット裁判資料
          20本
        • ホロコーストを疑っている人のために
          324本
        • ポーランドの戦争犯罪証言記録サイトに見る殺人ガスの証言証拠
          7本
        • アウシュヴィッツの様々な議論
          63本
        • マットーニョの『アウシュヴィッツ:その健全な真相』への批判
          12本
        • ゲルマー・ルドルフ宣誓供述書への反論
          5本

        記事

          強制収容所10ヶ所(トレブリンカ絶滅収容所を含む)を体験したユダヤ人の囚人の回想手記

          この記事は以下の記事で紹介している、サミュエル・ジルベルシュタインの回想手記を全訳して紹介するものです。 上記の通り、今回翻訳対象とした、ユダヤ人のサミュエル・ジルベルシュタインの戦後の回想手記を、修正主義者のユルゲン・グラーフがその内容をほぼ全く示さずに、「ワルシャワからトレブリンカへ移送されたユダヤ人の囚人が殺されずにマイダネクに移送され、以降も他の収容所計8箇所に移送されたのに生存しているという手記で、トレブリンカが絶滅収容所ではなかった証拠である」のように悪用したの

          強制収容所10ヶ所(トレブリンカ絶滅収容所を含む)を体験したユダヤ人の囚人の回想手記

          アインザッツグルッペンの証拠:アインザッツグルッペンの報告書について。

          ホロコーストは、大雑把に分けると、ユダヤ人犠牲者600万人のうち、その約半数が絶滅収容所で殺され、ゲットーなどで餓死や病死で約100万人が犠牲となり、これも大雑把に50万人程度が強制収容所で殺され、残るざっと100〜150万人程度が、ドイツが支配下に置いた元ソ連地域のユダヤ人を現地で銃殺やガス車などによって殺した、とされます(註:これらの数値は私自身がざっくり認識しているだけのものであり、広く認識されているというようなものではありません)。 このソ連地域でユダヤ人殺戮の主体

          アインザッツグルッペンの証拠:アインザッツグルッペンの報告書について。

          絶滅収容所を通過収容所だとする修正主義説への反論――のための翻訳記事。やっぱりユルゲン・グラーフは「嘘つき」だった。

          さて、日本で、と言うか日本語上でホロコースト否定の議論をする場合、困難な事項として、否定論の論文などで使用されている関連文献の多くを参照・確認できないという問題があります。取り扱われるホロコースト否定派の論文自体はネットで公開されているものも多く、言語の壁を越えられれば参照は比較的簡単ですが、それらで使用されている海外の文献を参照するのはほとんどの場合無理です。日本語訳された書籍も大抵ありません。 従って、例えばAという証言者が、Bという本の中で、Cという証言を行なっている

          絶滅収容所を通過収容所だとする修正主義説への反論――のための翻訳記事。やっぱりユルゲン・グラーフは「嘘つき」だった。

          ポーランドの戦争犯罪証言記録サイトに見る殺人ガスの証言証拠(7)

          久しぶりに、ポーランドの戦後裁判での証言を中心に公開されているChronicles of Terrorから、ガス室関連の証言の続きを翻訳して公開します。前回までで概ね100余の証言を紹介しています。当該サイトには「Witness -> Crimes ->Gas chamber」で検索して、概ね500人(複数回の証言含む)くらいの証言があり、まだまだ紹介できるものがあると以前から思っていて、それらを翻訳しないのは勿体無いと思っていました。「Gas chamber」以外を含めると

          ポーランドの戦争犯罪証言記録サイトに見る殺人ガスの証言証拠(7)

          アウシュヴィッツの「絶滅の痕跡は発見できなかった」とする赤十字の報告書について。

          最近(2024年2月現在)、X方面を中心に、昔の赤十字のある一つの報告書画像がかなりの量、拡散されています。私が最初に見たのは、2023年頃から目につくようになった活発にホロコースト否定を行うアカウントが現れ、そのアカウントが投稿したポストです。多分すでに何回もポストしてるようです。 この文書は見たことがありませんでした。国際赤十字を悪用したホロコースト否定論についてはいくつか記事を、Holocaust Controversiesブログサイトなどから翻訳して紹介したり、自分

          アウシュヴィッツの「絶滅の痕跡は発見できなかった」とする赤十字の報告書について。

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(6)

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(1) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(2) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(3) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(4) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(5) 第5章までやって、もうそれで終わりにしよっかなー、とか思ってました。何故って、この西岡本に反論し続けても、私自身何も得ることがないからです。これまで、海外の記事の翻訳を

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(6)

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(5)

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(1) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(2) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(3) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(4) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(5) ある意味、今まで色々ホロコースト否定論について記事にしてきた中で、最もメンドクサイ作業をしているような気がしてならないシリーズの第5回目です。やり始めても終わらせられな

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(5)

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(4)

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(1) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(2) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(3) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(4) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(5) 今回もかなり長く、三万五千字近くあります。最初は全面反論する気はなかったのですが、ほとんど全面反論になってしまってます。いちいち細かいことを調べる癖もついており、そこで

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(4)

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(3)

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(1) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(2) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(3) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(4) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(5) この本、やたらと「後で述べますが」が多いんですよね。全部読んで欲しいための策略でしょうか? こっちは多くの話題についてはすでに色々と記事にしているので、ネットですからリ

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(3)

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(2)

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(1) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(2) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(3) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(4) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(5) 「第2章「ユダヤ人絶滅計画」は実在したか?」について「ドイツは何をしようとしたのか?」について 西岡はここで以下のようにホロコースト(ユダヤ人絶滅)の定説を定式化しま

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(2)

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(1)

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(1) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(2) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(3) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(4) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(5) 『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(6) 日本語で書かれたホロコースト否定論の著書は、私の知る限り、以下の四つがあります。 木村愛二氏の『ヒトラー

          『アウシュヴィッツ「ガス室」の真実』に真実はあるのか?(1)

          「Vergasung」の意味に関する一つの手紙。

          ナチスドイツは、殺人ガス室を明記した公式文書資料をほとんど残していません。それでも、例えばアウシュヴィッツでの殺人ガス室を含むユダヤ人絶滅の証拠は数多く存在しているのですが、明確な表現で公式書類として文書化されている(例えば「○年○月○日○○○人のユダヤ人をガス室で絶滅した」など)ものはほぼないと言っていいと思います。しかし、アウシュヴィッツに関してはたった一つだけ、親衛隊によるガス室を明記した文書が残されています。 この、1943年1月29日に、アウシュヴィッツの中央建設

          「Vergasung」の意味に関する一つの手紙。