本能寺の変１５８２　その一因　一、土佐の長宗我部　第50話②　天正十年六月二日、明智光秀が織田信長を討った。その時、秀吉は備中高松で毛利と対峙、徳川家康は堺から京都へ向かっていた。甲斐の武田は消滅した。日本は戦国時代、世界は大航海時代。時は今。歴史の謎。その原因・動機を究明する。『光秀記』

その一因　一、土佐の長宗我部　第50話②　

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その一因　一、土佐の長宗我部　第50話②

　【参照】その一因　一、土佐の長宗我部
　【参照】８ 光秀の苦悩　２光秀と長宗我部元親
　　　　　◎第50話②　◎小50②　◎P50②　　通し　第50話　

天正八年１５８０、春。
本願寺が降伏した。
　織田軍の厳重な包囲網に耐え切れず。

　　大坂退散御請け誓紙の事、

信長は、朝廷を利用した。
　仲裁者として。

　　さる程に大坂(石山本願寺)退城仕るべきの旨、
　　忝くも、禁中より御勅使なされ、　

　朝廷は、顕如に真意を尋ねた。

　　門跡・北の方・年寄ども如何あるべきや否やの儀、
　　権門(信長)を恐れず、心中の存知の旨趣、残らず申し出づべきの由、
　　尋ね申さるゝのところに、

　顕如は、重臣たちと話し合った。

　　下間(しもつま)丹後、平井越後、矢木駿河、井上、藤井藤左衛門を
　　初めとして、評諚致し、　

本願寺は、宗門の生き残る道を選択した。
　「講和」　
　すなわち、降伏。
　石山からの退城。
　信長に屈したのである。

　　退屈(籠城に疲れ果てた)の験(しるし)か、
　　又は、世間見究め申すの故か、
　　今度は、上下御一和、尤もと申す事に侯。

　本願寺は、多くの端城を抱えていた。
　顕如は、衆徒の助命をその条件とした。

　　近年、大坂端城五十一ヶ所相抱へ、　
　　上下苦労の者どもに賞禄をこそ宛行(あてが)はずとも、
　　せめての恩に、命を助け申すべき旨、門跡相存知せられ、

顕如は、石山退去の日を定めた。

　　来たる七月廿日以前に、大坂退散に相定む。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(『信長公記』)

ここで、状況が一変した。
　信長が変心したのではない。
　状況が変わったのである。
　
　時は、戦国時代。
　変化に対応できぬ者は、滅び去るのみ。

元親、一歩、及ばず。
　スピード勝負の結果である。

　信長が、速かった。
　本願寺を降す。

　元親が、遅かった。
　阿波の平定、間に合わず。
　四国統一など、まだ先のことであった。

　それだけのこと。

　全ては、元親自身の問題。
　これを、信長に責任転嫁するのは、如何なものか。
　元親が、信長より、迅速であったのならば、・・・・・。

信長は、四国へ目を向けた。
　本願寺が降伏した、今。

先ずは、阿波。
　長宗我部元親と阿波の三好。
　戦争終結へ、となる。

信長は、猜疑心が強い。

元親の軍事力を抑制しようと考えていた。
　すなわち、信長の介入。
　軍事力増強 ＝ 領土拡大 ＝ 他国侵攻 ＝ 戦争の停止。　
　いよいよ、その時が、訪れたのである。

「災いの芽は、摘み取らねばならぬ」
　これが戦国の世の掟。

　となれば、一石二鳥、否、三鳥か。
　信長は、水軍力を強化しようとしていた。
　すなわち、瀬戸内の制海権確保。
　となれば、淡路・阿波・讃岐・伊予の海賊衆。
　これで、阿波のポジションがよくわかる。　

　光秀は、典型的な戦国武将。
　そのことをよく知っていた。

　元親も、また、然り、である。

信長は、誇り高い男。
　命に背けば、殺される。

本願寺を降した男である。
　信長は、実質的な「天下人」。
　最早、この国(日本)に、これに対抗し得る勢力は存在しない。

　⇒　次へつづく

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