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#夕陽海彩の呟き

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日々のちょっとした気付きなどをエッセイ感覚で書いてます
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#夕陽海彩の呟き

在り続けてほしいもの #夕陽海彩の呟き

在り続けてほしいもの #夕陽海彩の呟き

アスファルトが焦げるような昼下がり。

ゆく当てもなく家を出た私は、折角ならば書店でも探そうと、地図を睨みつつ歩いていた。

そしてその場所を見つけた。

目に飛び込んできたのは、
店に収まりきらずに軒先に並べられた本棚と、紐でまとめられた本で足の踏み場もないような店内。

わかりやすい、イメージ通りの昭和の時代の古書店だ。

店には店主らしい男性と、店主と同年輩と思しき先客がひとり。

一見の小

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あの日は見えなかったけれど #夕陽海彩の呟き

あの日は見えなかったけれど #夕陽海彩の呟き

昨日は、私の大学の入学式の日。

私はたまたま、用事で立ち寄った。

目に飛び込んでくるのは、スーツを着た緊張気味な面持ちの新入生たち。
そして誇らしげに隣に立つ父兄の姿。

敷地内の桜の花は、新たなステージに立つ者たちを祝福するように咲き誇っていた。

1年前の私のことを、思い出す。

とにかく必死で、微笑む余裕すらなかったあの日。
入学式の看板の前は長蛇の列で、写真すら撮ってはいない。

あの

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たまには別の場所から #夕陽海彩の呟き

たまには別の場所から #夕陽海彩の呟き

久しぶりに、
実店舗の書店を散策するということをした。

時間のないときにはなかなかできない、
「探している本を買う」のではなく、
「新しい本と出会いに行く」というアクション。

でも、それをしている今、
夕陽海彩は暇に飽き飽きしているのかといえば、
全くもってそうではない。

文化祭公演の脚本家としての仕事

目下の練習中の曲

小説賞に応募するべくブラッシュアップさせたい小説のプロット

やる

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その言葉の行方は #夕陽海彩の呟き

その言葉の行方は #夕陽海彩の呟き

ふとした瞬間に、思う。

いま、ここで感じていることを、
その思いを、景色を感動を、

表す言葉を逃したくないと。

こうしたささやかなエッセイであっても、
それがいつか物語の種になるものであっても、
誰に見せることもなく、ただノートに書くものであっても、

そこに生まれた言葉を残しておきたいと。

でも、心に瞬間浮かんだ言葉は、

忙しさにかまけているうちに、

いつの間にか
砂が指の間から零れ

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年度末の一冊 #夕陽海彩の呟き

年度末の一冊 #夕陽海彩の呟き

数年前から、年度末のこの時期になると自然と手が伸びる本がある。

それは、
香月日輪先生の「妖怪アパートの幽雅な日常」。

学校の図書室で偶然見つけたのがきっかけで、
瞬く間にその世界に魅せられた。

そこには、
理想だけを語らない教えが詰まっていた。

テンポの良い面白さやキャラクターの個性もすてきだったけれど、
何よりも私が惹かれたのは、
物語の至るところに散りばめられたその教示。

何度も読

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作者と出会う場所 #夕陽海彩の呟き

作者と出会う場所 #夕陽海彩の呟き

夕陽海彩です。
テスト期間が終わり、やっとnoteに帰ってきました。
試験や音楽のお話もしたいけれど、それはまた今度。
今日はひとまず、半月ほど前に行った文学フリマのことを書こうと思います。

今回私が行ったのは、文学フリマ京都8。
同人誌や自費出版のことは、
話に聞いたことはあっても実際の会場を覗くのは初めて。
どんなものか、行ってみるまで想像がつかなかった。

元々、私が文フリのことを知ったの

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時の彼方の故郷 #夕陽海彩の呟き

時の彼方の故郷 #夕陽海彩の呟き

私にとっての故郷って、何処だろう

大学の課題を前に、私は考え込んでいた
自分にとっての「故郷」について、英語で紹介文か詩を作らなければならなかったのだ

さあ困った

中学から私立に行って、
地元の人々との付き合いもさしてない私には、
生まれ育った場所への帰属意識など欠片もない

私が懐かしく思うのは、
読書に耽った小学校時代に読んだ本の数々や、
これまでに出会い、関わってきた人たちとの記憶

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時の流れの中に立ち止まって #夕陽海彩の呟き

時の流れの中に立ち止まって #夕陽海彩の呟き

毎日を慌ただしく過ごしていると、
なんとも説明のつかない落ち着かなさを覚えることがある

まるで何かの歯車が少しづつ噛み合わなくなってゆくような

夢を叶えるために
一生懸命に生きているはずなのに、

音楽や、創作活動を頑張っているはずなのに、

気付けば、行動のひとつひとつに、情熱が欠けている

怒涛のように押し寄せる「やること」に追われて、
それを日々、どう「切り抜けるか」に必死になって

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「好き」のフェードアウト #夕陽海彩の呟き

「好き」のフェードアウト #夕陽海彩の呟き

いつの間にか、
あの本を読まなくなった

気がつけば、
もう随分長くこの曲を聴いていない

なぜかもう、
推していたはずの人の写真を見ても、ときめかない

目まぐるしい日々の中で、ふと、そんなことに気がつく瞬間がある

好きが移ろっていることに

でも、何故だろう
「好き」の反対は「嫌い」のはずなのに、
決して嫌いになったわけではないのだ

嫌いになってはいないのに、
もう大好きだという気持ちは湧

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悔し涙は本気の証 #夕陽海彩の呟き

悔し涙は本気の証 #夕陽海彩の呟き

思い通りの結果にならないことが悔しくて、
自分が情けなくて、
涙を流す

テレビで何度も目にし、また私自身も、何度かは経験してきたことだ

そんなとき、泣いている自分が嫌になる

不甲斐ない出来に涙が加わることで
ますます情けなさが増すようで

これがテレビで見る光景だと
何を泣いているのだと
批判の声さえ上がることがある

でも
不甲斐ない結果に涙を流すのは
そのことに対して本気で、
真摯である

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ほしい時と得られる時 #夕陽海彩の呟き

ほしい時と得られる時 #夕陽海彩の呟き

先日、コンサートのリハーサルへ参加するために乗った電車から、観覧車が見えた

こんな場所に何があるのだろう
その辺りの地理に疎い私だったが、その時ちょうど停車した駅名で分かった
それは、幼い頃にいつか行きたいと思っていた、でも当時の私にはとても遠かった遊園地だった

当時、あれほど夢見た場所を、
私は電車に乗って素通りする
全く別な行き先へ向かって

なんだかおかしな心地がした

当時行きたかった

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