徐 航明

中国西安市出身。食文化研究家、立命館大学客員研究員。来日以来、異なる食文化の魅力に惹か…

徐 航明

中国西安市出身。食文化研究家、立命館大学客員研究員。来日以来、異なる食文化の魅力に惹かれ、食文化の研究を始めた。著書:『中華料理進化論』『なぜジョブスはすしとそばが好きか』、コラム:「食の進化」で社会をデザインする(日経クロストレンド)https://bit.ly/3jXsgUa

記事一覧

言語と料理の「創訳」とは

 他国の言語の翻訳について、文章をそのまま訳す直訳と文脈に沿って訳す意訳という二つの基本のアプローチがある。近年では、元の言葉にはない意味合いを創り出す「創訳」…

徐 航明
11か月前
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人間化の機械、機械化の人間

 今年お正月の時、子供にすすめられて、数年ぶりに回転寿司店に行った。回転寿司というと、ぐるぐる回っているお寿司の中から、欲しいモノをすぐ手に取って、安いけれどネ…

徐 航明
2年前
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B級無人店舗:無人餃子店から学ぶこと

 昨年から、「無人餃子店」があちこちに登場して急速に拡大している。  例えば、大阪府内でラーメン店を経営する「大阪ふくちぁん」は24時間営業の餃子無人店を今年2月か…

徐 航明
2年前
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SDGsから思いついた餃子 餃子から思ったSDGs

 餃子とSDGsの相性が凄く良いです。食関連のSDGsの実現には餃子が欠かせないかもしれません。  SDGs(持続可能な開発目標)の17個の目標のうち12個目にある「つくる責…

徐 航明
2年前
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コーヒーから味わうD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)

 ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)という言葉を目にすることが増えているようだ。ダイバーシティ(Diversity)は、「多様性、種々」、インクルージョン(inclusion…

徐 航明
2年前
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買い物が、スーパーから商店街へ変わった理由

 昨年の春から繰り返し出されている緊急事態宣言で、自粛のため在宅勤務時間が随分多くなり、遠いところに行く機会も激減した。そのため、家で料理をする時間と回数がかな…

徐 航明
2年前
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ニシンそばから、歴史を味わう!

 昨年、「世界史を変えた50の食物(邦訳本タイトル)」(Fifty Foods That Changed The Course of History)という本を手にして読んだ時に、国家の運命は食べ物にかかって…

徐 航明
2年前
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言語と料理の「創訳」とは

言語と料理の「創訳」とは

 他国の言語の翻訳について、文章をそのまま訳す直訳と文脈に沿って訳す意訳という二つの基本のアプローチがある。近年では、元の言葉にはない意味合いを創り出す「創訳」が注目されている。一方、二国間における料理の伝播と受容は、本場と違う味や形で「翻訳」されていることも多い。言語と料理、どこか似ているところがあるのだろうか?

「創訳」とは

今年の初めに京都でmorph transcreationの共

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人間化の機械、機械化の人間

人間化の機械、機械化の人間

 今年お正月の時、子供にすすめられて、数年ぶりに回転寿司店に行った。回転寿司というと、ぐるぐる回っているお寿司の中から、欲しいモノをすぐ手に取って、安いけれどネタはいまイチという印象だった。行ってみたら、イメージは一新した。美味しくて種類も凄く豊富だ。それと、味だけではなく、レーンが劇的な進化をしていて吃驚した。
 
 回っているのではなく、寿司の厨房とお客さんを直線の「特急レーン」でつないでいた

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B級無人店舗:無人餃子店から学ぶこと

B級無人店舗:無人餃子店から学ぶこと

 昨年から、「無人餃子店」があちこちに登場して急速に拡大している。
 例えば、大阪府内でラーメン店を経営する「大阪ふくちぁん」は24時間営業の餃子無人店を今年2月から始めて、現在関西エリアでなんと33店舗まで急成長している。

 味はもとより、無人販売店自体が気になる。なぜかというと、「無人」の店舗というと、すぐ思い浮かべるのがアマゾンの「Amazon GO」に代表される、来店客の行動をカメラとセ

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SDGsから思いついた餃子 餃子から思ったSDGs

SDGsから思いついた餃子 餃子から思ったSDGs

 餃子とSDGsの相性が凄く良いです。食関連のSDGsの実現には餃子が欠かせないかもしれません。
 SDGs(持続可能な開発目標)の17個の目標のうち12個目にある「つくる責任 つかう責任」の中で、2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄量を半減させることが、国際的な共通の目標として明確に示されました。日本における目標は、SDGsを踏まえ、食品関連事業者及び家庭から

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コーヒーから味わうD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)

コーヒーから味わうD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)

 ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)という言葉を目にすることが増えているようだ。ダイバーシティ(Diversity)は、「多様性、種々」、インクルージョン(inclusion)は、「包摂、受け入れ」という意味だが、D&Iとは、社会・組織・職場では、多様性を認識するだけではなく、一人ひとりが受け入れ、尊重することによって個人の力が発揮できる環境が整備されていくという考え方だ。なぜそれが必要か

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買い物が、スーパーから商店街へ変わった理由

買い物が、スーパーから商店街へ変わった理由

 昨年の春から繰り返し出されている緊急事態宣言で、自粛のため在宅勤務時間が随分多くなり、遠いところに行く機会も激減した。そのため、家で料理をする時間と回数がかなり多くなり、家の近くのお店に買い物へ行く頻度も増えた。そのため、近所をより広く、深く知ることができた。今まで行く機会が少なかった商店街が好きになり、知らないうちに、買い物場所は今までのスーパーから商店街へ変わっていた。商店街が衰退していると

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ニシンそばから、歴史を味わう!

ニシンそばから、歴史を味わう!

 昨年、「世界史を変えた50の食物(邦訳本タイトル)」(Fifty Foods That Changed The Course of History)という本を手にして読んだ時に、国家の運命は食べ物にかかっていることに驚かされた。そのような食物は北京ダックやハンバーガーなどの料理以外に、小麦粉、ジャガイモなどの食材も含まれている。知っている食物が多いが、全く知らない食物も少なくない、その一つが「塩

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