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買い物が、スーパーから商店街へ変わった理由

 昨年の春から繰り返し出されている緊急事態宣言で、自粛のため在宅勤務時間が随分多くなり、遠いところに行く機会も激減した。そのため、家で料理をする時間と回数がかなり多くなり、家の近くのお店に買い物へ行く頻度も増えた。そのため、近所をより広く、深く知ることができた。今まで行く機会が少なかった商店街が好きになり、知らないうちに、買い物場所は今までのスーパーから商店街へ変わっていた。商店街が衰退しているとよく言われる中で、なぜ、商店街での買い物が好きになったのか?

①  何でもある

 商店街とは、いろんな商店が建ち並んでいる通りという意味で、駅の周辺にあることが多い。都市人口の急増で繁栄した時期もあったが、安売りのスーパーが誕生し、また自家用車の普及により商品を多く扱う大型郊外店に行くことが増えた。、さらに近年のネット通販の急増で、商店街の衰退が止まらないという。しかし、近所の商店街はそうではなく、いつも人が溢れている。その通りはレンガの道が続くレトロな雰囲気で、買い物をしながらお散歩するのも良さそうだ。最初の頃は、見ては通るだけだったが、だんだん商店街の良さを感じてきて、今では常連となった。

・フラットなショッピングモール
 我が家から歩いて5分もかからないほどの所に、一軒の大きなスーパーがある。食材、生活用品は大体そこで済むのだ。そして、徒歩10分ぐらいの所に、商店街があるが、駅から見て家と反対方向なので、ちょっと不便で今まであまり行ったことがなかった。
 商店街には、肉屋、魚屋、八百屋、豆腐屋、お米屋、パン屋、喫茶店、飲食店、園芸、ドラックストア、百均、ハンコ屋、洋服店、写真店、様々なお店がある。最近、無人の餃子販売店も登場した。生活用品はそこで全て揃う。立派さや綺麗さはショッピングモールに及ばないが、屋根があり、風が通り、階段がなくて歩きやすい。そのような環境で安心して買い物ができるのだ。

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・進化している商店街
 商店街は、良い意味で、昭和の雰囲気が残っていたが、多くの建物もお店の業態も何十年にわたって変わっていないのも確かだ。その中で、近年、民間や行政の力で、時代の流れに伴い、新しいスタイルの空間も続々登場した。
 商店街の利用は、大体数日や週1回ぐらいだが、その中で、あるお店では今週は雑貨、来週は展示、というように、よく「顔」が変わることに気づいた。聞いたところ、それは、古い家屋をリノベして、1時間単位でも利用できるレンタル型の貸店舗だそうだ。次の写真はその貸店舗のショーケース(月間スケジュールがある)と出店の模様だ。

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 そこと離れた商店街の静かな一端には、コワーキングスペースがある。初めて見かけた時、吃驚した。商店街にいることを忘れて、一瞬、都心部にいるように思った。そこは、都心部の施設に負けないほど、Wi-Fi、プリンター、プロジェクター、ホワイトボード、人気書籍、そしてキッチン設備までも揃っていて、多様なニーズに対応できる場所だった。

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 それと、行政と民間が力を合わせて、商店街にある元こども服店の店舗を改修したDIY工房「リノベのいばらき」も運営されている。DIYに関するワークショップを実施し、気軽にDIYを体験できる。普段でも、工具の貸し出しや講師によるアドバイス等も行い、好きな物を作ることが可能だ。

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② 「餅は餅屋」
 商店街に小さな鶏肉店がある。何度も通ったことはあったが、大したことないと思って、素通りしていた。ある日、置いてあった新鮮な鶏ガラを目にした。よく鶏ガラでスープを作るのだが、スーパーの冷凍鶏ガラより随分良さそうで、買ってみた。なんと、一羽たった100円だった、やすい。それで作ったスープはやっぱり予想通り普段より美味しかった。
 それから、他の部位の鶏肉も良く買いに行った。店主によると、長年、特定産地の鶏しか使っていないらしい。毎日、早朝から、仕入れた丸鳥のさばきから始まり、大体午後過ぎぐらいには売り切れ、お店は閉まる。だから、スーパーと違って、毎日新鮮な鶏肉が売られているという。この鶏肉店のすぐ近くに創業50年以上の地卵専門店もある。卵一筋で地卵を販売している。種類もサイズも様々で、1個から購入することもできる。
 豆腐店の豆腐は商店街からちょっと離れたところで作ったためか、スーパーの豆腐より格段に美味しい。こうしたように、長年経営の専門店が多い。食材に拘り、値段はスーパーよりちょっと高いが、品質はスーパーより高いのだ。
 買った物の質が高いだけではなく、買い物をしている時間も楽しいのだ。

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③ 会話、出会いと発見がある
 スーパーで買い物をするときに、聞きたいことがあっても周りに店員さんがいなくて諦めることが多い。また、レジの店員さんから、まるでマニュアルを読んでいるかのように、全く待っていなくても、「大変お待たせいたしました」と言われて、なんとなく違和感を持つ。一方で商店街では、スーパーと違った雰囲気だ。
 上記の卵屋では、どれを買うか悩んでいると、店員さんが丁寧に卵の特徴を教えてくれる。だし巻き、炒め、卵かけご飯、料理の楽しみが1つの卵で変わる。
 商店街では、好物である鶏の足を入手できたことが意外な発見だ。ある日、上記の鶏肉店の店主と話した時に、日本ではなぜ鶏の足は売っていないのかと聞くと、なんと、うちにあるよ、でも切って捨てたという答えが返ってきた。それを聞いて、凄く吃驚し、ちょっとテンションがあがった。そして、興奮を抑えられず、良かったら少し買いたいのですがが、可能でしょうかとお願いしてみると、なんと、いいですよとの快諾だった。
 次の日に取りに行くと、店主が用意した10本の鶏の足を手渡してくれた。早速当日に鶏の足を煮込んで美味しく食べた。念願の好物を意外にも近所で入手できて、そのためか格別に美味しかった。
 ちなみに、日本では、鶏の足は紅葉の形と似ているので、「モミジ」という素敵なネーミングがある。折角素敵なネーミングで、いつか、日本でも人気が出ると期待している。
 家にいる時間が長いので、今年に入って、近くの小さな貸農園で簡単な農作業を始めた。フェンネルや茎レタスなどの希少野菜を栽培したくて、ネットで調べたり、イオンモールにあるガーデニング店で探したりした。しかし、栽培の経験が全くなかったので、聞きたいことがたくさんあったが、イオンの店員さんも栽培についての知識が無く当初とても困った。そこで、あまり期待を持たずに商店街にある園芸店に初めて入ってみたところ、なんとほしい野菜の種が全部そろっていて、一部は苗もある。何より、店員さんは栽培の経験があってアドバイザーのように、いろいろ教えて下さり、大変助かった。

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買い物をもっと楽しもう
 買い物がスーパーから商店街へ変わったきっかけは自粛や在宅勤務であるが、続けることが出来るのは商店街の魅力のお陰だった。
現在の買い物は、本当に便利だ。家から自転車で15分ぐらいの所に、商品が凄く豊富なイオンモールがある。しかし、スペースが大きすぎて、お店や店員さんとの「距離」も大きいと感じる。ネットからも、いつでも買い物が可能で、凄く便利だが、生鮮食品は、やはり目で実物を見て買う方が安心だ。そして、便利なだけではなく、生き生きしている商店街から、元気と楽しさも頂けて、社会勉強にもなる。普通の生活に戻った後でも、なるべく、商店街に行くようにしたい。
 皆さんのご近所の商店街も面白くて、きっと新鮮な発見があると信じている。



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