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SDGsから思いついた餃子 餃子から思ったSDGs

 餃子とSDGsの相性が凄く良いです。食関連のSDGsの実現には餃子が欠かせないかもしれません。
 SDGs(持続可能な開発目標)の17個の目標のうち12個目にある「つくる責任 つかう責任」の中で、2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄量を半減させることが、国際的な共通の目標として明確に示されました。日本における目標は、SDGsを踏まえ、食品関連事業者及び家庭から排出される食品ロスについて、共に2000年度比で2030年度までに半減させることとしています。

 実際、食品ロスは本当に深刻です。日本の年間食品ロスは、なんと612万トン(2017年)で、毎日大型トラック(10トン)約1677台分が廃棄されています(令和2年版消費者白書)。その半分近くは家庭由来とのことです。家庭から捨てられた食品には野菜がもっとも多いようです。

 家庭でこの目標をどう実現するか、いろんな工夫や一人ひとりの努力が欠かせません。そこで、家の食品ロスを簡単に減らす方法としてお勧めしたいことがあります。それは餃子を作ることです。国民食とも言えるほど人気の餃子は、実はSDGsと非常に親和性が高い「SDGs料理」とも言えます

 餃子の具となり得る食材は、拘りがないです。よく使われるキャベツでも、白菜でも、その外葉、内葉、中心葉、つまり、どの部位も使えます。特に、外葉は緑が濃く栄養価が高いですが、固くて、炒めものなどではあまりおいしくいただけません。しかし、ミキサーでみじん切りにすれば、ひき肉と混ぜて、調味料を入れることで、美味しい具になります。餃子だけではなく、中華まんにも応用でき、特に中華まんの場合は、皮がちょっと厚く、蒸す時間も長いので、具は少し粗くても大丈夫です。そうすれば、野菜の利用率はかなり高くなります。

 このような具を美味しくにするためには、少し多めに肉や油を入れるのがコツの一つです。筆者の子供時代は、今のように、食料品を安く便利に手に入れるほどの時代ではなかったです。特に肉と食用油の値段が高かったです。豚肉の背脂の部分は今だと切って捨てる人もいますが、昔は豚の脂から作られるラードと油かすが料理の重宝でした。特に、油かすと野菜餃子の相性が良いのです。作り方は簡単で以下の様になります。

 ①背脂を3~4cmの長さに切り分ける。分厚い場合はそぎ切りするように薄く切り分ける
 ②フライパンに入れて、じっくり弱火で炒める。暫くラードが出てきて、少し時間が経ったら、にじみ出てきたラードで背脂を揚げるような状態になる
 ③ラードが熱い内に残った背脂は油かすとして取り出し、ラードを保存瓶などに移し、冷まして固める。

 ラードは油として炒め料理に使われますが、その油かすは、捨てるのではなく、白菜やキャベツなどのみじんきりの野菜と混ぜて、餃子や中華まんの具にします。植物オイルとはひと味違ったうまみやコクが味わえます。筆者にとって、その時代の思い出の料理でもあります。

 そうすれば、肉も、野菜も、食品ロスは殆ど発生しないです。食品ロスの解決に貢献するだけではなく、栄養の面でも、野菜をたっぷり使うことで、肉とのバランスもできて、現代人がたりない植物繊維が豊富であり健康にも良く、もちろん、財布にも優しくて経済面にも良い、まさに、一石三鳥なSDGs料理です

 それと、野菜が嫌いな子供も、餃子の具にすれば喜んで食べることができます。餃子と中華まん以外にも、春巻き、シューマイ、ワンタンなど、中華料理にはいろんな食材を包む麺類の料理が多いです。共通する特徴は、健康を維持するために必要な栄養を豊富に含んだ「完全食」と考えられます。皮は小麦粉、中身の具は好みにより、肉やさまざまな野菜が入っています。具を炭水化物の皮で包んで、旨みを逃さずに煮るか、焼くか、蒸すかで、パクっと一口で食べることができます。且つ、一食で必要な栄養分はほとんど取ることができます。

 もともと、日本料理はより素材の味を引き立てた「単純料理」と言えます。それと対照的に、中華料理は複数の味が「合成」され、いわゆる複合型の味つけが多いです。そのため、レシピを生みだすのも、組み合わせの自由度が高い「複合料理」という特色によって非常に柔軟となります。

 餃子は家庭内だけではなく、餃子を作る業者によっても、食品ロスの解決に有効的です。実際に、品質は全く問題なくても、サイズや形が規格基準を満たさなくて、規格外野菜として廃棄される量は、生産された野菜量の約3割にものぼるそうで、信じられないです。規格外の野菜を活用すれば、食品ロスの解決に大きく貢献できるとみられます。スーパーや中華料理店で売っている餃子は「規格外野菜使用」で訴求すれば、環境意識がますます高まる消費者も嬉しく買うのでしょう。

規格外の人参、可愛い!

 餃子で代表される包む麺類の料理は、どんな食材、調理法でも、過去の物足りない、もしくは現在の物が溢れる時代でも、簡単に作ることができ、美味しく食べられます。具の味は多少合わなくても、タレで調整できます。その庶民性と開放性が時代を超えて、われわれの食生活を支えています。

 実際に、餃子などの麺類以外に、食品ロスに役に立つ料理は多いです。例えば干物、漬物、ピクルスが挙げられます。どれも規格外の野菜を活用することが可能です。例えば、日経クロストレンドでは、ピクルスの新しい価値創出に関する拙作が掲載されました。時代に伴い、ピクルスの「隠し味」が再発見されたとのことです。

 それと、昔は、SDGsや食品ロスといった言葉が無かったが、物が足りないという背景もあって、当たり前のように、なるべく食材を使いきっていました。今と比べて、当時はいろいろと先進的なことは実に多いです。SDGsは、ある意味では昔に戻るということではないでしょうか。行き過ぎた経済成長から生まれたいろんな「副作用」に対する反省ではないかとも感じています。

 餃子は、焼き餃子でも水餃子でも、「アツアツ」、「栄養満点」、「美味しい」、「安い」。SDGsは負担ではなく、元々我々の生活の一部でした!


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