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SF、読書のよろこびマガジン

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大人になってからSFの楽しみを知った人の記録。本が好き、ゲーム興味ないかたはここで。
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#SF小説

「タイタンの妖女」感想と太田光の解説とファミコンMOTHERと

「タイタンの妖女」感想と太田光の解説とファミコンMOTHERと

爆笑問題の太田光が愛し、奥さんが社長をしている社名の由来になったSF小説を読みました。

太田光は不思議な人だ、ファンでもあの人のすべては受け入れられない。
しょうもないギャグもセクハラも問題発言も、台本通りじゃなくて人間として考えていたことが間欠泉みたいに制御できず口から出てしまう感じだ。で、「ちゃんと」問題発言をする。毎回たたかれて、しっかりダメージ受けてるようなのに、また人を怒らせる。

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SF小説の未来予知が間違っているとkawaii【読書記録】

SF小説の未来予知が間違っているとkawaii【読書記録】

アーサー.C.クラーク「火星の砂」を読みました。

1950年ごろ書かれたもので、SF大家の長編2作目になります。開拓中の火星を訪れた作家の物語。

初めての宇宙旅行で離陸に緊張する主人公、「水鉄砲式」で水分を補給していたが重力が戻ってくると嬉しくなってコーヒーを器に入れて飲みたくなる船員。つい持っていたものを落としてしまい、いけねえ重力あるんだった重力重力、ってなる感じ。
火星探索の前に「無重力

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【読書記録】アーサー・C・クラーク「宇宙のランデヴー」にしびれた話をさせてください、さあ。

【読書記録】アーサー・C・クラーク「宇宙のランデヴー」にしびれた話をさせてください、さあ。

これの話です。何十年も前の作品なので、完全に結末まで言っちゃっていいと判断してしまいます。要はネタバレです。

「宇宙のランデヴー」は、遠い未来の、宇宙に飛来した謎の物体をめぐる物語。

銀河の果てから巨大な「くるくる回る水筒」みたいなやつが飛んでくるのです。最初は流星かなにかだと思ったが、明らかに他の文明によって作られたもの。
このまま行くと永遠にないのかと思っていた「異星人との接触」。そのとき

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【読書】太田光をぎゅ〜っと原稿用紙1200枚に圧縮したら。 笑って人類!

【読書】太田光をぎゅ〜っと原稿用紙1200枚に圧縮したら。 笑って人類!

爆笑問題の太田光書き下ろしSF長編娯楽小説「笑って人類!」を読んだ!
完全なネタバレはしませんがある程度内容にふれて語りたい!

お笑い芸人がお笑い以外のジャンルで、ふだん表に出さない過去や暗黒面をぶつけてくるパターンがある。

ビートたけしが北野武になるんだら、太田光が超絶ダークな内容できてもおかしくないと身構えて買ったのに、出てきたのは愛するSF、ギャグ、ミステリー、オタク文化への愛もある、娯

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2020年に読めて良かった本。 リモートワーク殺人事件「はだかの太陽」

2020年に読めて良かった本。 リモートワーク殺人事件「はだかの太陽」

自分以外でもSFの面白さに目覚めたひとが多い一年だったのかな。「1982年」が突然話題になったりしていたけど、2020年に読めたことも含めて充実感でいっぱいになって、みんなにも読んでほしいのは「はだかの太陽」。

PS4の「デトロイト」のような刑事コンビのリモートワーク小説だ。

徹底的に管理されて、人々は触れ合うことなく、何十体ものロボットに世話されてくらす、トラブルの全くない星。
この星で殺人

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アメリカ初の女性副大統領のスピーチで、ハヤカワSF「宇宙へ」(そらへ)を思い出す

アメリカ初の女性副大統領のスピーチで、ハヤカワSF「宇宙へ」(そらへ)を思い出す

アメリカ初の女性副大統領が「私が最後ではありません」とスピーチして、ハヤカワSFの「宇宙へ」(そらへ)の感想を書いていなかったことを思い出したのだった。話の内容にふれます。

60年代のアメリカに巨大隕石が落下。
このままでは地球環境が激変し、人間が住めない星になる。アメリカとソ連で争っている場合じゃない。地球を脱出することが求められ、宇宙開発にもっと本気で取り組むことが必要になった。。。と、宇宙

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【読書記録】「宇宙へ(上巻)」 男社会で宇宙(そら)を目指す女性科学者。

【読書記録】「宇宙へ(上巻)」 男社会で宇宙(そら)を目指す女性科学者。

冒頭の「核ミサイルを思わせるなにか」が落ちる場面で、もうすごい。

主人公のエルマ夫妻は、家の窓から、何かが激しい光とともに落ちるのを目にする。即座に音速と経過時間から爆心地までの距離を計算し、遅れて衝撃が来るはずだ、と避難を始める。

元パイロットで、計算者として優秀すぎて男社会ではねたまれたこともある主人公エルマ。
ロケット工学者で有名人の夫。ふたりは、あざだらけ、傷だらけになりながら走り、ジ

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読書記録「フランケンシュタイン」

読書記録「フランケンシュタイン」

自分の作品が急に醜く見えることを「フランケンシュタイン現象」と呼びたい。
夢が詰まった自作マンガや小説を、発表したとたん直視できなくなったことはありますか?動画や写真を回収したくなったことは?
私はあるぞ。

フランケンシュタインの作者メアリー・シェリーは、父が無神論者、母はフェミニズム運動の創始者とも呼ばれる女性。

無神論者の娘が10代で書き始めた、人間をつくる小説。
書かれた200年前は、た

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「三体Ⅱ」上巻を読み終わった!

「三体Ⅱ」上巻を読み終わった!

ここからの文章は「三体」の内容にちょっと触れてます。

だが、
「うまい棒の大部分は空気なんだぜ」
とばらされても、うまい棒の醍醐味は変わらないし、タコ焼き味の表面の硬さの存在感が唯一無二なことを損なうわけではないのと同じで、多少内容を知ったところで「三体」の満足感は揺らぐものではない。

だけど余計な情報を入れたくないと感じる人もいるだろうから、敏感な方は読まないでねっていうか、うまい棒って空気

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もう地球人が信じられないあなたに「銀河核へ 上巻」

もう地球人が信じられないあなたに「銀河核へ 上巻」

これはSF小説好きよりも、さいきんアニメでまま見る
「獣人との交流」「異種族もの」好きに愛されるのでは。

異星人との交流経験はないが、事務と他惑星言語を勉強したローズマリー。彼女を軸に、さまざまな種族が、「トンネル工事船」に乗りこみ、時空を越えるワームホールを掘るSF小説だ。

作業船でローズマリーを待っているのは、たとえば女性に生まれて産卵をすませると男性になるグラム人の「ドクター・シェフ」。

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古本屋に未来が保管されている楽しさ。アイザック・アシモフにも手を出してみた

古本屋に未来が保管されている楽しさ。アイザック・アシモフにも手を出してみた

「デトロイト ビカムヒューマン」をプレイ中に、ロボットと刑事のバディものとして、「鋼鉄都市」の作品名だけは聞いていた。
だけどそのときは、デトロイトを何周もやったり関連作に手を出すほど熱中することはなく。

最近になって「三体」の凄さをタイムラインで何度も聞いたり、人間椅子の和嶋さんがSFの話をしていたり、ガリベンガーVで宇宙を考える回があったり・・・自分の好きな人たちがみんな、楽しそうに「SF」

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