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2022年1月の記事一覧
第182話 二つの目覚め
夢を見ていた。
とある男の人が深い眠りに就いているとゾロゾロと人がやってきて、手際良く、寝ている彼の腰のあたりに細い紐を一本だけ括りつけてから去っていく。
気づけば布団は剥がされ、自分の置かれた状況も把握できずに狼狽えて(うろたえて)いるにもかかわらず、雪山の上に連れてこられたと思う間もなくいきなり崖から落とされる。
垂直に近い崖肌に残る雪は少なく、滑落していく背中はすぐにも鋭い岩に当たりそ
第181話 太陽の双子の使い
「ひみ。なんか一緒に事業でもするかい?」
けーこにそう誘われてから、この『meetoo』という場が地上に具現化するまで二週間すらも猶予が無かった。
本来だったら準備にもっと時間をかけたいタイプの私だったけど、けーこのカレンダーアプリには、その日付の欄には書いたけーこ自身でも理由のわからない「new beginings」の文字があった。それが宇宙的スケジュールだということを彼女自身が直感して
第179話 ツインレイという信頼関係
真っ黒がどこまでも広がった、夜の海のような存在と会話をしていた。
「お前はお前でいろ。そうでないと俺も俺でいられない。」
私にそれを伝えてきた“彼”の真意とはこうだった。
……自分が作り出した“彼女”が、彼女自身に不足を感じている。足りないと言わんばかりに次々と異質なものを身につけ、どんどん自己から遠ざかっている。
そのままのお前を愛したかったのに。なのにお前は俺を傷つける。そのうち俺
第178話 愛と憎しみとツインレイ
それから間もなく、けーこは私のことを“ちゃんづけ”で呼び始めた。どういう訳だか彼女にとっての『愛すべきコンテンツ』と化してしまった私はしばらくの間、シリウスのあれやこれやを話して聞かせた。
自分たちが住んでいた場所は本当に田舎だということ。小川が流れていること。虹も出ること。夜空もあること。編み物の文化があったということ。リトは茶色いチョッキを羽織っていること(ベストと呼ぶより、左右の身頃を
第176話 宇宙の因果のシナリオ
「わからない。ひみは一体、どこを見ているの?
あれから私とタケくんとは、『何があっても頑張るしかないね』ってお互い信じて続けていく約束をした。
それからひみは、私とは別の道を行くようだから、私のほうからひみに対して一時的な別れを告げてる。
それと、そんなことわかってるって思うかもしれないけど、ひみが見ているタケくんはひみ自身だよ。タケくんを盾にしてるけど、なんだか私に対して怒ってるよね。
あ
第174話 順風満帆・逆風満帆
春分のすぐ後、あきらの高校は春休みを迎えた。
朝夕の送り迎えから解放されるとその分集中して内観をすることができるのだが、それに伴ってもう一つ、厄介ごとがくっついているのがわかってしまった。
あの日以来、タケくんのビジョンがしょっちゅう頻繁に現れる。あろうことかなんと、けーこのツインレイに憑依されてしまっていた。
ヤマタ先生にしても今までクリアにしてきた他の男性たちにしても、気持ちをわかって
第173話 三次元からの奴隷解放
鹿の夢を視ていた。
ひときわ大きな立派な角を生やした雄鹿が一頭佇んでいる。ところが皮肉なことに、彼はその角のせいで雁字搦めになっていた。寒々しい冬の藤棚のような、空一帯に張り巡らされた古枝と角とが癒着して、またその角自体にもゴミやら布やら余計なものまで引っかかっていて全く身動きが取れていない。天を覆うその木の枝は、遥か彼方まで続いていた。
鹿自身、前にも後ろにも一歩も進めずにいるのにもか