[ベトナム旅]この時期しかできない旅を楽しむ-ハノイの蓮を見、蓮料理を食べ、蓮茶を飲む-
ある時期にしか見られないものを見に行く旅は、満開の桜を見に日本に旅するようなもので、特別な思い出になるはずです。ベトナムのハノイの6-7月だけのお楽しみ、蓮の花を楽しむ旅をしてみませんか? 蓮を見るのはもちろん、飲む、食べる、と色々な角度から蓮を楽しんだ旅の様子をご紹介します。今回も沢山調べて訪れるスポットを選びました。旅をしたのは2024年6月下旬です。
蓮池で蓮の花を見たい! 【Đầm sen Hà Tuyến】
蓮の花は朝しか咲かないため早起きが勝負です。ベトナムは日本と2時間の時差があり、朝の4時半に起きても日本の6時半、きっと大丈夫と自分に暗示をかけアラームをセット。5時台に配車アプリGrabで車を呼んで、西湖の北側の蓮池エリアに移動しました(眠い!)。目的地に設定したのはここ【Đầm sen Hà Tuyến】。ハノイ旧市街のホテルから、車で20分弱でした。
この看板が目印です。
奥に続く道に入ると、海のように広がる広大な蓮池。
うわー! って声が出ました。
蓮池の中にこんな道が作られていて、蓮池沿いの小屋で入場料を払うと自由に歩き回ることができます。入場料は現金払のみ、50,000ドンでした(7万って聞いてたけど少し安かった)。
近くには民族衣装アオザイのレンタルもあり(有料)、着替えてメイクしてもらって、気合いの自撮りに挑む人も。プロのカメラマンと一緒に来ている人もいました。
見渡す限りの蓮の世界に、しばしうっとり。
小さな手漕ぎボートを操って、蓮農家の人が蕾を収穫していきます。蓮の葉をかき分け、スーッと水平移動する様子は見ていて飽きません。
早起きして来て良かったと思ったことです:
まだ人が少ないので背景に他人が映り込まずに撮れました。
木道から離れた場所の蓮の花はどんどん摘み取られて行きます。遠くの花が摘み取られる前に写真を取れたのが良かったです。
まだ耐えられる暑さでした(6-7月のハノイは1年で最も暑い時期です)
出荷前の山盛りの蓮の蕾を見ることができました。美しい!
摘み取った蓮の花を見たい! 【Đầm sen Hà Tuyến】
蓮の花は池での観賞用だけではなく、切り花や蓮茶などの加工のため、蕾の状態で摘み取って出荷されます。
蓮池に入る入場料を払った小屋に、蓮池の小舟から摘みたての蓮の蕾が沢山運ばれて来ました。
これだけ沢山の蓮の蕾、見たこと無かったです。美しい色合いが素敵で、いつまでも眺めていたかったです。
こんな風に蓮の葉で巻いて出荷準備です。
花市場の蓮を見たい! 【Quang An Flower Market / Chợ hoa Quảng An】
蓮池からGrabの車で10分位、花市場の蓮を見に行きました。
ハノイでは自転車の荷台に花を積んで売り歩く、花売りの人を見かけます。そうした人の仕入れの場所がここ。自転車の荷台に仕入れた花をどっさり積んで、さあ出発! という女性を何人か見かけました。
花市場の蓮は花束のようにまとめられていて、どれもとっても美しかったです。蓮の色や種類も色々あるのね、ということもわかりました。買って帰ることもできないので、かわいいかわいいと連呼しながら激写。
蓮以外のお花も。バラとユリと菊が多かったです。
花市場に着いたのが07:30だったのですが、すでに閉店片付けモード。営業しているお店のほうが少なかったです。
蓮茶の加工作業を見たい! 【Trà sen Bà Dần】
ハノイでこの時期だけ作られる、蓮茶という高級茶があります。緑茶をベースに蓮の花の香りを移した、作るのにものすごい手間と時間がかかるお茶です。100グラムの蓮茶を作るのに蓮の蕾が100-200個も必要なんだとか。びっくりです。
どうやって蓮の香りをつけるかというと、蓮の蕾の花びらを外し、雄しべの先端の白い粒状の部分だけを優しく撫でながら取り外します。取り外した雄しべの先端と緑茶を混ぜ、蒸気で煎り、乾燥させ、を7回も繰り返して蓮茶が完成します。すべて手作業、気が遠くなりそうです。
そんな加工の様子を見たいとやって来たのが【Trà sen Bà Dần】でした。
作業しやすいように、茎を短く切っている最中でした。
見ている間に蓮の蕾の束がいくつも届けられていました。
この後、奥の部屋のたらいやザルの近くで雄しべを取る作業をするのでしょう。
興味津々で眺めていたら、作業していた人から嬉しいプレゼントが。蓮の花をいただきました。嬉しい!!
摘みたての花の香りが逃げないうちに加工しなければならないので、蓮茶作りの作業も午前中が勝負。朝だから見られた光景でした。
レトロ建築のカフェで涼みます【Oriberry Coffee】
暑さが限界だったので、蓮茶加工を見せてもらったお店の近くに見つけたカフェで一休み。
古い建物をリノベしたカフェで、床のタイルがアンティークなテイスト。素敵です。
いただいた蓮の花を眺めながら、ハノイ名物のエッグコーヒー(左)を。
昔、ベトナムで乳製品の流通が乏しかった時代に、ミルクの代用として卵を使って似た味を作ったのが始まりと言われています。こっくり濃厚であまーい。下は濃いコーヒーなので、飲む前に混ぜてから飲まないと最後苦くなります。お湯をはった器に半身浴状態で出されるのも特徴です。
飲み終わって、まだ朝の9時前。蓮池→花市場→蓮茶加工→カフェと、早起きしたおかげで色々なことができました。この後ホテルに戻って朝食を食べ、シャワーを浴びてチェックアウトの時間まで寝ました。生き返る~!
蓮がテーマの邸宅レストランで蓮料理を食べたい! 【Sente: The Flavour of Lotus】
蓮がテーマの1日、ランチに選んだレストランはハノイ旧市街にある、蓮を使ったメニューが楽しめる【Sente: The Flavour of Lotus】でした。
古い邸宅を使ったレストランで、内装のテーマも蓮。
蓮の実をすりつぶしたスープの鍋料理(蓮根も入っていました)、それに、揚げ豆腐にきのこ、唐辛子、蓮の実のソースを合わせた料理を頼みました。
お店の人に朝撮った蓮池の写真を見せたりして、蓮三昧。
デザートはお豆腐を使った豆花を。丸いライチの実の中に、蓮の実が入っていました。
最高峰の蓮茶を飲んでみたい! 【Hien Minh Tea House】
今回のハノイの旅で絶対にトライしてみたかったのが、蓮茶を飲む、しかも最高峰クラスの蓮茶を味わうということでした。
とんでもない量の蓮の花と、想像を超える手間と時間をかけて作られた蓮茶は、お昼までに繰り広げられた「蓮活」の後に行けば味わいも格別になるだろうと思い、蓮の1日のアクティビティの最後に持って来ました。
選んだお店は、台湾の茶藝館みたいな佇まいの【Hien Minh Tea House】。
お茶を飲むだけでなく、茶葉を購入することもできます。アジアを感じる、落ち着ける店内です。茶葉の栽培や製茶も自社で行うお店です。
蓮を使ったお茶2種類を飲み比べてみることにしました。まずはお店のオリジナル、フレッシュなタイプ。生の蓮の蕾の中に茶葉を入れて香りをつけたものです。日持ちしないのでハノイにいないと飲めないお茶です。
お店の人がお茶を淹れてくれます。花びらを1枚1枚外して敷き詰めます。ハノイの雑踏や喧騒を忘れる心静かなひととき。
蕾の中から茶葉と雄しべを取り出し、急須に入れます。わくわく。
まろやかな甘い香りの中に、生野菜のようなフレッシュな香りを感じました。
お湯を足して何回も淹れることができるので、お湯を冷ましてぬるめに淹れたり、抽出時間を短くしたり長くしたり、色々なパターンを試しました。そのたびに味が変わるので好みのタイプを探りましょう。
次は大本命、最高級の伝統製法の蓮茶です。
何がすごいって、100グラムのお茶に香りをつけるために200個もの蓮の蕾が使われていることです(聞いた中で最高レベルの蕾の数)。ベースになる緑茶も、手摘みされた高山茶というスペシャルな予感。香り付けのための混ぜ合わせと乾燥を7回繰り返す、とすごい手間と時間をかけて作られたことが解説に書いてありました。
これが茶葉。気が引き締まる思いです。
お湯を冷ましてお茶を淹れます。
お茶の中の粒は、香りをつけるために混ぜられた蓮の雄しべの先端です。蓮茶作りの工程が分かる、本物の証。
先に飲んだフレッシュなタイプのお茶とは全く違う味と香りでした。ほんのり甘い香りで、ちょっぴりエキゾチックな感じ、でも蓮の花の姿のように凛としているイメージもあり。すごく深い所から香りや味が出てきているような奥の深さを感じ取ることができました。蓮の蕾に鼻を近づけて香りを嗅いだ時、スーッとしたメントールみたいな香りもした(気がした)のですが、メントールみたいな香りもかすかにありました。お茶を淹れた後の急須の蓋を取って濡れた茶葉の香りを嗅ぐと、香りの個性が増幅されてめちゃめちゃ良い香りを楽しめました。苦みの少ない、複雑で芳醇な味でした。さすが最高峰!!
お湯を入れてから長く置きすぎないようにするのが、繊細な香りが分かっておすすめです。お店の人は20-30秒位が良いと言っていました。ポットの熱湯を直接急須に入れず、一旦もう一つの容器に入れて冷ましてから急須に移すと味わい深い仕上がりになります。
何度もお湯を変えて、少しずつ変化するお茶の味と香りを何回も楽しみましょう。
2番目に飲んだ伝統の蓮茶はメニューの中でも一番高く、1人分150,000ドンでした(この日のレートで950円位)。あれだけの手間と時間と蓮の花の量を考えると、もっと高くてもおかしくないって思ってしまいました。
伝統の製法で作られた本物の蓮茶を味わう体験、おすすめです。
この時期しかできない旅があります
ハノイの蓮をめぐる旅、いかがでしたか。蓮の花を見るだけでなく、蓮を使った料理を食べたり、蓮茶を飲んだり、蓮をテーマに過ごした1日でした。
配車アプリGrabを使って、個人でも簡単に移動することができました。英語もほぼ使っていません。こちらは日本語、相手はベトナム語。でも不思議と分かり合えることが多かったです。面白そう! と思ったら、ちょっと早起きをしてこの足取りをなぞってみませんか。
蓮の花が咲くこの時期にしかできない旅、きっと思い出に残るはずです。
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