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ショートストーリー

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ショートストーリー①

ショートストーリー①

男は大学1年生。

大学正門をくぐった先にあるメインストリートは大変短いものだが、その両辺にあるサークル看板はどれも魅力あるものに映った。

しかし、男はそんな安い青春ごっこに甘んじることを断じて許さない反骨精神の塊であるので、華やかな看板には目もくれなかった。

そんな男に友人ができるはずもなく、仕方なく正門から出ると、夕酌川の近くに怪しげな集会を見つけた。

その名は「全日本下ネタ学会」という

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ショートストーリー

ショートストーリー

これは昨日書いたストーリーとは全く別物である。

大学1年生の前期テスト最終日に映る夕焼けは美しい。ムワッと広がる蒸し暑さは心地よく、夏の訪れを教えてくれる。大学構内は妙にざわつき、みんな夏休みの計画でも立てているのだろうかと想像を馳せて暇を潰す。

時間は17時43分。18時から授業のグループ発表の班で打ち上げをすることが決まっている。早く時間よ来ないかなとワクワクする。こういう待ち時間は楽しい

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#1 ショートストーリー

#1 ショートストーリー

港区にオフィスを構え、ウィーンと気持ちよくセグウェイを乗りこなす男がいた。

「社長、おはようございます。本日のスケジュールです」

秘書は手際よくレジュメをその男に渡す。

曲がり角にもかかわらず、スピードを落とさないでいると、社員とぶつかりそうになり、
「ちょっと危ないじゃないですか!」

「すまんすまん、LINEマンガ読んでた」と言い訳。ちなみに社長のお気に入りは「白竜legend」である。

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ショートストーリー

ショートストーリー

爺かく語りき。

「世の中には2種類の人間がいる。みんなが笑顔で踊るポカリスエットのCMを見て、勇気づけられる人間と、あんなものをファシズムの前兆だと言って、唾を吐き捨てる人間だ。お前は絶対後者になってはならん!後者になったら、お前はロクな人生を歩めんくなるぞ!」

爺の死因は、過度の精神病だったそうだ。中学・高校時代、クラスの出し物でのダンスに全く参加することなく、校庭に唾を吐きつけるという虚無

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抽象性を大事にしても良いのでは

#無駄 #日常生活

私たちは「無駄」を嫌うことが多くなった気がする。

例えば大学の勉強。私は大学で歴史を学んでいる。特に日本の近代史をよく勉強しているつもりだ。そこで必要なのが、「くずし字」という手書きで書かれたクシャクシャの文字を読解する技術である。これが本当に難しい。筆者は「これぐらいなら読めるだろう」と、よく使う文句にはスゴいテキトーに書く場合が非常に多い。ちなみに「候」が典型的な例で

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「死にがい」を見つける

「死にがい」を見つける

若干、肌寒くなってきましたね。

進路がどうだとか、課題が大変だとか、〇〇くんとの人間関係、いやー我々はなんでこんなにも悩みながら生きていかなきゃいけないのですかねぇ。じゃあ死にますか?いやーちょっと待ってくださいよ!

「死ぬ」というのは難しいです。今回は、のんびりと「死ぬこと」について語ってみます。隙あらば自分語り、お許しください。

はあ「死ぬ」というものは、なんなんでしょうかね。この問

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自己分析①

自分はどういう人間なのか、もし書けるとすればそれはどのような内容になるのか。

実際に書いてみることにする。

ーーーーー

私は20歳。何不自由なく過ごしてこれたのは、とても幸福なことであり、私は恵まれている方だと強く実感している。

だが、これは今だからこそ言えることであり、当時はあらゆる困難があり、頭を悩ませたことに違いない。とりあえず「20年間」の歴史を振り返ってみたいと思う。そのためには

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物語「ポストモダンガール」 ①

ブログの執筆が滞っているため、その日その日思ったことをそのまま書き出して1本の物語を作ることを試みる。

今回のテーマは「ポストモダンガール」とする。

それでは早速始める。

友達がカラオケにてスマホに耳を傾けている。特異な行動に、隣にいる私は声をかける。

「電話なら、外でしなよ」
「いや、メロディの確認」

彼女はそのまま耳にスマホを傾ける。メロディの確認…? すごい!彼女はまるでミュージシ

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物語「ポストモダンガール」②

そして、カラオケを皆々が歌い、彼女が歌う番がやってきた。そして、彼女は選曲する。トイレで出入りする周りの行動を気にしつつ、ウケが良くない限界線を認識しているはずだ。おそらく好きなアニメのオープニングだかエンディングを歌いだろうが、我慢しているに違いない。選曲履歴には無いものの、検索履歴にはその手の曲がびっしり詰まっていることがその証左だ。さぞ、悔しいだろう。こういう光景を見て、「これだから日本人は

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物語「ポストモダンガール」③

微量のコーラをグラスの中に入れるという無意味な動作をした後、私は部屋に戻った。

曲の進行状況を示す6段階の数字は5から6へと変わった。

ちょっと戻るのが早かったなと、後悔する。ずっとスマホを見ながら形容しがたい表情をする友人。

私は噛みしめる。ビリビリとむしゃくしゃに破り捨てたい衝動を我慢して。

頼む、早く終わってくれ。君はもう十分過ぎるほど、役目を果たした。もう無理する必要ないだろ。『雰

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何をしていたのだろう今日は。

何をしていたのだろう今日は。

今日ほど生産性の無い日を送ったことは無いだろう。と思う。

結論から言うと、洒落た書店を見つけ、洒落たカフェで優雅にコーヒーと読書を嗜み、そのあと勝手にスマホを無くしたと勘違いして、慌てふためくという虚しさ全開の日であった。

前半は良い時間を過ごしたと思う人もいるだろうが、とんだ間違いである。
私の住む街は基本、駐車場がない。つまり、車を運転することのできる私にとって、この上ないほど優しくない。

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物語「ポストモダンガール」④

物語「ポストモダンガール」④

「生きがいか…」

男はタバコを吸う。

「なんでそんなに頑張るのかね?」

と呟く。

男にしてみれば、人間が色々と悩みを持つことは馬鹿らしい以外の何物でもない。
そりゃそうだろう。なぜならその男、

人生2週目だからである。

生まれて、学校に行き、働いて、生を全うする。かつて全て経験したことだ。

したがって、男は知っている。

「人生何とかなること」を。

人生を一度経験した男は、万物を俯

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ゲームセンター

ゲームセンター、塾、プールのコーチ、研究室の史料撮影、NHKの選挙速報、2日だけのホテル清掃、(あとは投書して図書カード稼ぎ)
大学に入学してからしてきたバイトである。日数は多くないものの、経験した種類は案外ある。
この中で印象に残っているのは、ゲームセンターのバイトであろう。1回生の夏から2回生の冬まで、1年と約半年。週2日でやっていた。
仕事内容は店内清掃から始まり、機械の修理、売上メーターの

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「道端に落ちている軍手は大抵片方だけである」

「道端に落ちている軍手は大抵片方だけである」

人間というのは、精神が追い詰められると、猥談にふけってしまう悪癖があると思う。

しかし、今の私はそれとは逆で、下ネタを言いすぎて、精神がまいっている。

したがって、たまにはまともなこと(乳房と尻以外のこと)を書こう。

小生、最近はかなりサボっているが、ついこないだまで、夜の商店街をふらつき、唐突に店に入るやいなや、「話を聞いていいですか」と簡単な取材みたいなものをしていた。ちなみに、この行為

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