物語「ポストモダンガール」 ①

ブログの執筆が滞っているため、その日その日思ったことをそのまま書き出して1本の物語を作ることを試みる。

今回のテーマは「ポストモダンガール」とする。

それでは早速始める。



友達がカラオケにてスマホに耳を傾けている。特異な行動に、隣にいる私は声をかける。

「電話なら、外でしなよ」
「いや、メロディの確認」

彼女はそのまま耳にスマホを傾ける。メロディの確認…? すごい!彼女はまるでミュージシャンではないか!彼女は自分の選曲にどれほどの責任を感じていたのだろうか。私が知るところではない。彼女は自分が歌う曲の順番が来るまで、ゆっくりと深呼吸している。前の曲が終わった。さあ、採点が終わる。曲の告知が始まる。

そして、ゆっくりと、彼女はマイクを握った。

「78点」

彼女は歌いきった。「微妙だったね笑」と振り返る。
うーん、なかなか凄かったじゃないか。凄いのは彼女の姿勢だ。歌う前はまさしくミュージシャン。もうアーティスト。しかし、歌い終わった後は、1人の友人に戻っている。

彼女にとってカラオケとは何なのだろうか。スマホに耳を傾けてまで音程を確認しなければならないものだろうか。私は彼女の「立ち位置」が気になった。とくに歌う前だ。1人の友人という「位置」にはもう置けない。彼女は一体どこへ行く。人間関係があらゆる行動を規定するこの現代。

私は彼女に1つの名を与えた。
その名は「ポストモダンガール」である。

(続)

#小説 #エッセイ #ポストモダンガール

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