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#小説
君がいる夏 (ミスチルが聴こえる)
僕の好きな夏が終わってしまった。同時に、学校が始まってしまった。夕暮れも悲しくなる季節が来る。海を見ても虚しくなる季節が来る。冷たい風が吹き、寒くなるこれからが、僕は嫌いだ。
「何聴いてるの?」
放課後。君はイヤホンをした僕の肩を叩いて、訊く。
「言っても知らないよ、君は」
それでも君は僕を離さない。
「いいじゃん、教えてよ」
小さな子供みたいにせがむ君。仕方なく、僕は教
アナザーストーリー(短編小説『ミスチルが聴こえる』)
少しの間、それは夜が訪れるとき、僕はもう一つの物語を考えてしまう。
もし、君がそばにいたら。
一年前の僕は強がっていて、素直じゃなかった。自分が常に中心だと勘違いしていて、太陽は僕を照らすためにあるとさえ思っていた。だから僕は自分勝手で、それは恋愛においても例外じゃなかった。
「たまには私の意見も聞いてよ」
君がムッとした顔で僕に文句を言うと、僕は嫌な顔をして「なんで?」と言ってしまう始末