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追憶の海外紀行

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#ストックホルム

ドイツ・ミュンヘン 見落としていた1972年 

ドイツ・ミュンヘン 見落としていた1972年 

「思うにね、ミュンヘンと言う町は、全く過小評価されているよ」

 知り合いのイタリア人男性がそのように宣う。ミュンヘンを愛し、頻繁に訪れていると言う。

 これは彼なりの高評価なのであろう。通常はかなり評価の手厳しい男性だ。それならば、とミュンヘン訪問への期待が持てた。

 夏休みを四日間戴いて、ミュンヘンを訪問することにしたのだ。

 何故ミュンヘンなのか。

 
 ドイツは比較的物価も安く、ミ

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ゆきずりのリスボン 年下の青年

ゆきずりのリスボン 年下の青年

 「旅は道連れ」とはよく言われるが、その道連れが、ほんの数週間前に出会った人間であったらどうであろうか。

 一通の手紙を大西洋に託したかった私と、十一月の曇り空を抜け出したかった青年が、ひょんなことで、週末の南欧を旅することに意気投合をした。その時点で彼に関してわかっていたことは、名前と年齢と職業だけであった。

 青年の年齢は私よりも十歳下であった。

  

 出発の二日前、青年から電話が掛

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亜依子さんを探しています、サンパウロの夏

亜依子さんを探しています、サンパウロの夏

 何十年も連絡が断たれていた知人から、前触れもなく連絡があったとする。

 その時、貴方の脳裏に一番最初に浮かぶ懸念は何であろう。

 何かしらの商品・サービスの販売? 

 連絡をしてきた人の傾倒する政治家への投票依頼?

 何らかの組織への加入案内?

 お金の無心?

 出来ることなら、そのような猜疑心には目を瞑って、「随分久しぶり、元気にしていた?」、と素直に喜んでみたいものである。その用

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