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高齢期リハビリのココロエ

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これから高齢者になる方たちへ。高齢者リハビリ17年の作業療法士が考える高齢期リハビリにおけるたいせつなことをお伝えしていきます。リハビリは決して機能訓練だけではないんですよ。先入… もっと読む
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#ケアマネジャー

高齢期リハビリのココロエ31 リハビリは難しく考えなくていいんです

高齢期リハビリのココロエ31 リハビリは難しく考えなくていいんです

 勝手に良くなるんですよ、頭手足を使う生活をしていれば。たとえば、こどもって遊びの中で身体が強くなっていきます。中年に差し掛かると体力や筋力は落ちますが身体を動かす趣味をもつと、それなりに身体機能はアップします。そもそも身体を動かす仕事であれば、強い身体をキープできます。
 だから難しく考えなくていいんだと思います、高齢期リハビリも。要介護になっても手足頭を動かす生活をすること。何も特別な筋トレや

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高齢期リハビリのココロエ30 退院直後の介護保険リハビリが大切

高齢期リハビリのココロエ30 退院直後の介護保険リハビリが大切

来年は介護報酬改定ですね。訪問リハでは『退院したら早く介護保険のリハビリサービスを使ったほうが機能回復しますよ』というデータが厚労省から示されてます。
 平均すると在宅復帰後約3週間を経て介護保険リハビリサービスが入るパターンが多いみたいですね。わたしも退院直後の在宅でのリハビリが大切だと考えます。その理由は、在宅に戻るとどんどん衰えていくからです。多くの方はハンデを抱えた要介護高齢者であり、どう

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高齢期リハビリのココロエ28 『歩けないなら家に帰ってくるな!』

高齢期リハビリのココロエ28 『歩けないなら家に帰ってくるな!』

「車椅子なら家に帰ってくるな。」
「家に帰るには歩けないといけない。」
高齢者リハビリ(わたしは老健施設勤務:介護保険サービスのリハビリ施設)に関わってますとそんな言葉をよく耳にします。これはご家族の発言なんですが、反対に自分が同じ立場ならどうでしょうかね。「車椅子でも帰らせてくれ!なんとでもなる!」って言うんじゃないでしょうかね。
 私達、リハビリの専門家からみればご家族のストップにより在宅復帰

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高齢期リハビリのココロエ22 高齢者リハビリは税金のむだづかい?

高齢期リハビリのココロエ22 高齢者リハビリは税金のむだづかい?

よくTwitterで見かけるのが、『高齢者に公金からリハビリ費用を出すのはムダだ』という意見です。ある意味、非常に鋭いご指摘だと思います。さらに、リハビリを受ける方は『マッサージ』を希望し、セラピスト側も希望通りにしてしまう、そんなものは税金の無駄遣いだ!と。
 これ否定できません。要介護高齢者は週1〜2回、1回につき20分〜60分程度の機能訓練や動作練習をしたとて著しい機能回復など望めないことが

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高齢期リハビリのココロエ27 利用者・家族はウソをつく?

高齢期リハビリのココロエ27 利用者・家族はウソをつく?

セ=セラピスト 利=利用者 家=家族
セ「立ち上がれますか?」
利「できません、立たせてください」
→実際はものにつかまれば立てる

セ「歩けますか?」
利「全然、歩けないんです」
→実際は歩行器で歩ける

セ「◯◯さんは、ごはん食べておられますか?」
家「食欲が無く食べられてないんです」

→いつもの7割程度は食べられる
 えてして、医療職・介護職スタッフが利用者本人や家族へ質問した時に『客観的

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高齢期リハビリのココロエ26 こんな考え方は老化が進みやすい…かも

高齢期リハビリのココロエ26 こんな考え方は老化が進みやすい…かも

「病気になって動きにくくなったから、家族に家事をやってもらおう。」
「もう歳だから嫁に家事をしてもらって当然。」
「仕事を定年まで頑張った。もう何もせずのんびり暮らそう。」
「同居したから娘が家事をしてくれる。」
「妻が今までは家のことをしてきたから、これからも家のことは妻に任せよう。」
「車椅子になったらもう何もできない。」
「麻痺が回復しないと元の生活に戻れない。」
「人に迷惑をかけるから動か

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高齢期リハビリのココロエ25 【あなたは1日名前を何回呼ばれますか?】

高齢期リハビリのココロエ25 【あなたは1日名前を何回呼ばれますか?】

 ちょっと数えてみてください、1日何回名前を呼ばれたり話しかけられますか?お仕事してる方は20回は、あるかもしれませんね。反対に1日家にこもっていれば一度もないこともありますよね。
 名前を呼ばれるということは、その社会集団の中で存在が認められているということです。つまり社会の一員だ!と潜在的に感じている、ということですね。
 それに加えてその集団内で『ありがとう』とか『仕事がんばってるね』とか『

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高齢期リハビリのココロエ20 高齢者には不親切に?!

高齢期リハビリのココロエ20 高齢者には不親切に?!

 突然ですが骨折したことありますか?わたしはあります。あれは中学2年のときにスキーで大転倒して右親指を骨折、その後控えていたテニスの大会に出られず、悲しい想いをしました。
 右手を骨折したら不便ですね。右手でしていたことを左手でしないといけないですし。と、私達、若い世代は何かしら身体に不自由があっても、なんとかかんとか工夫をして生活をしていきます。だって右手を骨折してようが宿題はしないといけない、

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高齢期リハビリのココロエ19 認知症の方は不確かな世界にいる

高齢期リハビリのココロエ19 認知症の方は不確かな世界にいる

「あれ、わたしなんでここにいるのかな」「帰る手段はあるのかな」「知ってる人はいるかな」「よく考えたらここはどこ?」「お腹も減ってきた」「もう外は暗くなってきた」「足も痛いしどうしよう」と認知症の方は【状況が把握できないこと】に【自分の不快な感覚情報(痛みや外の暗さ、空腹など)】が重なるといてもたってもいられなくなります。興奮したり、同じ訴えを繰り返したり、といった症状です。
 この場合、状況が把握

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高齢期リハビリのココロエ18 物盗られ妄想・帰宅願望のある方への対応

高齢期リハビリのココロエ18 物盗られ妄想・帰宅願望のある方への対応

 施設の認知症ご利用者が「わたしは今日、帰ることになってはずなのにどうなってるの?」また、違うご利用者も「わたしが洗濯したものが返ってきていない、誰かに盗られた!」とおっしゃっています。さて、どう答えるのが正解でしょう?
 私の場合は、一旦ご利用者のおっしゃることを肯定して一緒に困った気持ちになります。「困りましたね、帰る予定だったんですね。」といった感じです。やっぱりご利用者自身が感じていること

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