高齢期リハビリのココロエ20 高齢者には不親切に?!

 突然ですが骨折したことありますか?わたしはあります。あれは中学2年のときにスキーで大転倒して右親指を骨折、その後控えていたテニスの大会に出られず、悲しい想いをしました。
 右手を骨折したら不便ですね。右手でしていたことを左手でしないといけないですし。と、私達、若い世代は何かしら身体に不自由があっても、なんとかかんとか工夫をして生活をしていきます。だって右手を骨折してようが宿題はしないといけない、風呂にも入らないと、主婦だったら家事をしないといけないですし。
 そう『しないといけないこと』が今回のポイントです。では、骨折したら…を高齢者に当てはめるとどうでしょうか?右手を骨折したAさん、元々家事をしていましたが骨折後は娘がすべて家事を担うようになりました。左半身が麻痺したBさんは息子家族と同居となり嫁がすべての家事をするようになりました。
 そしてAさんもBさんも『しないといけないこと』がなくなってしまい、その後お二人は元気がなくなり、介護保険サービスを利用、「家では活動量が確保できないからデイサービスへ行ってもらいましょう!」とお決まりのコースをたどります。
 人は『しなければならないこと』がなくなると『したいこと』が残ります。しかし、『したいこと』はしなくても死にませんしハンデのある身体ではやる気も起きません。したがって『したいこと』もしなくなります。結局、AさんもBさんも家ですることがなくなり送り迎えのあるデイサービスなどを利用することになるんですね。
 反対に一人暮らしの方は強いんです。『しなければならないこと』が盛りだくさんですので。ハンデのある身体でもなんとか工夫をして家事をされる方、身体を動かすから自分の能力も把握されていますし、休憩するタイミングもわかっていらっしゃる。
 ハンデのある高齢者に手を差し伸べてはいけないといっているのではありません。人は『しなければならないこと』『したいこと』を含めた生活活動により健康や幸福を保っています、それが何かの拍子で一気になくなると、元気がなくなるのは当たり前なんです。そのため、ハンデのある身体で何ができるかを考えることが大切なんです。
 機能訓練に救いを求めたくなりますが『老化は元に戻らない』という前提をもっていてくださいね。高齢者の『しなければならないこと』はいわば自分の仕事、それが継続できるような環境作りが必要なんです。

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