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結婚式のメンバー/カーソン・マッカラーズ 感想
否が応にも帰属してしまう身体と、宙ぶらりんな帰属意識の間には、気の触れた行動を生み出す間隙があるはずだ。ベレニスとの対話において、フランキーは、「人々はばらけていながら、同時に縛られている。縛られていながら、ばらけている。こんなにたくさんの人がいるのに、何が彼らをひとつにまとめているのかはわからない」と自信の置かれた不安定な状況を吐露しており(p.240)、この間隙は、我々に対して自信の存在意義を
もっとみる無職転生大好き芸人です!
おはようございます。
今回は無職転生大好き芸人の皆様にお集まりいただきました。無職転生といえば、現在アニメシーズン第二期が放送中でございますけども、皆さんご覧なられていますか?
私は無職転生のアニメ化が決定されたと告知があった時期には、まだ本作について何も知りませんでしたが、風の噂でどうやらかなり人気な作品であることを知りまして、ええ、当時発売されていた書籍版をすべて購入いたしました。アニメ版に
辻仁成『白仏』読みました。
隼人が亡くなったと聞いた鐡造は隼人が通っていた遊郭で女を抱いたが、稔は抱けなかった。ここでは、遊女を抱くことで隼人の死を受け入れることになるはずだが、それが出来ない稔は死と向き合うのを恐れたのだろう。また、初恋相手の緒永久の幻想を忘れられないのも死を受け入れられずにいることを表している。
そう考えると、骨仏の建立に至ったのは死を受け入れることが出来たからだが、それは隠し持っていた銃を捨てること
『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』における語りの妙
私がオタクくんになったきっかけである作品『俺妹』は、ライトノベルだからと侮ることのできないほど、"何を語るか"だけでなく"どう語るか"が意識されている作品です。そのため、今更ではありますが、ライトノベルの中ではトップクラスに意識された、本作の語りについて考察したいと思います。
一人称視点の語り
本作は、主人公である京介が読者に向けて語りかけるようにして始まります。京介は、読者をまるで友達と話す