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関東から琵琶湖のそばの大津へ住み着いてかれこれ四半世紀以上たちました。この土地に魅せら…

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関東から琵琶湖のそばの大津へ住み着いてかれこれ四半世紀以上たちました。この土地に魅せられてあちこち歩いています。大津近辺がメインですが、時々京都・奈良にも出かけます。先祖の書いた江戸時代のお伊勢参り旅日記の口語訳をアップしています。どうぞよろしくお願いいたします。

記事一覧

伊勢金比羅参宮日記(23) 碓氷峠・横川関所・無事帰宅!

4月6日(68日目) 碓氷峠・横川関所・高崎    天気吉、沓掛、軽井沢までを三宿と言う。賤妓多し、遊ぶべからず。  これから碓井峠にかかる。この峠は、下りばかりで、…

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1日前
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伊勢金比羅参宮日記(22) 松本から善光寺・上田

4月3日(65日目) 松本から長野  天気吉、暖気風少しあり。  岡田宿を出発して、少し行き仇坂峠あり。峯まで1里8丁、茶屋あり。  そこから苅屋原宿会田たち峠(苅…

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2日前
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伊勢金比羅参宮日記(21) 木曽路

3月30日(62日目) 木曽路  天気吉、中津川から落合へ。そこから馬込宿の間に十石村がある。十石峠という。この峠は美濃と信濃との境である。  そこから馬籠峠を越し…

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3日前
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伊勢金比羅参宮日記(20) 関ヶ原・墨俣・大久手

3月27日(59日目) 関ヶ原  天気吉、暖気、早晨に出発し少し行って、美濃と近江の寝物語の家がある。縁起を売る。  そこから少々行き、車返しの坂がある。今須峠。 …

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4日前
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伊勢金比羅参宮日記(19) 延暦寺・三井寺・石山寺

3月24日(56日目) 八瀬より叡山延暦寺経て大津三井寺へ  天気吉、少々曇る。今日は出発、比叡山越を心掛ける。  下加茂から八瀬の里へ向かう。そこから比叡山の麓、…

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5日前
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伊勢金比羅参宮日記(18) 京都2

3月21日(53日目) 大徳寺・壬生・東寺  天気吉、早朝黒門へ。  誓願寺の福井丹波守様(福井楓亭の長子(榕亭):医の宗家)を訪ねる。昨年5月中近江守(丹波守の長子…

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6日前
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伊勢金比羅参宮日記(17) 京都

3月18日(50日目) 宇治平等院  雨天、出発して岩清水八幡宮へ参詣する。そこから宇治へ至る。茶飯を食べて、そこから平等院へ行く。宝物開帳、古色見ておくこと。(源…

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7日前
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伊勢金比羅参宮日記(16) 住吉大社・四天王寺・大阪天満宮・大阪城址

3月15日(47日目) 住吉大社・四天王寺  曇天、九つ半時(午後1時)より天気。  この日、境(堺)に行く。妙国寺の蘇鉄を一見。この辺は鍛冶屋が多い。どの鍛冶屋もみ…

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9日前
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伊勢金比羅参宮日記(15) 明石・神戸

3月13日(44日目) 明石  雨天。日の出と共に高砂を出発する。高砂の町外れに川(加古川)がある。石で堤防を築いてあり、その上を通る。  そこから細道を12丁行く…

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10日前
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伊勢金比羅参宮日記(14) 岡山・赤穂・姫路

3月9日(41日目) 岡山   快晴、出発して吉備津宮(吉備津神社)へ参詣。そこから岡山の御城下へ出る。この間2里、とても良いところである。賑やかさは名古屋に次ぐ。…

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11日前
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カツオのたたきって?

「カツオのたたき」ってなに?  そう聞くとみんな当たり前のように、「カツオの刺身の表面を炙ったやつでしょ?」と言う。  またある人は、当然のように「カツオの刺身…

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11日前
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夫婦のパラレルワールド

妻と一緒に京都の街を歩いていると、いつも不思議に思うことがある。  同じ通りを歩いてきたはずなのに、見ているものがまったく違う。  「さっきのバナナブリュレフラ…

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12日前
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伊勢金比羅参宮日記(13) 金比羅・善通寺

3月6日(38日目) 金比羅  雨天。高松を出発し、馬を取り瀧の宮(香川県綾歌郡綾南町大字滝宮)に着く。  この間5里で平坦である。瀧の宮の「あわや重五郎」にて茶漬…

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13日前
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伊勢金比羅参宮日記(12) 和歌山から舟で四国へ渡る・高松

3月3日(35日目) 和歌山から船で四国へ  快晴、朝、粟島様(加太淡島神社)に参詣。今日は例祭である。お宮は海辺に築出しており、御造営である。  4つ半時(午前11…

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2週間前
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湖西線50周年

 平安時代、紫式部と父藤原為時が打出浜から近江塩津まで船で渡った。  昔から越前敦賀から京都への荷物の輸送は、敦賀から峠を越えて、現在の北陸本線、および、国道8…

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2週間前
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伊勢金比羅参宮日記(11) 金剛峰寺・紀三井寺・和歌山

2月29日(32日目) 金剛峰寺  快晴。加手村(河根村)を出発してから登り坂ばかりで難所が多い。  加みや(神谷)へ着くと、茶屋にて「お国元はどこですか?」と聞い…

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2週間前
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伊勢金比羅参宮日記(23) 碓氷峠・横川関所・無事帰宅!

伊勢金比羅参宮日記(23) 碓氷峠・横川関所・無事帰宅!

4月6日(68日目) 碓氷峠・横川関所・高崎
 
 天気吉、沓掛、軽井沢までを三宿と言う。賤妓多し、遊ぶべからず。

 これから碓井峠にかかる。この峠は、下りばかりで、登り18丁、下り2里8丁である。今日は薄雲を催す。

 坂本に出て中食。そこから横川の御関所にかかる。この御関所は下りであれば届けなくても良い、ずっと通りて苦しからず。

 そこから松井田、安中、板鼻、高崎に夕刻到着。大黒屋九兵衛に

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伊勢金比羅参宮日記(22) 松本から善光寺・上田

伊勢金比羅参宮日記(22) 松本から善光寺・上田

4月3日(65日目) 松本から長野

 天気吉、暖気風少しあり。

 岡田宿を出発して、少し行き仇坂峠あり。峯まで1里8丁、茶屋あり。

 そこから苅屋原宿会田たち峠(苅谷原宿・会田・立峠)あり。難所である。

 そこから青柳宿で茶漬。

 少々行きて石の切通あり。長さ十五間、幅1丈1尺、高さ1丈5~6尺、文化6年(1809年)4月切通とある。

 そこから尾見宿に至る。この宿端から姥捨山へ行く道

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伊勢金比羅参宮日記(21) 木曽路

伊勢金比羅参宮日記(21) 木曽路

3月30日(62日目) 木曽路

 天気吉、中津川から落合へ。そこから馬込宿の間に十石村がある。十石峠という。この峠は美濃と信濃との境である。

 そこから馬籠峠を越し、妻籠に至る。このあたりから馬の子をとる家が多い。12月に生まれたため7日間だけ馬屋におり、そこから山野に出して親子共に放し置く。

 昨日から絶え間なく木曽川の谷間を行く。山の中では杜鵑(とけん:杜鵑は『ほととぎす』の意味。つつじ

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伊勢金比羅参宮日記(20) 関ヶ原・墨俣・大久手

伊勢金比羅参宮日記(20) 関ヶ原・墨俣・大久手

3月27日(59日目) 関ヶ原

 天気吉、暖気、早晨に出発し少し行って、美濃と近江の寝物語の家がある。縁起を売る。

 そこから少々行き、車返しの坂がある。今須峠。

 今須を越えて、常磐御前(源義朝の正妻:頼朝義経の母、平清盛の愛妾)の石塔があったが見られず。左の方に城跡(玉城跡)がある。

 また小さな峠がある。大関村、不破の関跡あり。

 そこから関ヶ原宿に至る。この辺りで養老酒を売る家多

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伊勢金比羅参宮日記(19) 延暦寺・三井寺・石山寺

伊勢金比羅参宮日記(19) 延暦寺・三井寺・石山寺

3月24日(56日目) 八瀬より叡山延暦寺経て大津三井寺へ

 天気吉、少々曇る。今日は出発、比叡山越を心掛ける。

 下加茂から八瀬の里へ向かう。そこから比叡山の麓、八瀬の里に3軒ほど茶屋がある。ここでは兎も角も食事をして、案内を頼むこと。山中では道を聞ける人もなく、また飲食もない。また、わらじを用意しておくこと。

 叡山(延暦寺)は甚だ大廃しており衰いている。しかしながら大伽藍である。金の双

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伊勢金比羅参宮日記(18) 京都2

伊勢金比羅参宮日記(18) 京都2

3月21日(53日目) 大徳寺・壬生・東寺

 天気吉、早朝黒門へ。

 誓願寺の福井丹波守様(福井楓亭の長子(榕亭):医の宗家)を訪ねる。昨年5月中近江守(丹波守の長子:医師:従四位)が亡くなり、子息は21歳であるという。

 そこから帰りかけ途中に連中に合う。雲林院に行く。名前だけで見どころはない。

 大徳寺座敷拝見、妙なり。ただし400文。

 金閣寺、北野天神(北野天満宮)、壬生寺、但し

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伊勢金比羅参宮日記(17) 京都

伊勢金比羅参宮日記(17) 京都

3月18日(50日目) 宇治平等院

 雨天、出発して岩清水八幡宮へ参詣する。そこから宇治へ至る。茶飯を食べて、そこから平等院へ行く。宝物開帳、古色見ておくこと。(源)頼政の墓、高倉院の古殿、扇の芝鎧掛の松など一見。

 そこから黄檗山萬福寺一見、唐造作、見るべきものなり。

 伏見に廻り、藤の森天王稲荷社(伏見稲荷大社)、東福寺など雨であったので寄らなかった。

 伏見から京まで町続き、但し2里

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伊勢金比羅参宮日記(16) 住吉大社・四天王寺・大阪天満宮・大阪城址

伊勢金比羅参宮日記(16) 住吉大社・四天王寺・大阪天満宮・大阪城址

3月15日(47日目) 住吉大社・四天王寺
 曇天、九つ半時(午後1時)より天気。

 この日、境(堺)に行く。妙国寺の蘇鉄を一見。この辺は鍛冶屋が多い。どの鍛冶屋もみな本家、本家と申す。刃物は一切きれず、決して買ってはいけない。

 途中よりいろいろと這●●に勧めてくる人が出るが、決して取り合ってはいけない。

 住吉四処明神(住吉大社)は大社であった。参詣する。そこから茶臼山麓に一心寺があり、

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伊勢金比羅参宮日記(15) 明石・神戸

伊勢金比羅参宮日記(15) 明石・神戸

3月13日(44日目) 明石

 雨天。日の出と共に高砂を出発する。高砂の町外れに川(加古川)がある。石で堤防を築いてあり、その上を通る。

 そこから細道を12丁行くと、住吉の社(尾上神社)に到着する。庭前に尾上の鐘がある。古色名品絶妙。実に天下無双というべし。相生の松は、古木は現在枯れてしまい、社の様堂中にみすの内にある。現存するものは、3代目の植え継ぎである。枝葉は繁茂で、高砂に比べると男女

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伊勢金比羅参宮日記(14) 岡山・赤穂・姫路

伊勢金比羅参宮日記(14) 岡山・赤穂・姫路

3月9日(41日目) 岡山

  快晴、出発して吉備津宮(吉備津神社)へ参詣。そこから岡山の御城下へ出る。この間2里、とても良いところである。賑やかさは名古屋に次ぐ。

 そこから藤井まで2里、ひと市(岡山市一日市)まで2里、かがと(備前市香登)1里の距離である。

 そして印部(備前市伊部)に出る。ここは備前焼物を商う。形状種々あり、値段は至って安い。

 そこから8丁行って片上(備前市片上)で

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カツオのたたきって?

カツオのたたきって?

「カツオのたたき」ってなに?

 そう聞くとみんな当たり前のように、「カツオの刺身の表面を炙ったやつでしょ?」と言う。

 またある人は、当然のように「カツオの刺身を叩いて、タレを浸み込ませる食べ方じゃない?」

 はたまた別の人は「カツオの刺身表面を藁を燃やして一気に炙って、それを切って生姜やニンニク、ネギ、柚子、玉ねぎ、お酢、醤油とかで食べるのだよ」と語ってくれる。

 一体、カツオのたたきっ

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夫婦のパラレルワールド

夫婦のパラレルワールド

妻と一緒に京都の街を歩いていると、いつも不思議に思うことがある。

 同じ通りを歩いてきたはずなのに、見ているものがまったく違う。

 「さっきのバナナブリュレフラペチーノって美味しそうだよね!」と満面の笑みで言う。
 「え?なにそれ?」
 「えー!どこ見て歩いてたのよ!スタバの店の前にドーンと貼ってあったじゃないの!絶対あれ美味しいって!」
 「スターバックスなんてあったか?」

 と言う感じな

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伊勢金比羅参宮日記(13) 金比羅・善通寺

伊勢金比羅参宮日記(13) 金比羅・善通寺

3月6日(38日目) 金比羅

 雨天。高松を出発し、馬を取り瀧の宮(香川県綾歌郡綾南町大字滝宮)に着く。

 この間5里で平坦である。瀧の宮の「あわや重五郎」にて茶漬を食べる。この場所は菅公(菅原道真)の治めていたところの旧跡であり、天神の宮(滝宮天満宮)がある。大社である。瀧の宮(滝宮神社:牛頭天王社)は、牛頭天王を祀っており、側には滝がある。

 ここから金比羅まで2里。同じく平坦である。

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伊勢金比羅参宮日記(12) 和歌山から舟で四国へ渡る・高松

伊勢金比羅参宮日記(12) 和歌山から舟で四国へ渡る・高松

3月3日(35日目) 和歌山から船で四国へ

 快晴、朝、粟島様(加太淡島神社)に参詣。今日は例祭である。お宮は海辺に築出しており、御造営である。

 4つ半時(午前11時)出帆。水夫3人、舟30石入、乗合27人。この日清和(よく晴れておだやかなこと)にて、稀に見る良い天気であり、海上も穏やかであるが、鳴門近くでは波が荒く、舟は大いに動揺した。

 夜になり、5つ時(午後8時)に撫養(むや)へ到着

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湖西線50周年

湖西線50周年

 平安時代、紫式部と父藤原為時が打出浜から近江塩津まで船で渡った。

 昔から越前敦賀から京都への荷物の輸送は、敦賀から峠を越えて、現在の北陸本線、および、国道8号線で近江塩津へ陸上を走り、

近江塩津から舟で琵琶湖を縦断し堅田、坂本、大津へと運ばれた。

 やがて、船での輸送は鉄道に置き換わった。

 敦賀から近江塩津、高島、堅田、大津京、山科、京都。

 特急「サンダーバード」が走っている。昔

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伊勢金比羅参宮日記(11) 金剛峰寺・紀三井寺・和歌山

伊勢金比羅参宮日記(11) 金剛峰寺・紀三井寺・和歌山

2月29日(32日目) 金剛峰寺

 快晴。加手村(河根村)を出発してから登り坂ばかりで難所が多い。

 加みや(神谷)へ着くと、茶屋にて「お国元はどこですか?」と聞いてくる。これは坊(金剛峰寺)からの案内のつもりである。坊に到着したら案内させれば良い。坊に行かずに通り抜けならば国所は名乗らず、坊に行かないということを答えておく。

 坊に着けば、何分隙入り且つまた月拝日拝など勧められ、入り用も多

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