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R-50 Ladies Only

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本来は中年女性である私の心の触れたあれこれ綴るつもりが、「父がひとりで死んでいた」という記事が思いがけず多くの方に読まれたことで、親の死や介護や実家の空き家問題を書くことが増えて… もっと読む
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#日記

公式サイトをつくりました

公式サイトをつくりました

公式サイトを作って公開しました。

noteでは、50代になったからこそ感じるあれこれを書こうと「R-50 Ladies Only」というコラムをつくっていたのですが、「父がひとりで死んでいた」のエントリ以降は死んだ父のこと、認知症になって施設に入った母のこと、無人になった実家のことを中心に綴ってきました。

この1年は、そうすることしか自分の心が軽くなる術がなかったからです。

それ以外のことを

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初盆と百合の花

初盆と百合の花

父親が死んでいたのが見つかったのは2021年1月14日、検視によりその1週間前にはこの世界からいなくなっていたことがわかったので、今年は初盆ということになる。

私にとってお盆とは「母方の"おばあちゃんの家"に行くと親戚のおじさん達が食卓を囲んで酒を飲み赤い顔をしており女たちは台所脇の小さな部屋に集まって残り物をつつく」日だった。

そこに先祖が帰るとか鎮魂といった意味は子どもには見いだせなかった

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臆病な自尊心、尊大な羞恥心

臆病な自尊心、尊大な羞恥心

昨日、ちょっとしたインタビューを受け、最後の一問一答に「最近泣いたのはどんな時でしたか」というものがあった。「あまり考えずに答えてください」と言われ、とっさに私が答えたのは「中島敦の『山月記』を読んで」だった。

あまりにも有名なこの短編を、最近ふとしたきっかけで「青空文庫」で再読した。人食い虎になってしまった元官吏が、明け方の山の中でかつての親友と再会する話だ。

私の心に突きつけられたのは「臆

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青いパジャマと夏布団

青いパジャマと夏布団

今朝、父親がまっさらな青いパジャマを着て私に夏布団を持ってきてくれた夢を見た。

ありがとう、と言った後に、死んだはずなのにと思い、あれ? 今日何月何日だっけ? と聞くと、ちょっと悲しそうな顔をしてふわっといなくなった。

夏が近づいてくる。

ミモザの服を買った日に

ミモザの服を買った日に

先日、父親がひとりで死んでいたことを書いた。

その後、四十九日が過ぎて、一区切りつけた、つもりだ。

というのも、多くの友人知人に声をかけてもらい気を遣ってもらうことに、今度は私自身が自責の念を感じ始めたからだった。

誰だって自分の日々でいっぱいいっぱいだ。人のことを気にかけるのは疲れるよね。もう気を遣ってもらわなくてもいいよ。そう宣言したかったのだ。

もう気を遣ってもらわなくてもいいよ。私

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メメント・モリ〜四十九日が終わっても

メメント・モリ〜四十九日が終わっても

藤原新也の写真集『メメント・モリ』(1983年刊)をくれたのは、ジョンとヨーコのような先輩カップルだった。

田舎らしく保守的で、他県に進学することを許さなかった両親の望みもあり、私は地元の国立大学に入った。まだ10代で、仏文科に入った私に、3歳年上の建築科のカップルは、あまりにも違う世界に住んでいるようでまぶしかった。

この本は、野犬に貪られている死体やガンジス川のほとりで焼かれている遺体など

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誰もいなくとも、春はめぐってくる。

誰もいなくとも、春はめぐってくる。

今日、無人の実家を叔母に見に行ってもらったら、門の花壇に白い花が咲いていたよと教えてくれた。

誰もいなくとも、春はめぐってくる。

短編小説集『夏物語』をAmazon Kindleで発売しました。

短編小説集『夏物語』をAmazon Kindleで発売しました。



「如月さん、小説を書いてみませんか?」と、とある大手出版社から声をかけてもらったのは2015年の初め。2000文字の超短編小説の連載依頼でした。どんなテーマで何を書くか、と考えたとき、私は小説家ではなくそもそも俳人なので、俳句をテーマにしようと思い立ちました。

私は有季定型(季語が入って五・七・五の一七音を基本とする、型の決まった表現)という伝統を守りつつ、その器に、現代の働く女性という立場

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円形脱毛症が発見された

円形脱毛症が発見された

人間、長く生きているといろんな目に遭うものですが、よもや自分の身に起こるまいとすら思ってもいなかったことが起きるときがあります。想像すらしていなかったわけだから、驚く前に現実を理解するまでに少し時間がかかります。

いつものように月に1度のヘアサロンに行ってカットしてもらっているときに、スタイリストさんが「んんっ!?」という声を出してハサミを止めました。

「…如月さん…円形脱毛症になってますね…

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生理よ、さようなら、永遠に。更年期になって、つらいやら苦しいやら

生理よ、さようなら、永遠に。更年期になって、つらいやら苦しいやら

気がついたのは2か月後くらいでした。「あれ? 先月、生理来てなくない?」

13歳のときに月経がはじまって以来、欠かすことなくログをつけてきました。そういう教育がちょうど中学校でなされ「エンジェルメモ」なる月経ログ手帳をもらったからです。

思えば、あれが生涯で初めてのライフログだったのだな。しかも37年の長きにわたり、私は欠かさずつけ続けてきたのです。すごいよね。

そう、ガジェット男子が「ライ

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