藤田結子

ふじた・ゆいこです。2020年から短歌を作り始めました。日経歌壇などに投稿しています。…

藤田結子

ふじた・ゆいこです。2020年から短歌を作り始めました。日経歌壇などに投稿しています。 短歌以外にも、日々の雑感を綴っています。

記事一覧

八朔の舟

四国の祖母から、八朔がたくさん届いた。 祖母は昨年亡くなったので、正確には、祖母のいた家に住む母から、なのだけれど。 毎年祖母の名前で送ってもらっていたから、四…

藤田結子
12日前
9

吐息のように

日々、短歌をつくり、主に日経歌壇に、時々NHK短歌に投稿して、数年が経つ。 たまに採ってもらえると嬉しいし、評をもらえると、舞い上がる。 数年続けてみて思うことは、…

藤田結子
4週間前
11

早く帰りたい

新年度が始まった。 自分は異動しなくても、同じ部署でいろいろと人の入れ替えがあり、毎度のこととはいえ、慌ただしくて心がざわざわして、意味もなく疲れてしまう。 新…

藤田結子
1か月前
11

木瓜が咲いた

ついに、ボケの盆栽が咲いた。 去年の春、お花屋さんで一目惚れして買ってきた、ミニ盆栽。 「毎年咲きますよ」と言われたけれど、植物を育てるのが下手なので、また今年咲…

藤田結子
1か月前
12

川のある町で

今の町に引っ越してきて、8か月ほど。 10年日記の去年の欄を見ると、去年の今ごろはまだ前の家にいて、引っ越しなんて考えてもいなくて、賃貸借契約を更新している。 …

藤田結子
1か月前
11

謡い、舞い、そして歌う

年が明けて、もう20日あまり。 今年もすごい勢いで、過ぎていきそう。 先日、本屋さんのレジに並んでいたら、前方に並んでいる若い人がたくさんの歌集を抱えていた。 本…

藤田結子
3か月前
18

今年が終わる

ようやく、御用納めがやってきた。 嬉しいというより、ほっとして、疲れがどっと押し寄せてくる。 12月は、とても慌ただしかった。 ハムスターの回し車がすごいスピードで…

藤田結子
4か月前
13

下を向かない

能のお稽古を始めて、もうすぐ一年が経つ。 謡と仕舞(ざっくり、歌と踊り)、両方習うのは欲張りすぎるかなあと思いつつ、思いきって両方始めて、案の定、練習不足でどち…

藤田結子
4か月前
14

冬のサボテン

散歩をしていたら、ご近所のサボテンが花を咲かせていた。 小さな小さなサボテンのモコモコが集まった、かわいい花壇。 そのモコモコたちの頭の一つ一つに、鮮やかなオレン…

藤田結子
4か月前
14

白鷺の朝

いつの間にか、もう12月。 晩秋に入ってからも暖かな日が多かったけれど、12月ともなると、さすがに朝晩の冷え込みは厳しくなって、家の前のハナミズキの葉も、真っ赤に染…

藤田結子
5か月前
14

5分早起き、そして水やり

昔から朝が苦手で、太陽の光が苦手だった。 大人になった今も、相変わらず朝は弱いけれど、お日様のありがたみは、少し分かるようになった。 それは、年を重ねるごとに、…

藤田結子
6か月前
23

歌も、謡も

今月のダ・ヴィンチは、短歌特集。 歌人の瀬戸夏子さんと尾崎世界観さんの対談の中で、短歌は下積みの必要なジャンル、というお話が印象的だった。 短歌を続けていって、…

藤田結子
6か月前
17

惑わず

先日、40歳になった。 家族からは、なんだか信じられないね、と言われる。 末っ子だから、いつまでも子どものイメージがあるらしい。 自分自身はどうかといえば、35歳…

藤田結子
7か月前
18

わたしにもお囃子がほしい川べりを吉野天人謡って帰る

お能を観るたびに、シテ(主役)を盛り上げるお囃子に魅了される。
私は私を、鼓舞するしかないけれど。

藤田結子
7か月前
15

空っぽの

残暑の厳しい、今日この頃。 でも、夜の散歩は格段にしやすくなったから、やはり秋は来ているのだろうと思う。 二回の子育てを無事に終えて、近所のツバメは巣立っていっ…

藤田結子
8か月前
20

夏の終わりに

まだまだ暑いけれど、お盆を過ぎた頃から、朝晩は少し過ごしやすくなって、真夏はもう終わったのかなあと思う。 夜、仕事から帰るとき、あんなに蝉が鳴いていたのに、今は…

藤田結子
8か月前
16
八朔の舟

八朔の舟

四国の祖母から、八朔がたくさん届いた。

祖母は昨年亡くなったので、正確には、祖母のいた家に住む母から、なのだけれど。
毎年祖母の名前で送ってもらっていたから、四国からの贈り物は、祖母から、という感じがする(母にも、感謝)。

私は、八朔が好きだ。
最近は、あまり人気がないみたい。
たしかに、分厚い皮をむき、さらに薄皮をむき、ようやく食べたら水分は少なめでちょっと苦いという、現代人には不向きな果物

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吐息のように

吐息のように

日々、短歌をつくり、主に日経歌壇に、時々NHK短歌に投稿して、数年が経つ。
たまに採ってもらえると嬉しいし、評をもらえると、舞い上がる。

数年続けてみて思うことは、力をこめて作った思い入れのある歌は、大抵採られない、ということ。
これまで採ってもらえたのは、朝起きて、ぼーっと白湯を飲みながらふっと浮かんだものや、川沿いをぶらぶら散歩しながら、なんとなく思い付いた歌がほとんどだ。

やはり、無駄な

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早く帰りたい

早く帰りたい

新年度が始まった。
自分は異動しなくても、同じ部署でいろいろと人の入れ替えがあり、毎度のこととはいえ、慌ただしくて心がざわざわして、意味もなく疲れてしまう。

新しい人たちとの出会いに、ワクワクできるような性格ならいいのだけれど。
昔から、変化が苦手なのは、変わらない。

新しい人たちを迎えて、仕事のスタイルもいろいろだ。
朝型・夜型、職場派・在宅派、それぞれに自分のやり方がある。
あなたは何型?

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木瓜が咲いた

木瓜が咲いた

ついに、ボケの盆栽が咲いた。
去年の春、お花屋さんで一目惚れして買ってきた、ミニ盆栽。
「毎年咲きますよ」と言われたけれど、植物を育てるのが下手なので、また今年咲いてくれるか、正直不安だった。

去年、花が終わったあとに虫がついてしまったこともあり、だんだんと元気がなくなってきて、引っ越す前あたりは、もう枯れてしまうかもと思っていた。
それが、引っ越してからはなぜかぐんぐん元気になって、やたらと枝

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川のある町で

川のある町で

今の町に引っ越してきて、8か月ほど。
10年日記の去年の欄を見ると、去年の今ごろはまだ前の家にいて、引っ越しなんて考えてもいなくて、賃貸借契約を更新している。

そんな風に突然引っ越したのに、今の町に、もうずっと前から住んでいるような気がする。
前の住所と近いから、なじみやすかったというのもあるかもしれないけれど、変化の苦手な私にとって、意外な結果だった。

引っ越して、最寄り駅は遠くなり、その分

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謡い、舞い、そして歌う

謡い、舞い、そして歌う

年が明けて、もう20日あまり。
今年もすごい勢いで、過ぎていきそう。

先日、本屋さんのレジに並んでいたら、前方に並んでいる若い人がたくさんの歌集を抱えていた。
本当に、短歌ブームなんだなあ、と思う。

短歌を作りはじめて、はや四年。
周りに同じ趣味の人がいないこともあり、短歌ブームを実感することはなかった。
それが、こんなに若い人にまで広がっているなんて。
今年の大河は紫式部だし、ますます盛り上

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今年が終わる

今年が終わる

ようやく、御用納めがやってきた。
嬉しいというより、ほっとして、疲れがどっと押し寄せてくる。

12月は、とても慌ただしかった。
ハムスターの回し車がすごいスピードで回転して、足がついていかなくなってグルグル翻弄されるような、そんな毎日。

ハムスターは小さい頃から、教えなくても回し車を回す。
まだ小さいときは、カラカラカラ、と可愛い音。大きくなると、びっくりするくらい力強く、ブンブン回す。

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下を向かない

下を向かない

能のお稽古を始めて、もうすぐ一年が経つ。
謡と仕舞(ざっくり、歌と踊り)、両方習うのは欲張りすぎるかなあと思いつつ、思いきって両方始めて、案の定、練習不足でどちらもなかなか身に付かないのだけれど、楽しく取り組めているから、とりあえず良いことにする。

なにより、両方習っていることで、お能を観に行ったときの楽しみ方が、習う前と比べて、広がったように思う。
自分が謡ったことがあると、何を言っているのか

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冬のサボテン

冬のサボテン

散歩をしていたら、ご近所のサボテンが花を咲かせていた。
小さな小さなサボテンのモコモコが集まった、かわいい花壇。
そのモコモコたちの頭の一つ一つに、鮮やかなオレンジの花が、髪飾りのようにくっついている。
冬にも咲くんだ!それも、枯れ葉舞う寒さを吹き飛ばすような、ビタミンカラー。

ああ、いいなあ、と思う。
こんな小さなサボテンにも、花が咲くんだ。
こんなに身近に、知らないことが、まだまだたくさんあ

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白鷺の朝

白鷺の朝

いつの間にか、もう12月。
晩秋に入ってからも暖かな日が多かったけれど、12月ともなると、さすがに朝晩の冷え込みは厳しくなって、家の前のハナミズキの葉も、真っ赤に染まった。

朝、川沿いを、コートとマフラーに埋まりながら歩く。
冷蔵庫の中のような空気で、顔が寒い。
お休みの日くらい、遅くまで眠っていたいのだけれど、年のせいか、長く眠り続けることができなくなった。

今年も、あと一か月を切った。

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5分早起き、そして水やり

5分早起き、そして水やり

昔から朝が苦手で、太陽の光が苦手だった。

大人になった今も、相変わらず朝は弱いけれど、お日様のありがたみは、少し分かるようになった。
それは、年を重ねるごとに、うまく眠れなくなったせいかもしれない。
「朝起きたらすぐに窓を開けて、太陽の光を浴びましょう」と、どの眠りの本にも書いてある。眠りのための準備は、朝から始まっているのだ。

とはいえ朝は苦手のままなので、平日の朝はバタバタだ。
屋外で育て

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歌も、謡も

歌も、謡も

今月のダ・ヴィンチは、短歌特集。
歌人の瀬戸夏子さんと尾崎世界観さんの対談の中で、短歌は下積みの必要なジャンル、というお話が印象的だった。

短歌を続けていって、劇的に変化が生じるには、少なくとも三年はかかるし、十年やるまで分からない。
三年から十年の間に、とても良くなる人が多いのだとか。

ちょうど私が短歌を作りはじめて、三年が過ぎたところ。
短歌も十年か、と思うと、嬉しくなった。

能の謡のお

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惑わず

惑わず

先日、40歳になった。
家族からは、なんだか信じられないね、と言われる。
末っ子だから、いつまでも子どものイメージがあるらしい。

自分自身はどうかといえば、35歳を過ぎた辺りから体力気力とも衰える一方で、むしろまだ40代じゃなかったのか!という感じ。

よく40年も生きてきたなあ。
なんだかもうボロボロだ。
人生100年時代といわれるけれど、みんなどうやってこんな長生きしているんだろう。

とは

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わたしにもお囃子がほしい川べりを吉野天人謡って帰る

お能を観るたびに、シテ(主役)を盛り上げるお囃子に魅了される。
私は私を、鼓舞するしかないけれど。

空っぽの

空っぽの

残暑の厳しい、今日この頃。
でも、夜の散歩は格段にしやすくなったから、やはり秋は来ているのだろうと思う。

二回の子育てを無事に終えて、近所のツバメは巣立っていった。
空っぽのおわんの巣が残されて、ちょっと寂しいけれど、来年はまたあの巣を補修して子育てをするのだろう。

毎日毎日働き詰めで、休日は、心身を休めただけで過ぎてゆく。
あああ不幸だ。
夜、職場から帰りながら、そんなふうに思う。
でも、そ

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夏の終わりに

夏の終わりに

まだまだ暑いけれど、お盆を過ぎた頃から、朝晩は少し過ごしやすくなって、真夏はもう終わったのかなあと思う。

夜、仕事から帰るとき、あんなに蝉が鳴いていたのに、今は澄んだ虫の音に変わっている。
子どもたちはあと少し夏休みがあるようだけれど、大人である私の休暇はあっという間に過ぎ、今はすっかり平常モードだ。
休みのうちにたまった仕事が押し寄せてきて、溺れそう。こんなことなら、休みなんてないほうがよかっ

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