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空っぽの

残暑の厳しい、今日この頃。
でも、夜の散歩は格段にしやすくなったから、やはり秋は来ているのだろうと思う。

二回の子育てを無事に終えて、近所のツバメは巣立っていった。
空っぽのおわんの巣が残されて、ちょっと寂しいけれど、来年はまたあの巣を補修して子育てをするのだろう。

毎日毎日働き詰めで、休日は、心身を休めただけで過ぎてゆく。
あああ不幸だ。
夜、職場から帰りながら、そんなふうに思う。
でも、それが生きていくってことなんだよなあ。自分の力で、生活していくしかないのだ。

ツバメの子育ては、それはそれは壮絶だ。
親鳥は恐ろしいスピードでエサを運び、ヒナは狂ったように親にアピールする。
生きることの厳しさを、毎年教えられるような気がする。

来年、またツバメの夫婦がやってくるだろう。
新しいヒナたちに会えるよう、私もあきらめずに生きていこう。


いっせいに口を開いたひなどりのいのちの火花ふりそそぐ朝
(令和5年度夏の短歌大会佳作・大井学選)


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