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【連載小説 第18話】初対面の小学生女児から「お父さんと結婚して」と言われた35歳、無職。
●第18話 川越で越えるお父さん
なんで私、この子生んじゃったんだろ。
駿は大学での授業を終え、急いで姉のいる産院に駆けつけた。おめでとう、お疲れ様、これから一緒にいい子に育てよう――最初にかける言葉はどういったものがいいだろうか。考えながら姉のいる部屋へやってきたが、開口一番がこれだった。
「姉は真冬を愛せませんでした」
駿は目の前の道路に違う時空を見ているようだったが
【連載小説 第17話】初対面の小学生女児から「お父さんと結婚して」と言われた35歳、無職。
●第17話 新車で川越に行く女性とお父さん
「えー、明日は桜ちゃんと橘平君とよっしーと一緒にイオン行ってクラシカ・ハルモニ劇場版見てマック食べて本屋さん行ってかわちいのPOP UP行ってあといろいろあるから夕方まで遊ぶんだけど」
駿が運動会から帰宅した真冬に明日の納車からの川越について伝えたところ、こんな回答が返って来た。ちなみに『クラシカ・ハルモニ』は昨年大ヒットしたロボットアニメ、お友達
【連載小説 第16話】初対面の小学生女児から「お父さんと結婚して」と言われた35歳、無職。
●第16話 運動会を見に来た女性
「きゃ、キャラ弁?」
ついに今週の土曜日が運動会。そして今日は火曜日。学校から帰って来た真冬から、思わぬリクエストが届いた。
「運動会はキャラ弁作ってくれるの、毎年。お母さん作れる?」
「作ったことないけど……お父さん、キャラ弁作ってくれたの?」
真冬は自室からタブレットを持ち出し、フォトギャラリーを開く。去年のキャラ弁を表示した。そこには子供に人気
【連載小説 第15話】初対面の小学生女児から「お父さんと結婚して」と言われた35歳、無職。
●第15話 お母さんアルバイトに頭を悩ます女性
GWが終わり、まつりは引っ越し作業をすべて終わらせるために動き始めた――のであるが、同時に小学校の行事という問題にぶちあたった。
「う、運動会……」
真冬の通う小学校では5月末に運動会がある。GW明けの学校後、そのお知らせをもらってきたのだった。
お母さんのアルバイトは続行している。そのために同居し始めたまつりだが、家事の事ばかりに頭が
【連載小説 第14話】初対面の小学生女児から「お父さんと結婚して」と言われた35歳、無職。
●第14話 お父さんの事情を結構知ってる小学生
「トマトのその、なんだ、そこだ、そこにハサミいれろ」
2人は玄関側から左に入ると現れる、小さな畑にやってきていた。反対側は木が生い茂っているが、畑側は開けており、トマトやキュウリなどが太陽の光を受けて鮮やかさを増している。
真冬は信一の要領を得ない指示通りにトマトの軸にハサミを入れる。ぱちりと切り落とす。
「あのもやし、まつりのこと好きな
【連載小説 第13話】初対面の小学生女児から「お父さんと結婚して」と言われた35歳、無職。
●第13話 おじいちゃんちへ招待した女性
日が暮れ始めた頃、まつりは福島駅に戻ってきた。待ち合わせ場所に既にやって来ていた宇那木親子を拾い、本日の宿を目指す。
到着して直ぐ、彼らは露天風呂もあるという、宿自慢の大浴場へ向かった。
真冬は「お母さん」との初めてのお風呂に、浴衣を抱えてスキップしていた。そもそも、銭湯のたぐいも行ったことがなく、他人と風呂に入る場が珍しいのである。駿と宿泊を
【小説】神社の娘(第44話 葵、上司にしごかれる)
「いえーい!うわーまじ楽しみ!」
向日葵がさきいかを食みながらスマホを見て、嬉しそうな声を上げた。
「あら何、推しのライブでも当たった?」
ワインを赤白交互にがぶ飲みしながら、葵の筆の持ち方や書き方、態度、この場で酒を飲まない事…とにかく彼のすべてにダメ出しを入れる桔梗が反応した。
葵と向日葵は今、安ワインの匂いで充満する桔梗宅の和室にいる。今夜は筆遣いからしてなってない葵を、
【連載小説 第12話】初対面の小学生女児から「お父さんと結婚して」と言われた35歳、無職。
●第12話 素敵なGWの過ごし方を思いついちゃった小学生
「事実婚って言ったの!?」
「ご、505の夫人が、女性は婦人会に入らなきゃいけなくて、あ、曖昧な立場だと佐藤さんがいじめられるって言うから……」
まつりは買い物袋をさげたまま、リビングで駿に詰めよる。
「俺が何とかする的な事、豪語してたのに。結婚する気ないとか言って、結局そういうことにするの?」
「へ、平和に暮らせるなら……」
【連載小説 第11話】初対面の小学生女児から「お父さんと結婚して」と言われた35歳、無職。
●第11話 マンションに婦人会があることを知ったお父さん
「よし、じゃあ金曜からすこしずつやりますか、引っ越し」
と、駿は洗面所を出てリビングの扉を開ける。
まつりは真冬を剥がしてそれを追い、「ちょっと急過ぎじゃない?!」
「ゴールデンウィークだからちょうどいいじゃないですか。俺休みだし」
駿はテレビをつけ、朝のニュース番組にチャンネルを合わせた。
「私も休みだから手伝う~」と、
【連載小説 第10話】初対面の小学生女児から「お父さんと結婚して」と言われた35歳、無職。
●第10話 強引に引っ越しさせられる女性
まつりは翌月曜、朝5時に起きた。
宇那木家へ朝ご飯作りに行かなくてもいいのに。無職だからいつまでも寝ていていいのに。
二度寝もできず、とりあえず起きて水道の水をコップについで飲んだ。それから何時間もテーブルの前に座ってぼーっとしていた。
駿からの連絡は一切なく、まつりは生きてるのか死んでるのか分からないまま転職活動をした。水曜日と木曜日、そ
【連載小説 第9話】初対面の小学生女児から「お父さんと結婚して」と言われた35歳、無職。
●第9話 イオンに行ったのに楽しくない小学生
明日みんなでイオンに行けたら、どんなに楽しいだろうか。駿の提案にすぐさま「はい」と言えたら、どんなに楽だろうか。
本当は行きたい。フードコートでラーメンやたこ焼きを3人で食べたら、きっと美味しい。
しかし、こじれた感情と頭の固いまつりにはできなかった。
「行きません」
「……佐藤さんが行かないと、真冬は下着買えないじゃないですか」
「
【連載小説 第8話】初対面の小学生女児から「お父さんと結婚して」と言われた35歳、無職。
●第8話 一言余計な女性
土曜はお昼ご飯を作った後、まつりは真冬とゲームしたり散歩に行ったりしていたら夕方になって、なぜか駿と台所に立つことになった。
真冬が「お父さん暇なんだから手伝いなよ」と無理やり台所へ押し込んできたのだ。
まつりの勝手な想像だが、彼はあまり料理はできない方だと見ていた。と思いきや、手際よくキャベツを千切りにしていた。専用グッズを使ったように細い。
その手元を
【連載小説 第7話】初対面の小学生女児から「お父さんと結婚して」と言われた35歳、無職。
●第7話 40分デートするお父さん
土曜の朝もまつりが朝ごはんを作りにきた。
駿が朝食後に掃除や洗濯など溜まった家事を片付けていたら、洗い物が終わったまつりも手伝い始めた。その間、真冬は自分の部屋でピアノの練習をしていた。つっかえてばっかりでBGMにもならないクラシック演奏が響く中でも、二人で掃除するのはなぜか楽しかった。
そんなことをしていたらレッスンの時間が近づき、3人で家を出る
【連載小説 第6話】初対面の小学生女児から「お父さんと結婚して」と言われた35歳、無職。
●第6話 間違いに気づいた小学生
買い物を終え宇那木家に帰宅した。
まつりは食事の支度にとりかかり、真冬はランドセルを降ろして風呂を沸かし掃除機をかけ、駿は洗濯物を片し始めた。
風呂は駿が一番に入り、次は真冬。そして彼女が風呂を出て宿題を始めた頃にご飯が炊け、まつりは親子丼の具を作り始めていた。
リビング中にひろがる甘じょっぱい香りが、パジャマ姿の親子の胃を刺激する。
ダイニン
【連載小説 第5話】初対面の小学生女児から「お父さんと結婚して」と言われた35歳、無職。
第5話 汚部屋に気づいた女性
彼らと別れたあと、まつりは久しぶりに部屋を掃除した。
まずは段ボールをまとめて縛り、玄関に立てかけた。そしてテーブルの上の紙類を要不要にわけ、不要なものはちぎって捨て、必要なものはクリアファイルに収納した。物がなくなった白いテーブルをよくみると、うっすら黒ずんでいる。水拭きしてもそれは取れず、食器用洗剤を含ませたスポンジでこすったらとれた。
幸いに良く晴れ
本当にロンドン行ってきた②
前回の記事、非常に多くの方にご覧いただき、とても嬉しいです。
少しでも、皆様の旅行のお役に立ったら幸いです。
今回はその続きです。
【トイレ②】
タンクがなかったです、そういえば。流れが悪いのってそういうことも関係ありますかね。
それと、流すボタン。日本だとレバーがあったり、横の壁にボタンがあったり、便座にあったりタンクにあったりボタンの場所はいろいろだし、「Push」「eco」「こ