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【長編現代和風ファンタジー】神社の娘

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「俺も悪神倒しの仲間にいれてください!」 日本のどこにあるのか分からない不思議なとある村。 刺激のない平凡な日々を過ごしていた高校生の橘平は、雪の夜、森の近くで村の神社の跡取り…
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記事一覧

【小説】神社の娘(第36話 身一つで立つ場所)

 橘平は午前中、ゆるーく陸上部の練習があった。  それを終えてスマホを見ると、向日葵から…

坂東さしま
1か月前
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【小説】神社の娘(第35話 妹)

 まもりの痕跡を探そう。  桜は家族に気取られないよう、こっそりと、春休み第1日目から家…

坂東さしま
1か月前

【小説】神社の娘(第34話 毎年恒例タケノコ大発掘会)

 役場の裏の竹林を会場に、毎年春になると「タケノコ大発掘会」が開催されることは既出の通り…

坂東さしま
1か月前

【小説】神社の娘(第33話 大人気ロボットアニメ鑑賞会-第一期)

『ありがとう』 「何が?」 『森の扉の絵、描き始めてくれて』 「ああ、うん」 『君のおかげだ…

坂東さしま
1か月前
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【小説】神社の娘(第32話 なんで酒飲んでだよ、ゲロったくせに!)

 日曜日。  本日の出動は3回。  キツネ2匹、柴犬3匹、猪1匹。  強さは一般的なレベル…

坂東さしま
1か月前
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【小説】神社の娘(第31話 物語と桜)

●第4章 物語と桜    今日は模型作りに興味のあるお嬢さんが来ると聞き、八神寛平は張り切…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第30話 君のおかげだ-バケモノ対策課、ヒグマ退治休日出勤編)

 東北地区の山に、まばゆく青白い閃光がとどろく。  「橘平君のおかげだ」  葵が穏やかな笑顔を向けた。  土曜の朝9時。橘平は父親の職場、村役場の玄関前に来ていた。  村役場に入ったことなど一度もない。橘平の記憶ではそうだ。もしかしたら小さいころ、母に連れられてきたことはあるかもしれないが、覚えていない。だから、物心ついてから数えれば始めてだ。外観は相変わらず古めかしい。  営業時間外の役場の玄関前で10分ほどぼーっとしていると、見慣れたピンクの軽自動車がやってきた。

【小説】神社の娘(第29話 実感-クラスメイト、そして豚退治)

 翌週、桜と葵も「お守り」の効果を実感する出来事があった。  春休みも近づき、桜の通う女…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第28話 休日出勤、振替はなし)

 八神家の蔵。残りの段ボール。出てきたのはケースに入ったプラモデルだった。  予想通りだ…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第27話 冷然な桜)

「も、もしもし、向日葵さん?今、大丈夫ですか?」  柏とひと騒動あった日の夜のことだ。橘…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第26話 向日葵、秋田犬と闘う)

 野生動物対策課は、朝からてんてこまいだった。  続々と妖物が出現し、感知器課長こと二宮…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第25話 橘平、先輩に対抗する)

 カーテンから漏れる朝の光が目にあたる。橘平はゆっくり瞼をあけた。  夢を見た。  起き…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第24話 橘平、山は春がいいなあと思う)

 解読内容はおおまかに二人に伝えた、と桜は葵に説明した。  そのうえで、今後はどうしてい…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第23話 橘平と桜、美味しい唐揚げを作る)

 橘平は日曜の朝から、桜、向日葵とともに、村唯一の食品スーパー「だいこく」にやってきていた。  村とはいえ、人口が減りも増えもしないおかげで、意外と人口の多いこの村には一応、小さいながらスーパーがある。今日は街の大型スーパーで、月イチの超特売日があるせいか、弱小スーパーは日曜だというのにさみしさが否めない。  本日は八神家で段ボール開封の儀、の予定であったが、古い本が出てきたことから予定変更。古民家で本の内容発表の日となった。  せっかくなら、ついでに料理教室やっちゃお!と