K氏

学生。

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記事一覧

『ラ・ラ・ランド』2024/6/9

久しぶりに観たが、ストーリーは結構覚えていた。 改めて観て、最後の回想はエマ・ストーンが演じたミアのものであるように思う。 回想は、終始ミアが幸せであるような形…

K氏
1か月前
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『東京物語』小津安二郎監督作品 感想 2024/4/29

おじいさんとおばあさんが穏やかで、ひたすら可愛かった。 都会と田舎という、僕が祖母と話すときにもよく出てくる対比がモチーフとなっていた。 人にはそれぞれ生活があ…

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2か月前

ドラマ『不適切にもほどがある』感想 2024/4/13

素敵なドラマだった。 ファミリーロマンスと言われればそれまでなのかもしれないが、時空を超えてわが子を思う、そしてわが子のわが子を想う気持ちと、それが未来への希望…

K氏
3か月前
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映画『PERFECT DAYS』 感想 2024/3/25

美しい映像であった。 東京という都市空間を舞台に一人の男が清貧に生きる。彼の起床から始まる映像はさながら「丁寧な暮らし」をするYouTuberのモーニングルーティンのよ…

K氏
4か月前
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一人称について

私、俺、僕、うち、拙者、某、小生など一人称の種類が豊富であることが、日本語の特徴として挙げられることがしばしばある。 それぞれに微妙なニュアンスの違いがあり、日…

K氏
1年前
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主観と客観 みぎとひがし

僕が「みぎ」を身に着けたのはいつだっただろう。 小学校に入ってからだったような気がする。 母に「お箸を持つ方の手が『みぎ』だよ」と教えられた。 しかし、その説明…

K氏
2年前
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了解しました失礼論に対する反駁

「了解」は新明解国語辞典によると、「事の内容や事情が分かる」ことである。 このことから、「了解」は「分かる」という動詞の同意表現であることが分かる―了解される―…

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2年前
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怠惰との決別

自分は優れた人間だ。 そう思っていたことはないだろうか。 表面的には否定しながらも、心の深いところでそう思っているエリート諸君は多いのではないだろうか。 恥ずか…

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2年前
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東京湾フェリーのすすめ

太陽が沈んでいく。毎日くり返される現象に、こんなにも心動かされるのはなぜだろうか。 ここは東京湾、船の上だ。 江の島、海ほたる、箱根、熱海、伊豆。大学一年の夏休…

K氏
2年前
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『ラ・ラ・ランド』2024/6/9

『ラ・ラ・ランド』2024/6/9

久しぶりに観たが、ストーリーは結構覚えていた。

改めて観て、最後の回想はエマ・ストーンが演じたミアのものであるように思う。

回想は、終始ミアが幸せであるような形で描かれる。セバスチャンはミアの一人舞台を観に来る。パリにも一緒に来てくれる。そこでジャズを楽しんでいる。

この回想におけるセバスチャンのJazzへの向き合い方はあまり深くない。

最後には、現実の夫の代わりにセバスチャンと"Seb'

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『東京物語』小津安二郎監督作品 感想 2024/4/29

『東京物語』小津安二郎監督作品 感想 2024/4/29

おじいさんとおばあさんが穏やかで、ひたすら可愛かった。

都会と田舎という、僕が祖母と話すときにもよく出てくる対比がモチーフとなっていた。

人にはそれぞれ生活がある。生活という現実の重みは、愛という抽象的なものを超えてしまうことがある。その様を描いていた。

未亡人の義理の娘さんが、おじいさんとおばあさんと接する姿は、愛であるように見える。

それは娘さんが、亡くした夫を抱えながら(時に忘れてし

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ドラマ『不適切にもほどがある』感想 2024/4/13

ドラマ『不適切にもほどがある』感想 2024/4/13

素敵なドラマだった。

ファミリーロマンスと言われればそれまでなのかもしれないが、時空を超えてわが子を思う、そしてわが子のわが子を想う気持ちと、それが未来への希望に繋がっていく演出は、僕が最も心動かされるものであった。

阪神・淡路大震災で亡くなった人たちの家族、その子どもや孫たちが、今もその記憶とともに生きていることを思い出させてくれる。

昭和の時代が終わり、平成を経て、令和の今にいたる。

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映画『PERFECT DAYS』 感想 2024/3/25

映画『PERFECT DAYS』 感想 2024/3/25

美しい映像であった。

東京という都市空間を舞台に一人の男が清貧に生きる。彼の起床から始まる映像はさながら「丁寧な暮らし」をするYouTuberのモーニングルーティンのようだ。(私は絶望ライン工を想起した)

彼の仕事はトイレ掃除であり、それは一般的に社会的ステータスが低いとされる職業である。しかし、この映画でのトイレ清掃員は朝に事務所へ出勤する必要もなく、上司に監視されることも管理されることも

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一人称について

一人称について

私、俺、僕、うち、拙者、某、小生など一人称の種類が豊富であることが、日本語の特徴として挙げられることがしばしばある。

それぞれに微妙なニュアンスの違いがあり、日本語の言語表現の豊かさを体現しているというのだ。

しかし、私は一人の日本語話者としてそうは思わない。むしろ、反発したいとさえ感じている。

まず、上に挙げた一人称の中で、20代前半である筆者が日常的に使用して変な人だと思われないのは、私

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主観と客観 みぎとひがし

主観と客観 みぎとひがし

僕が「みぎ」を身に着けたのはいつだっただろう。

小学校に入ってからだったような気がする。

母に「お箸を持つ方の手が『みぎ』だよ」と教えられた。

しかし、その説明は私にはピンとこなかった。お箸を持つ方の手はお箸を持ってみないと分からなかったのだ。

「みぎ」は概念だ。

形のない、捕らえどころのない何かだ。

誰も、「ほら、これが『みぎ』だよ」と指差すことはできない。

愛とか勇気とか、形のな

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了解しました失礼論に対する反駁

了解しました失礼論に対する反駁

「了解」は新明解国語辞典によると、「事の内容や事情が分かる」ことである。

このことから、「了解」は「分かる」という動詞の同意表現であることが分かる―了解される―だろう。

したがって、少なくとも「了解しました」は「分かりました」とは同じ地位が与えられて然るべきだ。

そもそも、「了解」とは「諒解」の諒を了で代替したものである。

よって失礼論者が提唱する、了には「終わらせる」という意味があるから

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怠惰との決別

怠惰との決別

自分は優れた人間だ。
そう思っていたことはないだろうか。

表面的には否定しながらも、心の深いところでそう思っているエリート諸君は多いのではないだろうか。

恥ずかしながら、私は大学受験に失敗するまでそう信じていた。中学、高校の成績は芳しくなかったにも関わらず、大学受験が近づいて本腰を入れて勉強すれば、トップレベルになれると思っていたのだ。

その根拠には中学受験での成功体験があった。
今思えば大

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東京湾フェリーのすすめ

東京湾フェリーのすすめ

太陽が沈んでいく。毎日くり返される現象に、こんなにも心動かされるのはなぜだろうか。

ここは東京湾、船の上だ。

江の島、海ほたる、箱根、熱海、伊豆。大学一年の夏休みに運転免許を取ってからというもの、暇さえあれば友人とドライブに出かけてきた。それから二年余りが経ち、車で日帰りできてしっくりくる目的地がなくなってきた。

このマンネリ化した週末ドライブの一服の清涼剤となるのが、40分の短い航海だ。

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