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『ラ・ラ・ランド』2024/6/9

久しぶりに観たが、ストーリーは結構覚えていた。

改めて観て、最後の回想はエマ・ストーンが演じたミアのものであるように思う。

回想は、終始ミアが幸せであるような形で描かれる。セバスチャンはミアの一人舞台を観に来る。パリにも一緒に来てくれる。そこでジャズを楽しんでいる。

この回想におけるセバスチャンのJazzへの向き合い方はあまり深くない。

最後には、現実の夫の代わりにセバスチャンと"Seb's"を訪れるが、その店がセバスチャンの開いたものではない、他の誰かのものであることを意識させて、現実へと戻る。

現実において、セバスチャンは夢を叶えた。昔からの夢を。それはミアと出会う前からずっと持っていた夢だ。

セバスチャンは自分の夢を捨てて、ミアと生きていく術を模索していた。友人のバンドに入った動機は間違いなく、ミアとの生活を支えるためだった。

そのセバスチャンにミアはNOを突きつけたのである。自分の夢に真摯であれと。

ミアは"Seb's"を訪れ、セバスチャンとあり得たかもしれない幸せな結婚生活を夢想する。

しかし、その夢の終わりで、セバスチャンの夢が叶っていないことに気が付くのである。

お互いを愛する以上に、お互いの夢を大切にした2人の物語は、夢を叶えた者同士微笑みあうことで終わりを迎える。

"Seb's"の看板は、セバスチャンのミアへの恋人としての未練ではなく、夢を追うことを思い出させてくれた恩人への謝辞なのかもしれない。

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