ゴキブリだらけの部屋で眠る
私がDVにあっていた時のことで、いまだに鮮明に覚えていることがあります。
それは夜中ゴキブリが何十匹も自宅のリビングの壁を這っていたことです。
夫のDVが酷くなり始めた頃でした。
夫は家で大暴れすることが増え、暴れるとスナック菓子をばら撒き、私の頭にビールをかけたり、調理前のお米をばら撒いたり、私が作った鍋料理などをリビングルームのカーペットの床にばら撒いていました。
そして私がそれを片付けようとすると、私を殴ります。
その時夫は独立したばかりで、相当ストレスを感じているようでしたがそれがそんなことをしていい理由にはなりません。
夫が外出した隙に片付けていました。
そして夫が帰ると、俺が片付けるなと言ったのになぜいうことを聞かなかった?!とまた暴力を振るわれます。
それでも片付けるしかありません、でも片付ければ殴られるの繰り返しでした。
もちろんカーペットにばら撒かれると完全に綺麗にはできません。
私は一人で買い物も許されていないので、どうにか家にあるもので綺麗にできないかと、家中にある洗剤でカーペットに水を撒き毎日自分の服を犠牲にして洗い続けました。
服を買ってもらうためには夫に頼み、なぜ必要かを説明し、説教を受け、殴られてやっと買ってもらえるかそれでも買ってもらえないかもわからない試練を乗り越えなければいけないのです。
その時は1ベッドに住んでいたのですが、1部屋は夫の仕事部屋になっていて私と子供はリビングに寝ていました。
リビングのソファや家具などは全て夫に破壊されていたので、切り裂かれてボロボロのベッドマットレスを床に置いて寝ていました。
そしてある日私たちが夜寝ている時に、ついにゴキブリが出てきたのです。
なんとなく目を開けると真っ白な壁に最初は1匹、それがどんどん増えてきて10匹以上が壁を這っていました。
私は飛び起きて、木の骨組みしか残っていないソファの上、に枕とブランケットとコートなど置きその上に子供を載せました。
もう眠ることなどできません。
そして私は声を殺して、一晩中ゴキブリをティシュで殺し続けました。
その夜は一晩で3、40匹を殺しました。
きっとそれまでも出てきていたのででしょう。
知らずに眠っていたなんて本当に恐ろしく、眠っている間に子供の耳の穴にでも入っていっていたらどうしようと気が気ではありませんでした。
翌日夫に子供を病院に連れて行くよう頼みました。
殴られるのはわかっていましたが、正直にたくさんのゴキブリが家中を這い回っていて子供の耳の穴に入ったりしているかもしれないから病院で診てもらいたいと言いました。
夫はお前のせいだと笑いました。
お前のせいでとうとう子供にまで害が及んで、子供に何かあったらどうするんだ?!早くお前が死んでくれ、そしたら子供も俺も救われるのにと言って散々殴られました。
それからは私は狂ったようにカーペットを掃除し、ゴキブリが出てきそうな場所を探しては何かよくわからない家にある洗剤をかけ、掃除機をかけ、、
私が掃除しているところを夫に見つかると殴られるため夫が出かけた後にするしかありませんでした。
それから毎晩夜は眠らずにゴキブリを殺し続け、2週間ほどはほとんど寝ていませんでした。
私はそれまでゴキブリなど直視できないほど大嫌いで怖かったのですが、あの時だけは素手にティッシュで何十匹ものゴキブリを一心不乱に殺していました。
でも今はまた昔のように怖くて、あの時のように殺すことなどはできません。
私も狂っていました。
そしてまだあの真っ白な壁に何十匹も這い回っているゴキブリの映像は鮮明に覚えていて、今でも夢に見るのでした。
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