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アメリカ大学院博士課程学びの記録2020-

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キケン!「こども(生徒)のため」論

キケン!「こども(生徒)のため」論

こんにちは。

私は、アメリカの大学院で日本の公立学校の特殊性について「空気を読む」といった点から(特に教員)が教育の質や教員の働く環境にどのように大きな変化をもたらせるか考えています。

今日は、「子どものため」議論の危険性について共有します。

みなさんは気がついていますか。特に公立学校では教員の議論が煮詰まってくると「こどものために」が正当化の盾として使われることがあるということに。そしてそ

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「個」と「学校エトス」と「空気」

「個」と「学校エトス」と「空気」

今の教育現場におけるテンションのありかはこれに尽きます。
私が教師として幸せになれ無かったのはまさにこのためです。

学校エトス(school ethos)というのは学校が組織として求めている精神性のようなもののこと。日本の場合は歴史的、文化的背景から教師が無意識に追い求めてしまうschool ethosは「犠牲文化」でこれは学術研究でも支持されています。そして私は、それを陰ながら(?)支えてきた

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合わせるのではなく、合うところを見つけるという発想

合わせるのではなく、合うところを見つけるという発想

アメリカの教授陣のアイデンティティの強さには感心させられるというか、学ぶところが多くて、感動することすらあります。

大学の先生については前に書きましたが、「人に好かれる必要はない!」と真顔で言われた時には何だかハッとしました。

今日も、こんなことがありました。別の教授ですが「自分が情熱すぎるが故に、論文を書いても受け入れられなかったり説得力に欠けると言われることがある」ために、周りから文章を直

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大事なのは自分を守る瞬発力

大事なのは自分を守る瞬発力

クレーマーへの対応についてアメリカ人と話をしていた時のこと。

相手が罵ってきたり、失礼な態度を取ると電話を(カスタマーサービス側が無言で)切るのは当たり前という話になりました。

それを聞いて、

そのはっきりした態度がいいな。日本ならどんな相手でも話を聞いてもっと共感しないといけないけど。

と軽い感じで言ったら、ちょっと誤解を招いたようで

アメリカでも共感するし、相手が失礼でなければこちら

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アメリカの大学にはゼミがない!

アメリカの大学にはゼミがない!

日本の大学にある「ゼミ」。英語のセミナー(seminar)が語源ですが、アメリカにはありません。

日本では基本的に大学の3年生になると担当の教授を一人選び、その後、2年かけて一緒に学習するだけでなく、時には合宿や打ち上げなどを通して交友関係を深めることで励ましあったり動機付けをしたりして卒論を書くというのが流れではないでしょうか。

なぜ、アメリカにこの制度がないと改めて気づいたかというと、

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知識創造(knowledge production)というお仕事

知識創造(knowledge production)というお仕事

アメリカの大学院で学んでいる時に、授業中にある教授が

私たち研究者の仕事は新しい知識を創造することだ!

と明言していて、半分びっくりしたような、半分納得したような気分になりました。

この先生は新しい考え方や知識を世に示すことが教授の仕事だと捉えている。
私には新鮮な視点でした。

言い方もはっきりと堂々としていてその発言に迷いありません。

今まで、教授の仕事って「調べてる」というイメージが

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教師エージェンシー議論のなさが語るもの

教師エージェンシー議論のなさが語るもの

🇺🇸大学院で学びを深めるにつれ、私が興味を持ったことの一つに教師エージェンシー(teacher agency)というものがあります。

エージェンシー(agency)の概念は日本で決まった対訳がなく、まだあやふやなところも多くあります。
簡単にいうと自分が主体性を持って何かを成し遂げることができるという所属意識のことで、個人レベルでも集団レベルでも語られ、職業アイデンティティとも深く関連します

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クリティカル・シンキング(批判的思考)とはなんぞや?

クリティカル・シンキング(批判的思考)とはなんぞや?

15年以上前に初めてアメリカに留学し、批判的思考を目の当たりにしたときは「なんだこりゃー!」と面食らったものですが、若い頃に教えられたものは中々なくならないもので、その感覚(なんだそれ?感)は今でもあります。違いは、「なんだこりゃー!(腰抜かすほどの驚き)」から「あー、そういうふうに理解してるのね」(ふむふむ感)へのシフトぐらいでしょうか。

博士課程2年目にしてようやく論文を英語で読んだり、書い

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ポモドーロ・テクニック

ポモドーロ・テクニック

🇺🇸大学院の授業のひとつにpomodoro prompt (ポモドーロを使ってやってみよう)という課題がありました。

どれも短時間に時間を区切ってやってみよう!という内容のもので、毎週お題が与えられるのですが、例えば、自分の博士課程での学びの振り返りなどを毎週25分程度、静かな場所で集中して行えるようにタイマーをかけて取り組もうというものでした。

そのポモドロという名前が頭の片隅にありつつ

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日本で教師しながらオンライン海外留学

日本で教師しながらオンライン海外留学

わたしは公立高校教員ですが、念願の大学院進学(博士課程)のために、休職をして去年の9月からアメリカのキャンパスで勉強をする予定でした。

それがご存知の通り、新型コロナウィルスの影響でオンラインになり、すでに秋学期(Fall 2020)が終わり、もうすぐ春学期(Spring 2021)も終わろうとしています。(あと残すは、宿題ひとつのみ!)
この2学期間の授業は全てオンライン受講でした。

そこで

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問題は「読むプロセス」か!?

問題は「読むプロセス」か!?

「空気」と教育について興味深いなと思い、まだまだ色々と読んだり考えたりしています。「空気」と教育シリーズも第14回目になりました。

今日も朝から🗽大学院の先生とZOOMで空気について話していました。そこで、空気はいいのか、悪いのか、という話になりました。

みなさんは、いかがでしょうか。
「空気を読むこと」はいいのか、悪いのか、と聞かれたら何と答えますか。

私は、今が今まで勉強したことから言

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100%の正解がないことを知る勉強中

100%の正解がないことを知る勉強中

大学院🇺🇸の授業で苦労していることがあります。
それは、論文を読んだりこれから書いたりするにあたって様々なパラダイム(実証主義、ポスト実証主義、構成主義、解釈主義などなど)を学んでいるのですがその違いを理解すること。
今まで普通の教員をしていた私にとってはまさにハテナばかりの超アカデミックな話で、途中で「もうどうてもいやん!」と叫びたくなります(辛い)。

パラダイムとはある時代を反映するよう

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最強先生の4か条

最強先生の4か条

先日、大学院🇺🇸での研究テーマの整理していて「こんな先生は最強だな」と思ったことがあったのでメモしておきます。

ひとことでいうと、それは日本の教育の魅力と欠点の両方を理解し、かつ、魅力を信じて欠点を全力で改善していこうとする態度のある人です。

<最強先生の4か条>
1. 日本の教育の魅力と欠点に気が付いている。
2. 日本の教育の魅力と欠点を相対的に説明することができる。
3. 日本の教育

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世界の教育は同じ方向性へ向かうのか

世界の教育は同じ方向性へ向かうのか

教育関係のnoteで発信をされている方の記事を読むと、多くの方が同じ方向性を見ているのだということに気がつきませんか。もしかしたら、私がそういう風に感じているだけかもしれませんし、個人的関心で同じような方の記事を読んでいるだけかもしれませんが皆さんはいかがお考えでしょうか。

その方たちの記事を読んでいると、やはり「より良い」教育を目指しているように思います。目の前にある教育環境にはまだ改善できる

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