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生きるために僕は書く
僕の書く文章は、冷たく、酷く悲観的で、読んだ人を暗い気持ちにさせてしまうことがある。
人によっては僕の文章を毛嫌いし、不快に思うかもしれない。
だけど、どうか許して欲しい。僕は生きるために文章を書いているんだ。
食べるため、生活するためではない。死を拒絶するためだ。
現実世界はとても厳しい。避けようのない槍が次から次へと突き刺さる。けれどもどんなに傷を負っても、迷わず前に進み続けなければな
生きろ。心臓の鼓動が止まるその瞬間まで。
お前はなぜ、そんなに死にたがっている。
安心しろ。
パスカルが言っていた「人間は生まれながらの死刑囚である」と。
ハイデッガーも言っていた「人間存在は"死への存在(Sein zum Tode)"」と。
お前が望まなくても望んでも、お前は必ず死ぬ。
それなのに、なぜ自ら死を呼び込もうとするのか。
生きろ。心臓の鼓動が止まるその瞬間まで。
生まれ変われるとも、天国があるとも信じるな。
小川洋子 - 「薬指の標本」
君を一言で表すと、アンビバレントな人間。
生命力に満ち溢れた一面と、実存的空虚に覆われた一面という、非常にアンビバレントな感情の中で生きている。
相反する感情の波の中で正気を保ち続けることは、とても辛く、想像を絶するほど困難なこと。
だけどそんな状況でも君は必死に舵を取り、船を正しい方向へ導こうとする。
まるで風の中のキャンドルのように、嵐が吹き荒れても、雨に打たれても、陽が沈んでも、その
ヴィクトール・フランクル - 「それでも人生にイエスと言う」
この本を受け取っても、すぐに読まないでください。
本棚にしまい、呼ばれるその日まで待ち続けてください。
私たち人間は本から選ばれる立場。
この本を必要としている人間か。この本に値する人間か。
本は常に私たちの人生を俯瞰し、タイミングを見て、必要な言葉を語りかけてくれます。
人生も同じです。
ヴィクトル・フランクルは著書で、「私たち人間は、人生に対し生きる意味を問う側ではなく、人生から問
エミリー・ディキンソン - 「わたしは誰でもない」
エミリー・ディキンソン。最も有名で無名な詩人。
アメリカを代表する詩人である彼女が評価されたのは死後。家族が膨大な詩を発見してからだ。
保守的な田舎町で自室に篭り、孤独の中で彼女は詩を詠い続けた。
しかし不思議と彼女の詩からは陰湿な狂気を感じない。
むしろまるで、サウンド・オブ・ミュージックのオープニングのように、アルプスの山々に囲まれた緑の大地の上で、詩を詠む彼女の姿が眼に浮かぶ。
彼
ずっと見ていたあの夢
子どもの時から何度も見る夢がある。
雲ひとつない晴天の下、バルコニーで右手に拳銃を持ち、銃口を自らのこめかみに押し付ける。
人差し指でトリガーを引き、その場に崩れ落ちると同時に、画面がブラックアウトする。
怖い夢だ。
だけど心の奥底では、少し興奮している。憧れているんだ、この夢に。
今でもはっきりと覚えている。この夢を見始めた日を。
小学三年の夏休み。確か夏休みもあと一週間で終わるくら
ヴィヴィアン・マイヤー
ヴィヴィアン・マイヤー 謎のアマチュア写真家
1926年にニューヨークで生まれ、2009年にシカゴで幕を下ろした彼女の人生は、謎に包まれている。
友人は少なく結婚もせず、40年間ベビーシッターとして慎ましく暮らしていた。
「どこにでもいる、誰でもない誰か。」彼女の一生を聞いた時、最初に私が感じた印象だ。
しかし彼女にはカメラがあった。
二眼レフカメラを片手に街へ飛び出すと、彼女はヴィヴィ
みんな、死んでしまった
赤毛の彼女ガジアンテップ。そこには私にとっての全てがあった。
今から7年前、初めてその街を訪れた。なんの特徴もないトルコの地方都市。なぜ訪れたのかも覚えていない。1泊だけして別の街へ移る予定だった。
しかし偶然入ったカフェで、ある女性と出逢った。赤毛に青い瞳の彼女。イスラーム色が濃い街において、赤毛を惜しみなく露出させる彼女は、異色の存在だった。
彼女と目が合い、自然と会話が生まれた。保守的