生きろ。心臓の鼓動が止まるその瞬間まで。
お前はなぜ、そんなに死にたがっている。
安心しろ。
パスカルが言っていた「人間は生まれながらの死刑囚である」と。
ハイデッガーも言っていた「人間存在は"死への存在(Sein zum Tode)"」と。
お前が望まなくても望んでも、お前は必ず死ぬ。
それなのに、なぜ自ら死を呼び込もうとするのか。
生きろ。心臓の鼓動が止まるその瞬間まで。
生まれ変われるとも、天国があるとも信じるな。
死んだらあるのは無の世界。お前の魂は消滅し、永遠の死を迎える。
お前がいま感じている、喜び、哀しみ、苦しみ、寂しさ。死んだら全ての感情をお前は奪われる。
死が待ち受けている未来にも、死後の世界という凡人の戯言にも、決して期待するな。
今この瞬間だけを感じ、死の誘惑へ対し反抗し続けろ。
この世界のほとんどの人は、死を忘れて生きている。
恋人と口づけを交わしたその瞬間に、心臓の鼓動が止まる可能性だってある。
けれど他人事のように死から目を背け、いや、今この瞬間に生きているという事実からも目を背け、明日や明後日、未来のことを考えている。
奴らは生きてもなければ、死んでもない。ただ歴史の流れの中に浮遊しているだけだ。
俺は知っている。お前は誰よりも最前線で毎分毎秒、死と対峙し続けていることを。
どれだけ苦しく孤独でも、決して自らその川を渡るな。
苦しみを愛し、孤独を噛み締めろ。お前が負ったその傷が、生きているという証。
生を実感し真に生きるということは、死を常に意識している人間でなければなし得ない。
お前の生きるこの世界には、この世界を超える意義があるのだろうか、俺は知らない。
生きろ。死ぬな。
生きることが、運命という不条理へ対する唯一無二の反抗なのだから。
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