文化芸術専門員 / 石田

会津を拠点として活動しています。  ①福島県喜多方市で文化芸術専門員(小さな自治体の文…

文化芸術専門員 / 石田

会津を拠点として活動しています。  ①福島県喜多方市で文化芸術専門員(小さな自治体の文化政策を考えています)  ②塾を運営(「学び」について考えていきます)   コミュニケーション学修士 / 社会教育士 / 認定ワークショップデザイナー / 対話型鑑賞ファシリテーター

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  • Oraho 喜多方の文化芸術

    会津の喜多方市で活躍する人たちのストーリーを紹介します。 全12本。

記事一覧

「農業科」は普遍的な可能性に満ちている

 喜多方にしかないものは多くあるが、そのうちの一つが「農業科」だろう。2007年に市内小学校3校で始められた「算数科」や「社会科」と同じ教科だ。全国で小学生が農…

この環境が私の視点を作ってくれた

高校生(当時) 石山心南(みなみ)さん  「特別支援学校の先生になりたいんです」とまぶしい笑顔で答える石山心南さん。  石山さんを初めて知ったのは「全国高等学校…

自分を作る講座 01

はじめに本講座は「学びファシリテーション」という組織が開催します。 ラーメンのまち 福島県喜多方市で「学ぶ」をテーマとして活動を2022年から続けてきています。 具体…

覚醒された創造性が喜多方を活気づける。

マネージャー(現 社長) 鈴木治代さん  鈴木さんを街で見かけるが、いつも時間がない雰囲気をまとっているため、声をかけることもできずにいた。そこで本紙取材のため…

芸術家の身体に耳を傾けてみる。

美術家 成田優之(ゆうの)さん  成田さんが喜多方に来たのは5年ほど前。アートプロジェクトに参加するためだったが、そこで出会った雄国山の斜面に惚れて喜多方に住む…

生徒たちの気持ちを動かす環境をつくる。

中学校 美術教員 金澤文利さん   「文芸部では花を植えたり、水をやったりしています」。体を動かして、花の成長をみて、そこにいる虫を見つけて、そんなことがいいのだ…

高郷で豆腐を作ること、天職だと思ってる。

とうふ屋おはら店主 小原直樹さん 「どうして豆腐屋をすることになったのですか?」と小原さんに聞いてみた。  「こっちに来て、何をするかは決めてなかったんだけど、…

夏休み「賞を取る」ポスター描き(2024.7.28開催)【定員に達しました】

2021年の夏に「賞を取るための」ポスター描きワークショップを自主開催しました。対象は夏休みに、ポスターを描く必要がある小学生です。 そして、2024年7月28日(日)に…

中山間地域と文化芸術活動のメイクアップ

多くの地方公共団体は平成に合併をしました。統計の時期により数字は変わると思いますが、1500以上の数の市町村が減少しました。 喜多方市も御多分に洩れず1市4町村が合…

「対話型鑑賞」が会津で増えている

2024年5月です。ここ喜多方では、ゴールデンウィークにはラーメン屋の列が3倍くらいになります。しかも 5月5日のこどもの日には、気温が30度になりました。昨今の気象変動…

小さな市町村の文化政策

全国の地方公共団体(およそ1,700)を人口で比べてみると、その中心値は3万人にも満たないくらいです。人口ベスト100の人口は26万人ほど。 この事実を踏まえて、私たちの…

「対話型鑑賞」はなんのために

対話型鑑賞とは対話型鑑賞とは、絵画を美術史などの知識から理解するのではなく、絵画のみを見て読み解くと言っていいかと思います。そして読み解くのは一人ではなく、グル…

「農業科」は普遍的な可能性に満ちている

「農業科」は普遍的な可能性に満ちている

 喜多方にしかないものは多くあるが、そのうちの一つが「農業科」だろう。2007年に市内小学校3校で始められた「算数科」や「社会科」と同じ教科だ。全国で小学生が農業体験をすることは珍しくないが、播種から、収穫、農作物活用まで農業全体の体験を、教育委員会と市民が一体になって行っているところはないだろう。

 まず、始めに説明を加えたい。
「農業科」は教科としてスタートしたが、2009年に学習指導要領に

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この環境が私の視点を作ってくれた

この環境が私の視点を作ってくれた

高校生(当時) 石山心南(みなみ)さん

 「特別支援学校の先生になりたいんです」とまぶしい笑顔で答える石山心南さん。

 石山さんを初めて知ったのは「全国高等学校家庭クラブ研究発表大会」で文部科学大臣賞を受賞したという記事だった。内容は東京オリンピックで有名になった「ピクトグラム」を活用し、障がいを持った弟の支援に関するものだった。そんな高校生が喜多方にいるのか、と少しの関心にとどまっていた。し

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自分を作る講座 01

自分を作る講座 01

はじめに本講座は「学びファシリテーション」という組織が開催します。
ラーメンのまち 福島県喜多方市で「学ぶ」をテーマとして活動を2022年から続けてきています。
具体的には、中学校部活動の地域移行に関わるプログラムを作って、実施してきました。また、美術館では美術の鑑賞ファシリテーションや、美術ワークショップをしています。
今回、夏休みの子どもたち向けの連続講座(ワークショップ)を企画しました。

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覚醒された創造性が喜多方を活気づける。

覚醒された創造性が喜多方を活気づける。

マネージャー(現 社長) 鈴木治代さん

 鈴木さんを街で見かけるが、いつも時間がない雰囲気をまとっているため、声をかけることもできずにいた。そこで本紙取材のためアポを取り、話を伺うと、彼女の抱える事業の話題を次々に横断していく。

 十一年間務めて事務職を異動するという話が出た時に、次のポストとして選んだ部署はガソリンスタンドを主なる事業とする山庄商店。

大きな差に関わらず来てくれるお客さんに

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芸術家の身体に耳を傾けてみる。

芸術家の身体に耳を傾けてみる。

美術家 成田優之(ゆうの)さん

 成田さんが喜多方に来たのは5年ほど前。アートプロジェクトに参加するためだったが、そこで出会った雄国山の斜面に惚れて喜多方に住むことを決めたという。

 実際、その斜面が見える場所に家を借りて住んでいる。一階はアトリエになっており、そこに飾られている絵はすべて抽象画。現代美術がよくわからない私には、線と色が並べられている、とだけしか見えない。雄国の斜面もこれらの絵

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生徒たちの気持ちを動かす環境をつくる。

生徒たちの気持ちを動かす環境をつくる。

中学校 美術教員 金澤文利さん

 
「文芸部では花を植えたり、水をやったりしています」。体を動かして、花の成長をみて、そこにいる虫を見つけて、そんなことがいいのだと金澤先生はいう。
 
 喜多方市立第一中学校(取材当時)で美術を担当している金澤文利さんは美大大学院を修了後のことをこう語る。
 「卒業後、あまり何をやろうというものがなかったけど、講師として聾学校で働くことになって。版画の授業で、あ

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高郷で豆腐を作ること、天職だと思ってる。

高郷で豆腐を作ること、天職だと思ってる。

とうふ屋おはら店主 小原直樹さん

「どうして豆腐屋をすることになったのですか?」と小原さんに聞いてみた。
 「こっちに来て、何をするかは決めてなかったんだけど、東京では人が作ったものを扱って仕事(広告代理店)をしてきたから、自分でものを作ってみたかった。ストレスのある生活で身体も悪くしてたし、食に関わることで。経験もない俺ができるものを考えたら、パン屋、うどん屋、豆腐屋と」
 意外な答えだった。

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夏休み「賞を取る」ポスター描き(2024.7.28開催)【定員に達しました】

夏休み「賞を取る」ポスター描き(2024.7.28開催)【定員に達しました】

2021年の夏に「賞を取るための」ポスター描きワークショップを自主開催しました。対象は夏休みに、ポスターを描く必要がある小学生です。
そして、2024年7月28日(日)に喜多方市美術館の依頼により同じワークショップを開催します。。

絵を描くことは情操教育の一環であるから、賞を取るなどという邪な気持ちを入れることを許さないという方もいることは重々承知しています。ただ「絵を描く」=「情操教育」という

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中山間地域と文化芸術活動のメイクアップ

中山間地域と文化芸術活動のメイクアップ

多くの地方公共団体は平成に合併をしました。統計の時期により数字は変わると思いますが、1500以上の数の市町村が減少しました。

喜多方市も御多分に洩れず1市4町村が合併し、新星「喜多方市」になりました。その中で中山間地域への文化芸術のアプローチが難しい状況であると、私は課題意識を持っています。文化財においては、現在のまちの開発具合と関係なく、いわゆる過疎地域でも多くの資源があります。しかし文化芸術

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「対話型鑑賞」が会津で増えている

「対話型鑑賞」が会津で増えている

2024年5月です。ここ喜多方では、ゴールデンウィークにはラーメン屋の列が3倍くらいになります。しかも 5月5日のこどもの日には、気温が30度になりました。昨今の気象変動のなかで、ある意味想定内と言えばそうなのですが。ただ列を作るにはかなり過酷だと思います。

本題に入ります。
喜多方では、昨年(2023年)に東京の組織 「NPO法人 芸術資源開発機構」(対話型鑑賞ファシリテーターを養成しています

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小さな市町村の文化政策

小さな市町村の文化政策

全国の地方公共団体(およそ1,700)を人口で比べてみると、その中心値は3万人にも満たないくらいです。人口ベスト100の人口は26万人ほど。

この事実を踏まえて、私たちのアートライフを見てみると、想像するアート活動の多くは東京を代表する大都会とその周辺。そして、東京に暮らしているアート関係者が作る地域のアートプロジェクトが、日本のアートシーンだと言っても、そんなに間違っていないかなと思います。(

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「対話型鑑賞」はなんのために

「対話型鑑賞」はなんのために

対話型鑑賞とは対話型鑑賞とは、絵画を美術史などの知識から理解するのではなく、絵画のみを見て読み解くと言っていいかと思います。そして読み解くのは一人ではなく、グループで読み解いていきます。だから、人の話は新たな気づきになったり、自分の新たな読み解きのトリガーになったりします。

いままでの美術鑑賞は文字や音楽では、文字や音をそのまま受け入れることができても、美術の時にはなんとなく美術家のことやその時

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