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中山間地域と文化芸術活動のメイクアップ

多くの地方公共団体は平成に合併をしました。統計の時期により数字は変わると思いますが、1500以上の数の市町村が減少しました。

喜多方市も御多分に洩れず1市4町村が合併し、新星「喜多方市」になりました。その中で中山間地域への文化芸術のアプローチが難しい状況であると、私は課題意識を持っています。文化財においては、現在のまちの開発具合と関係なく、いわゆる過疎地域でも多くの資源があります。しかし文化芸術の振興となると、今のまちの作りとおおよそ比例して、資源が分布されているのではないでしょうか。また多くの住民のアクセスを考えても利便性のよい、いわゆる市街地にて文化芸術事業は実施されます。

フレイル予防とメイクと「社会参加」

その課題および喜多方に住む人材の活用を考え、2024年度「メイクから会話が広がる社会参加推進事業」を実施します。メイクという文化芸術活動を活用し、中山間地域に住む高齢の女性の活性化や社会参加を促進するものです。昨今よく聞く「フレイル」予防の3つのポイントのうち1つは「社会参加」であり、社会参加がフレイル発症のリスクを低下させることは研究により示されています。

令和6年度(2024年度)は、テスト事業としてメイクされることがどのように高齢女性の行動や思考に影響を与えるのかデータを集めるとともに、分析をしていく計画です。

なぜメイクなのか?

中山間地域での文化芸術活動をどのように考えるか、それは大きな問題です。美術館から絵画を持ってアウトリーチも考えられますが、一部の美術を嗜む方には良いかもしれませんが、多くの方の心を掴むかと言えば違うのかとも感じました。もっと身近で、もっと生活に近い、娯楽性の高い活動が必要ではないかと考えました。
また、文化芸術活動を実施するための、人的な資源も大切になります。つまり、活動を行うことができる人材を探すことです。地方では、文化芸術分野での人材は都会と比べるとかなり低いかと思います。ある一定の質を確保しつつ、多種類の文化芸術活動を提供することは難しい状況です。
上記、中山間地域の多くの方が主体的に参加でき、そのサービスを提供できる人材が地域にいる要件を満たすものが、ここ喜多方においてはメイクでした。メイクは女性の気持ちを掴みやすいだろうし、喜多方市にはメイクを生業とした人材がいるということです。まさに、地域の事情に沿った事業の作り方をしました。

一歩目に「成功」を前提としない

まったく新しい活動をするときに気を付けることは、いきなり「いわゆる成功」を目指さないことです。「成功」の定義をしなくとも、イベントを行う際には、「多くの人が来た」ということを成功の尺度にすることが多いかと思います。もちろんそれが起きれば嬉しいですが、人が来ることと事業目的が合致しているのかをしっかり吟味し、上司や同僚に周知する必要があります。(でないと「失敗」の烙印を押されてしまいます。押された途端、事業の継続は難しくなります)
今年度の目標は「中山間地域でメイク活動を行った時の、参加者や地域の人たちの反応を、次年度の事業改善のためにデータとして収集する」です。そのための調査票を作成すること、そして参加者以外にも地域住民や福祉関連の方々に周知し、見学にきてもらうよう資料を持って説明をしています。(「目的」については、長くなるのでまた違う記事で書きたいと思います)

上述のように、改善を前提として、そのための資料とそのための周りの目を事業での活動に注ぎ込むことができれば、多くの方々からフィードバックをもらえるわけですから、どうあれ回数を重ねるごとに改善するしかないのです。(Googleしてみたら、加藤さんのケースがありました。みなさん、同じことを考えていますね)

といいながらも、すでに練習の活動はしています。対象とする方々の属性は違いますが、「綺麗になる」ことへの気持ちの高揚感はこちらの活動で確認しました。あとは、さまざまな意味でのマッチングの問題かと思います。「対象とする方とメイクのマッチング」(そのほか「プログラム内容と参加者」「講師と参加者」「実施時期と参加者」)などのフィット感ですね。

事業の経過や結果を、都度共有していきます。
見守ってください。

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