近頃を 詠にしようと 返り見る
自粛の部屋に 季節の語なし

───
久々に俳句詠もうと思ったら
季節探せず短歌になった。
（あとがきまでなぜか短歌になった。）

『抱』
君を抱いたのは久しぶりだった
君の正体はまだ分かっていない
積み重ねられた空気の波層
君の振動に世界が痺れて

誰も君の正体を掴めない
しかし君は誰よりも真を突く
口づけに口づけを重ね
やがて聞こえるひとつの脈動

地球を脱ぎ捨て君を抱く時
僕は何に抱かれているの

清明

清明のベランダに出る
地上４階の高さに浮く
一畳にも満たない箱庭

　怖がって片づけられなかった蝉の死骸と
　長かった秋の葉が
　腰抜けの冬を越してまだ居座っている
　春一番も
　牡丹雪も
　彼らを流し去ることはなかったようだ

地上からは
奏で始まった交響が
重い雲を清浄せんと
麗らかに舞い上がる

巻き込まれた二、三枚の花びらが
過ぎた季節たちの上に吹き寄せて
春の命を報せている

　清明の　

『春の雪 三句』

花見れぬ 家の人らに 降る雪よ

蔓延す 地熱鎮める 牡丹雪

近頃は 桜隠しも お手の物

────
季語
牡丹雪、桜隠し…三春
────

元気かい？
雪、綺麗でしたね。
閉塞感と怒りの中で俳句を詠めて良い一日でした。

『2020桜始開 四首』

商店街 店先暗く 時読めず
歩道の余白 埋める寒雨

書店にて 迷う視線を 掴まえる
地味な表紙の アリストテレス

死んですぐ グッズ売るワニ 笑い顔
昨日のように 可愛がれない

魔女宅で 流れるユーミン こんなにも
優しい声と 今になり知る

『先生 二首』
教壇の 老いた教師が 選り抜いた
優しさ着せた 辛苦の記憶

春の空 仰ぎ痛めし 胸持たば
あなたが教えた 咏(ｳﾀ)は良薬

『 春天・四句』
　春霖を 飲んで微睡む 土曜の樹

　竜天に 登るは見えず 靴濡れる

　道道に 春のカミナリ 轟きて

　淡雪の 白さ明日には 何処へと

───
季語
春霖、春雷…三春
竜天に登る、淡雪…仲春
───

元気かい？
雨に雷、名残雪。
慌しい一日ですね。

和訳歌詞 【 FOR GOOD 】 ミュージカル『Wicked』より

人との出会いに
偶然なんかなくて
その時
自分に欠けているものや
知る由もなかった世界をもたらすため
必要な友が現れるという
そんなのただの迷信かも知れないけど
私が今の姿になれたのは
あの日あなたに会えたから

太陽に惹かれ
軌道を変える彗星のように
岩に砕けながら
森走る小川のように
在るべき姿なんて
誰にも分からないけど
あなたが現れて
私の運命は変わったの

これが二人
会える最後の時間だ

放たれた 心が泳ぐ 水槽を
黙って視ている 無口な瞳

忘れたと 言えない気持ちと 確実に
消えゆく体 持て余してる

あとひとつ 午後のタスクを こなしたら
私の命も こなしてしまおう

曲がり角 反対の路地 喫茶店
心なければ ただの掃き溜め

冴え返る 朝日に詠めば 二季行き来

白鳥の 戻る処の 風思う
Wondering where
these swans came from
and how the view is

夜更かし 思えば外で 猫さかる
I'm missing you
in a spring midnight
stray cats too

呼び鈴に 慌て答える 朝寝声
A doze in the sun
ding-dong,ding-dong
it's

コーヒーを 包む手の平 君覚え
歩く街角 姿を探し

知っていた 言葉の真意を 身体越し
初めて知った 君との情事

戯れに 人魚が二人 打ち上がり
嵐の中で 季節をがぶり

和訳歌詞 【AS LONG AS YOU'RE MINE】 ミュージカル『Wicked』より

この唇に熱く誓って
その腕で強く教えて
今夜わたしを離さないと

恋心に住まう獣さえ
夢見ることはなかった
あなたの眼差しに抱かれるこの夜を

あなたを愛する
この時、この瞬間
世界は溶けて
ひとつになる

日の目を見ない愛だとしても
一刻、一秒に、永遠を託そう
あなたが居てくれるなら

僕は詩人になったのか
それとも賢者か
君と見る世界は
優しく、初めて見る色使い

君の魔力に魅せらた僕は
空に