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星時雨
2024年6月16日 20:00
滾る衝動行き場を失った紅い濁流が出口を求めのたうち回る動脈に蹄を食い込ませ赤兎馬の如く地響きのような鼓動前途洋々駆け巡る苛烈な神経系逆立つ感性灼ける渇きは直線的な軌道境界が自我を失い衝迫が徘徊する昂り呑まれ求めよ赤熱の臓物を抉ると内なる声が雄叫びをあげ高々と掲げる成すべきこと沸き立つ血潮脈打つ理想滾る衝動出口を見つけた紅い濁流が一目散に吹
2023年12月8日 20:01
白鍵と黒鍵とそれらがずらりと並ぶ八十八の玉座そして沈んだ鍵(けん)の窪みから人の姿に似た木が芽吹くピアノから生まれた木は母なるピアノに還るべく八十八の玉座を尋ねるその軌跡を律とし隠されたパターンを解き明かした時かの扉が開くのだそして浮かんだ鍵(けん)の頂から人の姿に似た木が還っていく私の耳に残った響きはその生命の旅路私の心に残った響きはその生命の循環
2024年1月6日 20:54
あそこを見てみなさい言葉を覚えたばかりの人間がこちらを仰いで君たちをなんと呼べばいいものか困っているだからほら名札をつけなさい君は「月」あなたたちは「星」そこの大柄なのは「夜」と神さまは用意した名札を渡しましたしばらくすると聞いてくださいわたし「星」なのに人間は「ベテルギウス」って呼ぶんですわきのしたって意味らしいですと報告する者が現れましたそれを聞
2023年12月23日 20:09
僕の手はちいさいから足元の砂を掬っては家やら山やら団子やら作ってははしゃぎ作ってはこわし作ってはひけらかし黄昏がうんと背伸びをするとみるみるうちに僕の姿は大人と呼ばれる形になって次第におおきくなっていく手はたくさん掴めるようになったからとついめいっぱい広げるものだから掬いたくないものまで握りしめて山も森も川も町も人も営みも節操なく根こそぎ掴み取
2023年12月22日 18:00
堰き止められなかったものが言葉になってこぼれて滝のように勢いよく放水されていくお日様の機嫌が良ければ虹がかかるかもしれない放物線は嬉しそうその華やかさとは反対にしずかでふかくておおきくて言葉にできなかった今は何者でもないものたちがまだかまだかと外の世界を待ってこのダムの裏側でたっぷりとためられていくぼくのすみかだったばしょはとうのむかしにそいつらの
2023年12月7日 18:00
かつて“祈り”は生き物だった苦難に藻掻く人々の前に現れては奇跡を振り撒き邪気を退け傷を癒やしたしかしある時人びとは“祈り”の力を求め締め上げ血を抜き身を洗い毛を炙り皮を剥ぎ腹を裂き腸を啜り斧で断ち肉を切り鍋で茹で喰らった“祈り”の力を得たと言う人達は崇められ大病が流行ると呆気なく死んでしまった奇跡はこの苦しみは私たちの命は残された人々は血眼で
2023年11月15日 21:25
トカゲの尻尾を切ったら?また生えてくるその前に痛いと思うよ
2023年12月6日 18:00
あの地平線をひっくり返せば空は海になるのかな音の波に乗れば色の波に飛び移れるのかな影を捲ればそこに光はあるのかな“嫌い”をなぞっていけばいつか“好き”に辿り着けるのかな表を捲れば裏があり裏を返せば表があり元々2つは1つだったのかもしれないねそうして僕は粗雑に捨てられた“嫌い”という感情を指の腹でそっと撫でた−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
2023年11月29日 21:54
あなたを待っています私を思い出してまた会う日を楽しみにあなたを忘れないあなたたちは色んな言葉を囁くけれどどれも意味はわからない佇む私たちを見て時には笑って時には泣いてなぜそのような表情を向けるのかわからないたゆたう私たちの首根っこを嬉しそうに引き千切り知らない場所に引き出され誰かもわからない人へ引き渡されそのときに唱えていたおめでとうがわからない君がいつも囁