#教育
第七章 中受地獄(白石真央)(1)
お父さんから超難関校の合格を目指せと言われて、中学受験に挑む白石真央ちゃん。
でもお父さんは過度に勉強に干渉してきて、気の休まる暇もありません。
やがて真央ちゃんは受験に嫌気が差していきます。それどころか……。
今日も一日が終わった。
日進研からの帰り道、私はそう思った。いや、これから始まりかも知れない。今日お父さんの帰りは早いかもしれないのだ。
今日のお父さんからの宿題は、ND中学の算数
第六章 ムカつくやつ(村上葵)(17)
「すごーい、村上さんトップだって?」
翌週の育成テストが終わったあと、三輪さんがやってきた。
「育成テストだし、今回はたまたまよかっただけだから」
「いままではその『たまたま』もなかったのよ。宮田君でもなく、蓮君でもなく、村上さんだなんて、快挙よ」
隣にいた白石さんも嬉しそうに微笑んだ。
「同じ女子として嬉しいよね。なんだか私も力をもらったみたい」
二人が言ってくれるのを聞きながら、私は転塾
第六章 ムカつくやつ(村上葵)(1)
御三家を目指す子は必ずここに通うと言われる、都内随一の進学塾「シグマ」から転塾してきた村上葵。元シグマのプライドとして日進研生ごときには負けたくないと内心思っています。
ところがいかにも幼そうな吉本蓮という塾生が、自分より成績が良いと知り、ショックを受けます。
以来葵は蓮のことが鼻について仕方がなくなるのですが……。
「じゃあ、村上さんは来週からこの教室で勉強することになるからね」
塾長の寺内
第五章 本番以外は練習(江藤陸斗)(1)
どうしても勝てない宮田君や蓮君という同級生がいて、劣等感を感じている江藤陸斗君。そのうえ浜名君や清原君がメキメキ成績を上げてきていて、内心焦っています。そして、その気持ちを隠すように、いつも冗談でごまかしています。
ママは受験に熱心だけど、パパは受験に消極的な態度。
そんなとき、同じ野球チームだった柴田君から誘いを受けます。
「ねえ、陸斗。あなたこのままの偏差値なら、もうママは許さないからね」
第二章 真剣勝負(浜名航平)(1)
将棋が大好きな浜名航平君の話です。
五年生になり、突然塾に通わされることになった浜名君。
本当は勉強なんてしたくないので、カンニングで乗り切り、将棋道場に通って、常連の平じいと将棋を指してばかりいます。
そんなある日、お兄さんが将棋部の友達を家に連れて来ます。
引っ越しが終わり、みんなで蕎麦を食べていたとき、母さんが俺に言った。
「お兄さんは名門KJ中学なんだから、あなたもそろそろ、お兄さんを
📗それは奇跡ではないが、奇跡のようだ!
今時期は、「奇跡的な学力アップ」が起こる時期だ。
奇跡だから起こそうと思って起こるわけではないし、超能力が働くわけでも(たぶん)ない。
勉強をし続けていると、ある日急に「あっ、わかった!」という日が来る生徒がいるのだ。
それまで、悩みに悩んでいた問題が急に「氷が溶けるように」解けるようになる。塾教師になりたての頃は本当に「これは奇跡に違いない」と思っていたのだが、どうも、そうでもないよ
📗「おどかしっこ」があったから、頑張れた
友人同士が集まって、学校の休み時間や、塾の行き帰りなどに、どうでもいいような、あまり役にも立たないようなことを「実はね、ネットでこんな情報を見つけたんだけど、知ってる?」などと誰かが話しはじめる。そして、その内容がみんなの琴線に触れた時、いわゆる「おどかしっこ」が始まる。
「じゃあ、こんなの知ってる?」「それ、すごいね!」「じゃあ、こういう風になったらどうなる?」・・・と、時がたつのも忘れて