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私が教師をやめるまで

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全50話の完結物語
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記事一覧

私が教師をやめるまで#外伝1

私が教師をやめるまで#外伝1

【外伝#1】ある日のやり取り

私「先生、今日の授業はどうしますか?」

教員A「え?授業?ああ、そうだった。今日は自習だよ」

私「またですか?先生、最近ずっと自習ばかりで……」

教員A「別にいいじゃないか。自分で勉強する方が身につくだろう」

私「でも先生、テストも近いし、わからないところも多いし……」

教員A「じゃあ質問すればいいさ。俺はここにいるから」

私「でも先生、質問しても答えて

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私が教師をやめるまで#19~#20

私が教師をやめるまで#19~#20

【第21話】問題は生徒のみではない:モンスターペアレンツの私 前編

生徒たちとも仲が良く、授業も楽しくやっているつもりだった。
しかし、ある日、一人の保護者から電話がかかってきたことで、私の平穏な日常は一変した。

「先生、娘が勉強が苦手だと言っています。どうしてですか?」

電話の主はA子さんという生徒の母親だった。A子さんは成績は平均的だが、授業態度は良くて積極的に参加している生徒だった。

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私が教師をやめるまで#18

私が教師をやめるまで#18

【第18話】ネグレクト:関心のない家庭で育つ子供の実態

ある日私が担当するクラスの中で、Bさんという生徒の存在に気がついた。

Bさんはいつも一人で学校に来ていた。
授業中も机にうつむき、周りとのコミュニケーションもほとんどとっていなかった。様子が心配になり、何度か話しかけてみたが、彼は何も話さなかった。

ある日、私は彼を呼び出して話を聞くことにした。
彼は何も話さないまま、うつむいていた。

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私が教師をやめるまで#16~#17

私が教師をやめるまで#16~#17

【第16話】衝撃の告白:妊娠したしまった生徒との関わり 前編

私は生徒たちと仲が良く、特に2年生のクラスでは信頼されていた。

理由としては、ただただ若くて、話のわかるお兄さん的キャラだった、というだけ。教員は若いというだけでちょっと有利に働くことが多い。

ある日、私は放課後に教室に残っていた女子生徒に声をかられた。

彼女の名前はAという。彼女の成績はそこそこではあるが、性格は非常にあかるく

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私が教師をやめるまで#13

私が教師をやめるまで#13

【第13話】信頼の獲得:生徒たちと信頼関係を築く #1

当初に少し話を戻そう。

私が担当するクラスは問題児が多いと噂されていた。

初日の自己紹介では、生徒たちは無関心な様子で私の話を聞かなかった。授業中も騒がしくて、私の声はかき消されてしまった。

「どうしたらいいのだろう…」

私は悩んだ。生徒との信頼関係を築くにはどうすればいいのか、分からなかった。

ある日、私は放課後に教室に残って授

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私が教師をやめるまで#11~#12

私が教師をやめるまで#11~#12

【第11話】ADHDの生徒との関わり:現実はものすごく残酷だった 前編

担任しているクラスにはADHDの生徒もいた。

彼は授業中も落ち着きがない時もあれば、疲れ切ったように机に突っ伏しているときもある。また自律神経の問題もあり、朝がとても弱い。

忘れ物や遅刻も多くて、時間や約束を守ることもできなかった。
課題ももちろん出すことはない。

しかしながら、テストの点数は学年で真ん中程度であった。

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私が教師をやめるまで#9~#10

私が教師をやめるまで#9~#10

【第9話】不登校生徒への取り組み:想像以上に根深い問題に直面する 前編

私が担当するクラスには、不登校気味の生徒が3名いた。

そのうちの一人は当初、ものすごく元気ではあったが、いつしか不登校になり学校に来ることができなくなってしまった。

私は、この生徒を学校に戻すことができるよう、様々な取り組みを行った。

最初は生徒との面談。
次に保護者との打ち合わせだ。
不登校生徒が抱えている問題につい

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私が教師をやめるまで#7~#8

私が教師をやめるまで#7~#8

【第7話】存在意義の疑問:教育者としての自分自身の役割や存在意義についての悩み・前編
 

「待つ・見守る」というスタイルに切り替えた。

 
徐々に生徒たちの態度に変化の兆しは見られるが、本当にこのままで良いのか。もっと働きかけたいと思うようになった。
 

私は、教育者としての自分自身の役割や存在意義についての疑問を感じるようになっていた。

このままで生徒たちの成長に貢献できているのか、自分

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私が教師を辞めるまで#5~#6

私が教師を辞めるまで#5~#6

【第5話】生徒たちの問題行動:学習意欲の低下や問題行動による心身の疲れ#1

私は、先輩教員・同僚間でのコミュニケーションの改善に努める一方で、生徒たちの問題行動により心身の疲れを感じるようになっていた。

生徒たちの学習意欲の低下や問題行動が、私の教育に対するモチベーションに影響を与え始めていた。

授業中にもかかわらず、生徒たちが携帯電話を触っているなどの問題行動が増えていた。また、授業に対す

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私が教師をやめるまで #3~#4

私が教師をやめるまで #3~#4

【第3話】疲弊と不満:残業と課題に追われる中でのストレス

私は、先輩教員のアドバイス・指導により、教員としての成長を実感することができた。

しかし、教育現場における問題や困難に直面することもあり、ストレスがたまっていた。

特に同僚、中でも先輩教員との距離感が難しかった。

残業が続き、課題に追われる中でのストレスが、私の心身に影響を与え始めていた。

授業の準備や課題作成に追われ、睡眠時間が

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私が教師をやめるまで #1~#2

私が教師をやめるまで #1~#2

【第1話】初日:新しい職場でのやりがいと期待感

新人教員の私は、今日が初めての学校での勤務日であった。

高校の教師として、教育に対する情熱を持ってこの日を迎えた。新しい職場でのやりがいと期待感に胸を膨らませ、私は緊張しながらも楽しみにしていた。

朝礼で校長先生からの挨拶があり、その後、新入生の紹介や教育方針の説明が行われた。

私は真剣に聞き入り、学校の雰囲気や方針について理解を深めていく。

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