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人間の条件

今週はずっと本の話が続いてしまっていますね。

ドイツ出身のユダヤ系哲学者であるハンナ・アレントは著書の中で、「人間」であるための3つの条件について述べています。

労働 (labor) : 生存のために必要に駆られてする行為

仕事 (work) : 何らかの目的を達成するために行われる行為のこと

活動 (action) : 自発性に基づいて、積極的に他者とのかかわりを持つような行為

条件の次元としては、「労働」が下位で、「活動」が最も重要な要素だとされています。

上記の定義だと、「労働」と「仕事」だけでは、人間は他者と積極的に関わる必要はありません。

それに対して「活動」は他者ありきの積極的な行為となります。

活動が最も重要な要素とされるのは、人間は他者との関わりを通して自分が何者であるのかを知り、また他人がどのような人間であるのかを知ることができるから、とアレントは定義付けています。

なんだか学校の授業のような話から始めてしまいましたが、なんでこういった話をしたかというと、私たちのサービスの在り方に関わっているからです。

私たちがサービスを提供するお客様のほとんどは、社会的活動からも離れて、仕事も引退されていたり、また日常的な労働も行ったりされていません。

上記の「人間の条件」のうち、どの条件も満たされていない方が対象となります。

そして、お客様には元気になっていただくためのサポートをするのが我々の役割です。

今ある機能を回復する。
今ある機能を維持する。

そのためには、身体を動かしていただく必要があります。

身体を動かすためにも、まずは「人間の条件」のうち下位にあたる「労働」からお願いをする。

施設内において、これまで職員が中心になってやっていたであろう「労働」はお任せすることができます。

食材の買い出しや調理などの食事の準備から配膳まで。
掃除や片づけや庭の整備など。

やりたくもないレクリエーションをするよりも、どれもご自身の日常に直結してくる行為です。

次に「仕事」につなげるには。

施設としてのイベントの企画。

イベントとは座ったままのお客様を楽しませるものではなく、お客様が企画・開催をして地域の人たちと交流していくためのもの。

目的が明確になれば、何をするか、何を売るかなども決まり、そのためにお客様にしていただくモノづくりや飾りつけの準備などは「仕事」になります。

得られた報酬でお孫さんにお土産を買うこともできるでしょう。

そして、地域の方々との交流は、結果「活動」にもつながります。

誰かと関わること、誰かの役に立つことが「人間の条件」の最上位の要素であるとしたら、お客様にとってのその環境をいかに用意していくかというのが私たちの仕事となります。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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