うどぅん・てんぷらー

だいたい週に一度、詩を投稿しています。 ほとんどが生きている自分に酔った詩ばかりですが…

うどぅん・てんぷらー

だいたい週に一度、詩を投稿しています。 ほとんどが生きている自分に酔った詩ばかりですが、読んでいただけると嬉しいです。

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第10篇『酔生夢詩』

定まらぬ焦点 回る世界 口の戸は開け放たれ 意識が宙を飛び回る 緩み切った赤ら顔 混迷する夢現 錯綜を続ける言葉の群衆 歪な形に並べて笑う 日々の多くは生き辛く 明日…

陽だまりで雨に打たれて

陽だまりが消えた 消えることは分かっていた どうにも出来なかった 雑に言うならば運命だった 陽だまりが消えた 二つ目なんて存在しない これが最初で最後 唯一無二の温も…

初心を忘れて、空を見て

陽光と蒼穹で織ったカンバス 海風が描画する白い岸辺 雲間を流れる青は大河か、大海か 岸をも巻き込む大渦か 望月と空夜で織ったカンバス 陸風が描画する青い岸辺 雲間を…

空梅雨に笑え

雨が迷っている 梅雨の最中の真夏日に 雲が迷っている 呵呵大笑する太陽を背に 天気予報が迷っている 曇マークに40%でお茶を濁して 私が迷っている 今日の予定と傘を片手…

天才に告ぐ

成層圏から見遣る星
 高峰から望む月
 黄昏た水底から見上げる太陽
 彼我の距離はそんなもの 君は言う
 誰でも最初は原石なんだ 可能性の塊なんだ
 努力と経験で磨け…

湖面の繭

探している 白紙の湖面に投げ込む言葉を 探している 果てのない彼岸で1人 歩き回る 心と感情の瀬戸際を 探して回る 散らばる語彙から素敵なものを 掴み上げて思う この言…

青い白昼を望む

溜息と共に起き上がる 草木も寝惚ける丑三つ時 うんざりしながら服を着る 衣擦れだけが静寂に笑う 背筋が曲がっている 鏡の前でだけ正してみても 心が折れている 濁り切っ…

千変万化の夜明けを繋いで

澄み渡る明朝 空色は紺から赤を経て白に 音を立てて輝き迫る 炎のような朝が来る 薄く陰る早朝 空模様はまるで鯨幕 風以外に沙汰は無い 不気味で不吉な朝が来る 暗く重い…

安寧よりも眠れぬ夜を

湿度の底に沈む月 舞い上がった雲に隠れる 唸り声は嗚咽にも似て 竜胆色の雨が降る 夜半の褥に積もる闇 澄ました耳朶を雨が叩く 勝手に軒を楽器に騒いで 眠気は浅瀬を行っ…

目を閉じれば人は一人だ

独立した価値観と世界観 共有することの出来ない主観 私とは世界だ 私一人しか存在しない世界だ 似た感性に理解は示せる それでも完全には分からない 他人とは世界だ 観測…

迷走、傍らに風

風が歌う 少し開けた窓と 厚く閉ざしたカーテンの隙間で 外に出て来い、と誘っている 風が走る 日向と日影の狭間で産まれて 当てもなく走る 行き先など特にないのだろう …

夜は群像劇

固い空に背中を預ける 日も沈み切らぬ夜の途上で 煮詰まっていく青の底に月を探す 昼の香りを残す風の中で 水面に戯れる雲を愛でる 地平線へと今日を見送りながら 後に続…

創作っていいな、ちくしょう

固く結んだ唇 食い縛った歯 胸の奥で滞留する心 行き場のない言葉が血に溶ける 全身に行き渡る 心から産まれ出た言葉が 血の如く全身を巡る 心臓の鼓動に後押しされて 唇…

私の悪い癖

天辺の砂浜 群青色に輝く 押し寄せる波は灰色 満ちて光と青を埋める 山系の絵画 濃淡入り混じる翡翠のモザイク 開園時間は日が陰るまで あとは静かに戦ぐだけ いつだって…

詩を詠む雑草

雑草は飢えている 金網の上の不揃いな花畑 周りには花々 今日も高く華麗に咲き誇る いつも乾いている 空には名も顔も知らぬ雨雲 降り注ぐのは雨か、罵倒か、賞賛か 浴びる…

快晴のち桜、ところにより雨

雨が降っていた 淡く晴れ渡る昼下がり サンルーフ越しの桜の下で 雨音は微風のふりをして 雨が降っていた 空白が居座る助手席の隣 窓越しに手を振る桜の横で 誰にも知られ…

第10篇『酔生夢詩』

第10篇『酔生夢詩』

定まらぬ焦点
回る世界
口の戸は開け放たれ
意識が宙を飛び回る

緩み切った赤ら顔
混迷する夢現
錯綜を続ける言葉の群衆
歪な形に並べて笑う

日々の多くは生き辛く
明日は嫌でもやってくる
逃げるつもりはない
これは挑むための酩酊だ

臆するな
四行の最中で単語と踊れ
恐れるな
嗤っているのは路傍の石だ

恥じるな
その言葉が己の全てだと
酔っぱらえ
今日を足掻く自分自身に

さあ、格好良く酔おう

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陽だまりで雨に打たれて

陽だまりで雨に打たれて

陽だまりが消えた
消えることは分かっていた
どうにも出来なかった
雑に言うならば運命だった

陽だまりが消えた
二つ目なんて存在しない
これが最初で最後
唯一無二の温もりだった

陽だまりは消えた
後には雨が降るだけだ
いつまで、なんて分かるものか
止むまで降るんだ、さめざめと

陽だまりは消えた
降り続いた雨も止んだ
気化した熱に奪われて
跡は日に日に薄れていく

忘れてしまうのか
私を支え続け

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初心を忘れて、空を見て

初心を忘れて、空を見て

陽光と蒼穹で織ったカンバス
海風が描画する白い岸辺
雲間を流れる青は大河か、大海か
岸をも巻き込む大渦か

望月と空夜で織ったカンバス
陸風が描画する青い岸辺
雲間を行く水面に輝くは星か
鏡写しに煌めく人の営みか

長く残りはしないのだろう
同じ風は吹かず
同じ雲は生まれず
同じ景色は望めない

なんだってそうだ
同じものに出会う日など来ない
同じ喜びは見つからず
同じ色の涙が流れることはない

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空梅雨に笑え

空梅雨に笑え

雨が迷っている
梅雨の最中の真夏日に
雲が迷っている
呵呵大笑する太陽を背に

天気予報が迷っている
曇マークに40%でお茶を濁して
私が迷っている
今日の予定と傘を片手に

明日の予定に空模様
不透明なものばかりだ
一寸先は闇
こんなに眩しい晴れでも同じ

不安は尽きない
明日の天気はどうか
楽しく過ごせるか
また、次の日に命を託せるか

期待も尽きない
明日の天気はどうか
楽しく過ごせるか

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天才に告ぐ

天才に告ぐ

成層圏から見遣る星

高峰から望む月

黄昏た水底から見上げる太陽

彼我の距離はそんなもの

君は言う

誰でも最初は原石なんだ
可能性の塊なんだ

努力と経験で磨けば輝ける

私は願う

世の大半は唯の石

磨いても磨いても唯の石

光らず最後は雲散霧消

生きていけるか

『格』『次元』

『才能』『住む世界』

沢山の言い訳に埋もれて

生きていると言えるか

言い訳を食み続けて
諦めに眩

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湖面の繭

湖面の繭

探している
白紙の湖面に投げ込む言葉を
探している
果てのない彼岸で1人

歩き回る
心と感情の瀬戸際を
探して回る
散らばる語彙から素敵なものを

掴み上げて思う
この言葉でいいのだろうか
振りかぶって思う
この想いでいいのだろうか

答える者はない
止める者もいない
答えがあるとは思わない
止まるつもりもない

力の限り投げ入れる
軌跡は重力の愛の形
波紋の生誕を見届ける
凪いだ世界に風が吹く

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青い白昼を望む

青い白昼を望む

溜息と共に起き上がる
草木も寝惚ける丑三つ時
うんざりしながら服を着る
衣擦れだけが静寂に笑う

背筋が曲がっている
鏡の前でだけ正してみても
心が折れている
濁り切った目を見て悟る

それでも、ドアを開けてしまう
怠惰と辟易が止めても構わずに
ガラスの向こうは青い白昼
アナタに会いたい一心だった

空に薄雲、月に暈
波及する光は夜を昼間に
輝く風が世界を満たして
そして、私に届くだろう

濁った

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千変万化の夜明けを繋いで

千変万化の夜明けを繋いで

澄み渡る明朝
空色は紺から赤を経て白に
音を立てて輝き迫る
炎のような朝が来る

薄く陰る早朝
空模様はまるで鯨幕
風以外に沙汰は無い
不気味で不吉な朝が来る

暗く重い朝方
夜と変わらぬ黒い空
雨音と雷鳴に満たされた
前途多難な朝が来る

再来を願う朝があり
二度と御免な朝もある
同じ朝に覚えはない
夜明けはいつでも千変万化

明日はどうなる
隣にいるのは希望か、苦境か
それがどちらであろうとも

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安寧よりも眠れぬ夜を

安寧よりも眠れぬ夜を

湿度の底に沈む月
舞い上がった雲に隠れる
唸り声は嗚咽にも似て
竜胆色の雨が降る

夜半の褥に積もる闇
澄ました耳朶を雨が叩く
勝手に軒を楽器に騒いで
眠気は浅瀬を行ったり来たり

こんな夜に考える
考えても仕方のないことを
嫌々ながらに考える
眠れぬ夜に拍車が掛かる

答えを探している
何度も打つ寝返りの先で
見つかるはずもないだろう
こんな冴えぬ思考と冴えた目で

きっと、明日は大変だろう

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目を閉じれば人は一人だ

目を閉じれば人は一人だ

独立した価値観と世界観
共有することの出来ない主観
私とは世界だ
私一人しか存在しない世界だ

似た感性に理解は示せる
それでも完全には分からない
他人とは世界だ
観測しきれない別の世界だ

人混みに揉まれていても
親しい誰かと笑っていても
愛する誰かに触れていても
目を閉じれば、人は一人だ

それでも、一人では生きられない
目を閉じては生きていけない
愛も友情も優しさも
他人を理解しようとする現

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迷走、傍らに風

迷走、傍らに風

風が歌う
少し開けた窓と
厚く閉ざしたカーテンの隙間で
外に出て来い、と誘っている

風が走る
日向と日影の狭間で産まれて
当てもなく走る
行き先など特にないのだろう

風が歩く
人生の岐路で立ちすくむ横を
渦を巻いて煽る
時間と同じで待ってはくれないらしい

羨ましく思う
駆け抜ける、その爽やかさが
眩しく映る
迷ってばかりの私の目には

上手く生きることが出来るか
誰かより幸せに終われるか

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夜は群像劇

夜は群像劇

固い空に背中を預ける
日も沈み切らぬ夜の途上で
煮詰まっていく青の底に月を探す
昼の香りを残す風の中で

水面に戯れる雲を愛でる
地平線へと今日を見送りながら
後に続く明日が追い付くことはあるのか
赤ら顔を伏せる雲達を見ながら思う

風が走っていく
私と仰臥する原野の傍らを
幕間が終わる
舞台の中心に月が登る

夜は群像劇
星だけでは寂しい
虫の声だけでは悲しい
さりとて、月だけでは寒々しい

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創作っていいな、ちくしょう

創作っていいな、ちくしょう

固く結んだ唇
食い縛った歯
胸の奥で滞留する心
行き場のない言葉が血に溶ける

全身に行き渡る
心から産まれ出た言葉が
血の如く全身を巡る
心臓の鼓動に後押しされて

唇はまだ開かない
歯の根も固く合わせたまま
皺を寄せた眉間の奥で
より良い形に削っていく

言葉をもっと血に溶かせ
五体を満たすにはまだ足りぬ
満ちた言葉同士が擦れ合えば
勝手に詩になるのだろうか

そう上手くはいかない
どれだけの

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私の悪い癖

私の悪い癖

天辺の砂浜
群青色に輝く
押し寄せる波は灰色
満ちて光と青を埋める

山系の絵画
濃淡入り混じる翡翠のモザイク
開園時間は日が陰るまで
あとは静かに戦ぐだけ

いつだってそうだ
世界が輝く時間を知りながら
いつだってそうだ
残るのは輝きが褪せる瞬間ばかり

錯覚しそうになる
世界は暗いのだと
人生に光は無いのだと
悲嘆に暮れるのが癖になる

そういう日こそ、笑う
声なんて上げなくていい
下を向いた

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詩を詠む雑草

詩を詠む雑草

雑草は飢えている
金網の上の不揃いな花畑
周りには花々
今日も高く華麗に咲き誇る

いつも乾いている
空には名も顔も知らぬ雨雲
降り注ぐのは雨か、罵倒か、賞賛か
浴びる端から金網を擦り抜けて

太陽はあまり見えない
誰もがそれに向かって伸びるから
それでも、負けじと太陽を目指す
雑草にも命の性がある

恨みはしない
花に生まれなかったことを
嫉みはしない
更に伸びていく花達を

違う命だ
伸びる速

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快晴のち桜、ところにより雨

快晴のち桜、ところにより雨

雨が降っていた
淡く晴れ渡る昼下がり
サンルーフ越しの桜の下で
雨音は微風のふりをして

雨が降っていた
空白が居座る助手席の隣
窓越しに手を振る桜の横で
誰にも知られずシトシトと

雨が降っている
車を汚すこともなく
桜を散らすこともなく
思い出に咲く花が枯れないように

雨が降っている
笑顔は去年に置き去りで
喜ぶ声が今年を迎えることはない
それが、たまらなく寂しくて

雨は、まだ止まない

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