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青い白昼を望む

溜息と共に起き上がる
草木も寝惚ける丑三つ時
うんざりしながら服を着る
衣擦れだけが静寂しじまに笑う

背筋が曲がっている
鏡の前でだけ正してみても
心が折れている
濁り切った目を見て悟る

それでも、ドアを開けてしまう
怠惰と辟易へきえきが止めても構わずに
ガラスの向こうは青い白昼はくちゅう
アナタに会いたい一心だった

空に薄雲、月にかさ
波及する光は夜を昼間に
輝く風が世界を満たして
そして、私に届くだろう

濁った瞳を月が占める
曲がった背筋に光が挿し込む
折れた心に眩く寄り添い
口角を上げる力をくれる

アナタに会うたびに思う
やっぱり世界は美しい、と
アナタに会うたびに想う
今日まで生きた甲斐があった、と

さあ、行こう
名残惜しくはあるけれど
さて、行こう
今日も生きる時間がやってきた

苦難は多いだろう
されど、美しいものがある
それを知っている
笑う動機には事足りる

またいつか会えるだろう
私が死にさえしなければ
どうか、御元気で
青い白昼を望む、その日まで


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