第10篇『酔生夢詩』
定まらぬ焦点
回る世界
口の戸は開け放たれ
意識が宙を飛び回る
緩み切った赤ら顔
混迷する夢現
錯綜を続ける言葉の群衆
歪な形に並べて笑う
日々の多くは生き辛く
明日は嫌でもやってくる
逃げるつもりはない
これは挑むための酩酊だ
臆するな
四行の最中で単語と踊れ
恐れるな
嗤っているのは路傍の石だ
恥じるな
その言葉が己の全てだと
酔っぱらえ
今日を足掻く自分自身に
さあ、格好良く酔おう
悲喜こもごもを生き抜くために
身の丈に合わぬ夢を見て
奮い立つための詩を詠むのさ
散り際の花のつもりで
空を舞う鳥になりきれ
吹き荒ぶ風に己を重ねて
俯瞰する月と振る舞え
そうして出来た言葉の群れ
酔いどれのクサい戯言
そんなものでいい
そんなものだからこそ
私は其れを詩と呼ぶのだ
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