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陽だまりで雨に打たれて

陽だまりが消えた
消えることは分かっていた
どうにも出来なかった
雑に言うならば運命だった

陽だまりが消えた
二つ目なんて存在しない
これが最初で最後
唯一無二の温もりだった

陽だまりは消えた
後には雨が降るだけだ
いつまで、なんて分かるものか
止むまで降るんだ、さめざめと

陽だまりは消えた
降り続いた雨も止んだ
気化した熱に奪われて
跡は日に日に薄れていく

忘れてしまうのか
私を支え続けた温もりを
忘れてしまえるのか
心に根差した愛と言葉を

忘れたくない
私が愛した、この場所を
忘れてたまるか
私を愛してくれた、この場所を

陽だまりは、もう無い
縋り付くことは出来ない
いつまでも留まってはいられない
進み続けることこそとむらいだ

陽だまりは、もう無い
されど、貰った熱はこの胸に
温もりは常にこの心に
陽だまりはいつも、私の中に

でも、たまにはいいだろう
天気が崩れたこんな日くらい
傘も差さずに想うのだ
陽だまりで、雨に打たれて


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