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湖面の繭

探している
白紙の湖面に投げ込む言葉を
探している
果てのない彼岸で1人

歩き回る
心と感情の瀬戸際を
探して回る
散らばる語彙ごいから素敵なものを

掴み上げて思う
この言葉でいいのだろうか
振りかぶって思う
この想いでいいのだろうか

答える者はない
止める者もいない
答えがあるとは思わない
止まるつもりもない

力の限り投げ入れる
軌跡きせきは重力の愛の形
波紋の生誕を見届ける
凪いだ世界に風が吹く

投げ続ける
ただ、無心に
投げ続ける
静かな湖面を震わす言葉を

投げ掛け続ける
悲しみを、喜びを
幾つもの波紋を重ね織る
いつかまゆが出来るまで

中身はなにか
蝶か、蛾か
飛翔も望めぬ出来損ないか
どれであっても些末さまつなことさ

繭の中身は旅立った
行く末を知る術はない
名前は誰かが付けるだろう
蝶と呼ぶか、蛾と呼ぶか

あるいは、詩と呼んでくれるだろうか




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