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<短編小説>フルフールエイプリール
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『アンケートのご協力をお願いいたします。
一億円で、十年時間を戻せる権利が、発売されました。
購入しますか?』
帰宅してすぐに、スマホにそんなメールが、送られてきた。
「くだらねえ」
舌打ちとともに吐き捨てて、スマホを万年床の布団に投げた。一億円なんか都市伝説並みに、リアリティがないし、ガキ臭い表現だと鼻で笑った。そう言えばと、スマホを手に取り確認すると、今日は四月一日であった。エイ
<短編小説>夢幻鉄道ー真っ青な世界とワルモノの盾ー(二次創作)
一
―――あの家に、僕の居場所なんてない。
蝉の鳴き声が降りしきる中、街灯がまばらな夜道を歩く。朝も夜も全力で自己主張を続ける蝉は、いつ眠っているのか謎だ。散々叫びに叫んで、あっさりと死んでいく。まるで花火みたいで、綺麗だと思った。
息を殺して生きる事に、なんの意味があるのだろう。
地元の中学校に入学して、五か月ほどが経過した夏休み。僕は、小学校からの悪友達と、連日夏休みを謳歌していた。