ふじゆう

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短編小説を投稿します。応援して頂けると、嬉しいです。全ての小説は、投げ銭スタイルです。絶賛実験中!

最近の記事

<短編小説>嘘つきショートホープ

 一  嘘つきショートホープ。それが、俺の名前だ。勿論、本名ではない。仕事上のあだ名のようなものだ。いつの間にか、同業者からそう呼ばれていた。直接呼ばれる事はないけど、陰でそう呼ばれていると聞いた。  特段、仕事に思い入れやプライドがある訳ではない。ただ、実入りが良いというだけで、長年嫌々やっている。中には、この仕事を天職だとほざく奇人変人もいる。理解に苦しむ。ただ俺には、才能があるようで、未だかつて一度もミスをした事がない。能力と好みは、別物のようだ。  唯一、気に入って

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    • <短編小説>フルフールエイプリール

      <1> 『アンケートのご協力をお願いいたします。 一億円で、十年時間を戻せる権利が、発売されました。 購入しますか?』 帰宅してすぐに、スマホにそんなメールが、送られてきた。 「くだらねえ」  舌打ちとともに吐き捨てて、スマホを万年床の布団に投げた。一億円なんか都市伝説並みに、リアリティがないし、ガキ臭い表現だと鼻で笑った。そう言えばと、スマホを手に取り確認すると、今日は四月一日であった。エイプリルフールという奴だ。まだ、こんなくだらない事をして、喜んでいる奴がいるようだ

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      • <短編小説>夢幻鉄道ー真っ青な世界とワルモノの盾ー(二次創作)

        一 ―――あの家に、僕の居場所なんてない。  蝉の鳴き声が降りしきる中、街灯がまばらな夜道を歩く。朝も夜も全力で自己主張を続ける蝉は、いつ眠っているのか謎だ。散々叫びに叫んで、あっさりと死んでいく。まるで花火みたいで、綺麗だと思った。  息を殺して生きる事に、なんの意味があるのだろう。  地元の中学校に入学して、五か月ほどが経過した夏休み。僕は、小学校からの悪友達と、連日夏休みを謳歌していた。勢いで空けた左耳には、青色のピアスが光っている。蝉時雨を浴びていると、体中の毛穴

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        • <短編小説>ご主人様と僕

          (60日目)  体を丸くして毛布にくるまっている僕は、勢いよく顔を上げた。この足音は、ご主人様だ。独りぼっちで寂しかったから、早く扉が開かないか待ちどおしい。ご主人様が帰ってきた事が分かった途端、お腹が空いていた事を思い出した。そう言えば、トイレもずっとしていなかった。でも、そんな事はどうでも良いのだ。僕は四方を囲まれた檻に体当たりする勢いで、早くご主人様に触れたくて、じっとしていられない。  ぶつかった衝撃で、檻はギシギシと音を立てている。四方に区切られた狭い空間、僕は縄張

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        <短編小説>嘘つきショートホープ

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          <短編恋愛小説>あきらめアイ

          「おめでとー! お幸せにー!」  祝福の言葉と花弁が舞い散る。見知った顔が道を挟んで、左右に列をなしている。学生時代の同級生や職場の元同僚・上司が満面の笑みを浮かべている。私は、新郎のタケルの脇に腕を通し、笑顔のお返しをする。すると、左上から、小さな溜息が聞こえた。 「まったく、他人の事で良く喜べるね? あれって本心かな? 予定調和的な奴かな? スポーツの世界戦だけ、熱狂する奴みたいな感じ? 幸せだから、結婚するんだよ。ねえ? アリス? イテェ!」 「黙ってろ」  私は、顔面

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          <短編恋愛小説>あきらめアイ

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          <短編小説>戒めの銀時計

          一。 ―――俺は、嘘をついた。  教室の隅。一番後ろの窓際の席で、机に肘を置き頬杖をつく。グラウンドでは、一年の連中がサッカーを行っている。一時限目から体育とか、悲惨だな。と、憐みの色を瞳に浮かべ、鼻で笑った。  おもむろに、ズボンのポケットに手を突っ込み、引き抜いた。手には、銀時計が握られている。懐中時計と呼ばれる事が一般的のようだが、俺は銀時計と呼んでいる。理由は、ただ単にスマートだからだ。腕時計はつけずに、この銀時計を所持している。渋くてカッコイイからと、友人には言

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          <短編小説>戒めの銀時計

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          <短編小説>髪切り男

           空が白々明るくなってきた。腕時計を確認する。余裕を持って少し早く出てきて正解だった。始発に間に合いそうだ。早く帰って、布団に飛び込みたい。僕は無遠慮に大きくあくびをした。  大学のサークル仲間との飲み会を行い、終電を逃してしまった為、そのままカラオケボックスへと流れて行った。喉を押えて、軽く咳をした。喉の違和感を隠せない。  駅のロータリーに到着し、円に沿って歩いていくと、駅の改札へと向かうエスカレーターがある。僕はあくびが原因で生まれた涙を指ですくう。もう一度、あくびが出

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          <短編小説>髪切り男

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          <短編小説>天使の梯子

           突然の大雨に、私は走り出した。天気予報では、降水確率は三十パーセントって言っていたのに。傘を持たずに家を出てきてしまったのが間違いだった。髪の毛が濡れて、走る度に髪が頬に纏わりつくのが不快だ。  手を額に当てて、手庇で視界を確保する。しばらく走っていると、前方に緑色の庇が飛び出た、店舗を発見した。少しの間、あそこで雨宿りをさせてもらおう。何屋さんかは分からないけれど、店は閉まっていて、気持ちが楽だった。カバンからハンドタオルを取り出し、少しでも雨を拭き取ろうとした時、私の隣

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          <短編小説>カミナリ神社の巫女物語

           ワタクシは巫女である。名前はまだない。  正確に言うと、名前はもうない。とある失敗をしてしまい、神様を怒らせてしまった挙句、名前を取り上げられ、現世落ちという結果だ。甚だ不本意ではあるのだが、神に仕える身としては、甘んじて受け入れるしかない。なので、『巫女』というのは、仕事の名称であり、ワタクシの名称でもあるのだ。簡単に言うと、降格である。巫女と一口に言っても、位があり、神様に付き従う名持ちの巫女と、神様見習いに付き従う名無しの巫女がある。ワタクシは、後者であり、元前者だ。

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          <短編小説>カミナリ神社の巫女物語

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          <短編小説>想像力で空を飛ぶ

           この町で一番背の高い鉄塔の上が、僕の特等席だ。 眼下に広がる無数の光の中で、同級生達は高校入試の受験勉強に追われていることだろう。 僕は勉強をする必要がなくなった。さて、今日は、どこへ遊びに行こうか? この町は、ほぼほぼ見尽くしたし、いっそ海外にまで行ってみようか。  僕には、そんな勇気はないのだけれど。  頭上を見上げれば、なんの隔たりもなく、無数の星々と無限の夜空が広がっている。どこまで行けるのか確かめたくなって、輝く星に手を伸ばしたこともある。しかし、地上から離れ、星

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          <短編小説>想像力で空を飛ぶ

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