記事一覧
『HOW TO BLOW UP』パイプラインの爆破は「正義」か「テロ」か
本作は「環境テロ行為を助長する」と、FBIが警告を出した作品である。
若き活動家たちが環境破壊行為を止めるため、また自身の主張に耳目を集めるために、テキサス州の石油精製工場のパイプライン爆破計画を立案する。ただ爆破するだけではない。誰も傷つけず、環境も破壊することなく、石油を1滴もこぼさず、この任務を遂行するのである。
本作には原作があり、「パイプライン爆破法 燃える地球でいかに闘うか」という
お下品なB級低俗コメディ『ドライブアウェイ・ドールズ』(誉め言葉)
『ビッグ・リボウスキ』(1998年)のようなシリアス色の強いコメディか、『ファーゴ』(1996年)のようなコメディ色の強いシリアスな映画が多い印象のコーエン兄弟。弟のイーサン・コーエンによる初の単独監督作品となった『ドライブアウェイ・ドールズ』は、コメディ色の強いコメディで完全に振り切っている印象だ。
しかもかなりお下品な路線の、B級低俗コメディ(誉め言葉)である。
イーサンの妻であり、今作で
海外へ向けて説明したい『君たちはどう生きるか』のポイント
とあるご縁から、海外向けに『君たちはどう生きるか』の記事を書くことになった。バイリンガルの翻訳家と一緒に映画を鑑賞し、どんなポイントが海外の方にとって伝わりづらいかを話し合ったのだが、いつもと違う視点と考え方で、新鮮かつ非常に面白い。
そこで英語に翻訳される前の日本語記事(少し日本用に整えたもの)を下記に掲載してみた。日本人による日本の解説は「当たり前」と思われる部分もあるかもしれないが、本来は
毎日新聞「ひとシネマ」に『オッペンハイマー』原作読者目線の記事を寄稿しました
上中下とボリュームたっぷりな原作『オッペンハイマー』。この記事では、映画との相違点から見える、クリストファー・ノーラン監督はこれを言いたかったのではないか、これを強調したかったのではないかというポイントについて書きました。
映画から何かを感じたという方、原作も気になっているという方はぜひご一読いただけると嬉しいです。
▼記事はこちらから
『アインシュタインと原爆』~映画「オッペンハイマー」のお供に
映画『オッペンハイマー』において、登場シーンは少ないものの極めて重要な存在なのが「一般相対性理論」の提唱者、理論物理学者のアインシュタインだ。
原子力委員会による聴聞会へ参加するオッペンハイマーに対して、アインシュタインが話しかける。自分は国から逃げてきた身だが、オッペンハイマーは国に尽くしてきた。そんな君に対する国の仕打ちがこれかと。
アインシュタインはドイツ生まれのユダヤ人で、1933年に
映画『オッペンハイマー』の登場人物・歴史背景ガイド
「原爆の父」であるロバート・オッペンハイマーを描いたクリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』が公開。
時間のギミックや物理現象などを作品に取り入れ「難解」と言われることも多いノーラン映画だが、『オッペンハイマー』も主人公が物理学者であることに加え、物語が複数の時間軸で進むなど、例に漏れずかんたんとは言えない。
しかし今作の難易度を上げているのは、時間や物理の要素ではなく登場人物の多さ
『DUNE/デューン 砂の惑星』は映画の見比べと小説の読み比べが面白い
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『デューン 砂の惑星PART2』が公開された。PART1でアカデミー賞の美術・撮影・視覚効果賞などを獲得したように、PART2でも世界観や映像美が素晴らしいことは説明の必要がないだろう。
PART1の公開時には原作小説の新訳版を読んでみたが、今回はそれをそのまま読み返すのでなく、趣向を変えて、昭和62年に改訂版六刷の発行された矢野徹さんによる翻訳版を読んでみた。
あく
「アカデミー賞とは何か」をあらためて、選考基準や投票方法
世界で最も注目される映画賞の一つ、アカデミー賞。素晴らしい映画作品や俳優にオスカー像を贈るというざっくりしたイメージは多くの方がお持ちだろうが、もう少し解像度を上げていただくと、アカデミー賞を、映画を、より楽しめると思うので、かんたんにご紹介したい。
オスカーとは
主催団体は「映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences:AMP