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集中治療をしてきた中で得た、他人より一歩先に行く上でのbreakthroughと思える…

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集中治療をしてきた中で得た、他人より一歩先に行く上でのbreakthroughと思える知識をまとめて発信します。お金をかけて得た知識は、元を取ろうと脳が必死で覚えます。明日からの臨床が変わる講義スライドを準備したので参考にしてください。危機的出血対応は無料で見れるので参考に。

記事一覧

血管を虚脱させるのは医療者の輸液!ピトレシンやノルアドレナリン投与の目的は血管を絞めることではない

ICUにおいてショック患者におけるノルアドレナリン投与は一般的に行われます。敗血症性ショックで反応が悪ければピトレシンを投与することも多いでしょう。 上記薬剤を投与…

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3日前

医療従事者のお金の不安を取り払う!

才能ある手術室やICUの看護師が、「給与が低いから」とか「子供の兼ね合いで」と言って辞めていくことが多いです。特に最近は、転職のハードルも下がっているし、それ自体…

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7日前

眠れない患者をそのままにしてはいけない

入院中の患者さんにとって、その時最も重要なのは何でしょうか? CRPが今日下がったか? Creは下がったか? これらの情報は患者の満足度を上げることはないでしょう。 痛…

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11日前

人工呼吸器の同調性って?人工呼吸管理中のトラブルどうすれば良い?

人工呼吸器管理中にアラームが鳴ったら自信を持って対応できますか? 看護師や研修医の中には、人工呼吸器が苦手で、アラームが聞こえても聞こえなかったふりをして離れて…

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11日前

Torsade de pointsの対応をアルゴリズムで確認

重症患者の管理中に意外と高頻度で遭遇するTdp。 薬剤性のQT延長であったり、電解質異常であったり原因は様々です。 対応に関しては、通常のCPRと同様で良いものと良くない…

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3週間前

医師や看護師がバカを卒業する方法

医療従事者は、受験や国家試験をクリアしている方も多く、いわゆる知的職種と言って良いはずです。 しかし、実際に働き始めると、ほとんどの業務がルーチンワークであり創…

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4週間前

ICUで頼られる薬剤師になる!

ICUで医師は薬剤師に何を求めているのか? 医師の目線で薬剤師にお願いしたいことや知識をまとめました。 大事なのに気づいていない医師が多いです。これらに関しては薬剤…

でかぴ
4週間前

神経集中治療を要する患者に気管切開をいつ行うか

上記表題で悩まれている医師、医療チームは多いのではないでしょうか? 神経集中治療を行う患者ではさまざまな理由から抜管困難になる方が存在します。 挿管適応であるA(ai…

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1か月前

簡単に血液ガスでアシドーシスの原因を鑑別し治療方針を決める方法教えます

血液ガスに苦手意識を持っている方が多いです。 この理由は評価の手順が難しいこと、頑張って評価したところでそれほど方針の変更に影響しないことが挙げられると思います…

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1か月前
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酸素マスクのようにNPPVを使いこなす

NPPVを使いこなせるかどうかで予後や患者の治療経過が大きく変わります。 普通なら挿管に至るような呼吸不全でも、うまくNPPVを使うと挿管を回避できたり、もしくは挿管患…

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1か月前

気管切開チューブの離脱や管理中の合併症について

気管切開の適応や合併症について他のスライドで説明しました。 しかし、その後の管理については明確な基準でチューブの離脱や合併症の管理について説明したものは少ないで…

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1か月前

命に直結する気管切開チューブの管理

気管切開やその管理は、A(気道)のトラブルにつながるため命に直結します。 これを学ばずして重症患者の管理は行うことはできません。 適応に関しては、長期人工呼吸管理…

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1か月前

入院したら点滴!という当たり前を疑う

あなたは救急外来に来た患者が入院したら輸液をしますか? ほとんどの医者がハイと答えるでしょう。そしてこれが”倫理的”に正しいとされています。 あなたは救急外来に来…

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1か月前
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呼吸管理を極める!!

呼吸を深く理解することのメリットはいろいろあります。 まず、呼吸はバイタルの中で患者の状態悪化を最も早期に知らせてくれるものだということ。病棟の急変患者のデータ…

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1か月前

科学的根拠に基づくフロセミドの使い方

「心不全で溢水があるから利尿剤で水を引こう!」 「引き過ぎによる腎前性腎不全も怖いから1/2Aだけフロセミドivして!」 こんな指示を良く聞きます。 そして次の日、「腎…

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1か月前

人工呼吸管理の基本は肺を悪くしないこと≒「コンプライアンスに応じた一回換気量制限」

題名の内容が全てだと思います。 これを忘れ、正常な血液ガスを求めても予後改善は得られません。 それでは、急性期を脱するまで肺を保護するにはどのように管理すれば良…

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1か月前
血管を虚脱させるのは医療者の輸液!ピトレシンやノルアドレナリン投与の目的は血管を絞めることではない

血管を虚脱させるのは医療者の輸液!ピトレシンやノルアドレナリン投与の目的は血管を絞めることではない

ICUにおいてショック患者におけるノルアドレナリン投与は一般的に行われます。敗血症性ショックで反応が悪ければピトレシンを投与することも多いでしょう。
上記薬剤を投与する目的はなんでしょうか?血管を締めて血圧を上げることだと思っている方が多いと思いますが、正確には少し違います。
「ショックで末梢が締まっているのに、さらに上記薬剤を投与したら循環不全になる。まずはwetになるまで輸液だ!」と言う医師は

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医療従事者のお金の不安を取り払う!

医療従事者のお金の不安を取り払う!

才能ある手術室やICUの看護師が、「給与が低いから」とか「子供の兼ね合いで」と言って辞めていくことが多いです。特に最近は、転職のハードルも下がっているし、それ自体は悪いことではないと思います。人生100年時代、その時の環境に合わしてライフスタイルが変わるのは当然と言うべきです。
しかし、「やりたい事ではないけど給与が良いから」という理由だけで転職した場合、次の職場の給与に慣れてきたらどうしますか?

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眠れない患者をそのままにしてはいけない

眠れない患者をそのままにしてはいけない

入院中の患者さんにとって、その時最も重要なのは何でしょうか?
CRPが今日下がったか?
Creは下がったか?
これらの情報は患者の満足度を上げることはないでしょう。

痛みのコントロールがついているか?
よく眠れているか?
こういったQOLに関わることが患者にとって何より重要ではないでしょうか?

中でも睡眠は非常に重要な要素であり、体力の回復や免疫能の向上だけでなく、脳も休めてせん妄の予防や治療

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人工呼吸器の同調性って?人工呼吸管理中のトラブルどうすれば良い?

人工呼吸器の同調性って?人工呼吸管理中のトラブルどうすれば良い?

人工呼吸器管理中にアラームが鳴ったら自信を持って対応できますか?
看護師や研修医の中には、人工呼吸器が苦手で、アラームが聞こえても聞こえなかったふりをして離れてしまう方もいるかもしれません。

「人工呼吸器」の定義は、患者の呼吸を把握し、それに追従して圧をかけたり、換気量を制御することです。つまり、人工呼吸器がついている患者では、患者がどのような呼吸をしているか機械がモニタリングしてくれているわけ

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Torsade de pointsの対応をアルゴリズムで確認

Torsade de pointsの対応をアルゴリズムで確認

重症患者の管理中に意外と高頻度で遭遇するTdp。
薬剤性のQT延長であったり、電解質異常であったり原因は様々です。
対応に関しては、通常のCPRと同様で良いものと良くないものがあります。
特殊性を理解して適切な対応ができるようにしておきましょう。

経過をモニターで振り返ると、徐脈とQT延長をきっかけにPVCが出現。これが原因でRonTになることがほとんどです。
つまり徐脈にしないことがポイントで

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医師や看護師がバカを卒業する方法

医師や看護師がバカを卒業する方法

医療従事者は、受験や国家試験をクリアしている方も多く、いわゆる知的職種と言って良いはずです。
しかし、実際に働き始めると、ほとんどの業務がルーチンワークであり創造的な仕事が少ないことも多いかと思います。これは非常にもったいない事です。
しかしこのことにほとんどの人間が気づかず、効率の悪い業務を継続しています。

つまり、これに気づいて馬鹿を抜け出せば、簡単に周りから一歩抜きに出た存在となることがで

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ICUで頼られる薬剤師になる!

ICUで頼られる薬剤師になる!

ICUで医師は薬剤師に何を求めているのか?
医師の目線で薬剤師にお願いしたいことや知識をまとめました。
大事なのに気づいていない医師が多いです。これらに関しては薬剤師の方から積極的に提案していただくとスムーズに治療が進むと思います。

具体的には

これらについて薬剤師の方から医師と知識の共有、提案をしていただきたいです。
これは個人的な意見ですが、誰もが思っている事だと思います。

特に腎機能に

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神経集中治療を要する患者に気管切開をいつ行うか

神経集中治療を要する患者に気管切開をいつ行うか

上記表題で悩まれている医師、医療チームは多いのではないでしょうか?
神経集中治療を行う患者ではさまざまな理由から抜管困難になる方が存在します。
挿管適応であるA(airway)B(breathing)C(circulation)D(disfunction of CNS)が改善すれば抜管できますが、神経集中治療領域においては、このABCDの完全な改善が難しい患者が多いです。
意識レベルが悪く、舌根沈

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簡単に血液ガスでアシドーシスの原因を鑑別し治療方針を決める方法教えます

簡単に血液ガスでアシドーシスの原因を鑑別し治療方針を決める方法教えます

血液ガスに苦手意識を持っている方が多いです。
この理由は評価の手順が難しいこと、頑張って評価したところでそれほど方針の変更に影響しないことが挙げられると思います。
「頑張って評価しても、治療方針変わらないからいいや!」ってなるのはごく自然な流れです。

今回は簡易スチュワート法を紹介します。
この方法のメリットは計算が簡単であることと、アシドーシスやアルカローシスの定性だけでなく、定量化もできるこ

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酸素マスクのようにNPPVを使いこなす

酸素マスクのようにNPPVを使いこなす

NPPVを使いこなせるかどうかで予後や患者の治療経過が大きく変わります。
普通なら挿管に至るような呼吸不全でも、うまくNPPVを使うと挿管を回避できたり、もしくは挿管患者の抜管を早めたりすることができるかもしれません。
NPPVは使用頻度が高い施設ほど、その成績が良いことがわかっており、スタッフの慣れやコツを掴んでいるかが重要です。
NPPVは一見仰々しくて使用するハードルが高いと感じる方もいるか

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気管切開チューブの離脱や管理中の合併症について

気管切開チューブの離脱や管理中の合併症について

気管切開の適応や合併症について他のスライドで説明しました。
しかし、その後の管理については明確な基準でチューブの離脱や合併症の管理について説明したものは少ないです。
これについて詳しくスライドを作ったので参考にしてください。

簡単に言えば、気管切開の適応を離脱すればチューブを抜去できる訳ですが、
その間のスピーチカニューレはどのタイミングで適応になるか?、嚥下はさせても良いのか?などについても説

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命に直結する気管切開チューブの管理

命に直結する気管切開チューブの管理

気管切開やその管理は、A(気道)のトラブルにつながるため命に直結します。
これを学ばずして重症患者の管理は行うことはできません。

適応に関しては、長期人工呼吸管理が必要になった患者で検討されます。気管切開には以下のメリットがあり適応を満たせば施行するべきです。
①チューブ不快の軽減
②気道抵抗の減少(チューブが挿管チューブと比べて短くなる)
③容易な入れ替え、交換
④スピーチへの交換
逆に上記メ

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入院したら点滴!という当たり前を疑う

入院したら点滴!という当たり前を疑う

あなたは救急外来に来た患者が入院したら輸液をしますか?
ほとんどの医者がハイと答えるでしょう。そしてこれが”倫理的”に正しいとされています。
あなたは救急外来に来た患者が入院したら抗菌薬を投与しますか?
これに対しては、感染がなければ投与しないという医者がほとんどではないでしょうか?本来、適応がないのに治療を行うことはあり得ません。
上記抗菌薬の例がそうです。
しかし、輸液に関しては誰も適応を考え

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呼吸管理を極める!!

呼吸管理を極める!!

呼吸を深く理解することのメリットはいろいろあります。

まず、呼吸はバイタルの中で患者の状態悪化を最も早期に知らせてくれるものだということ。病棟の急変患者のデータを調べると、呼吸数の変化はかなり早い段階から現れていることがわかります。また、敗血症の早期所見として呼吸数増加は皆さんも良く経験することだと思います。

そして呼吸はバイタルの中で唯一自己調整が効くということ。
一時的に心臓を止めることは

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科学的根拠に基づくフロセミドの使い方

科学的根拠に基づくフロセミドの使い方

「心不全で溢水があるから利尿剤で水を引こう!」
「引き過ぎによる腎前性腎不全も怖いから1/2Aだけフロセミドivして!」
こんな指示を良く聞きます。
そして次の日、「腎機能が悪化しているな。引きすぎたから利尿はやめて輸液負荷だ!臓器障害が悪化しないようにwetに管理して行こう」「なかなか良くならないな、抜管は程遠いな…」
皆さん、こんな会話していませんか?

普段の心不全、溢水治療を行う上で
①溢

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人工呼吸管理の基本は肺を悪くしないこと≒「コンプライアンスに応じた一回換気量制限」

人工呼吸管理の基本は肺を悪くしないこと≒「コンプライアンスに応じた一回換気量制限」

題名の内容が全てだと思います。
これを忘れ、正常な血液ガスを求めても予後改善は得られません。

それでは、急性期を脱するまで肺を保護するにはどのように管理すれば良いのか?
これは一言で言うなら、「コンプライアンスに応じた一回換気量に制限すること」と言いきれます。

大事なのは圧ではなく、絶対に一回換気量です。
肺はバネの法則に従います。バネがバカになって伸びきってしまうのは、一定の伸びを超えて引き

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