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集中治療をしてきた中で得た、他人より一歩先に行く上でのbreakthroughと思える…

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集中治療をしてきた中で得た、他人より一歩先に行く上でのbreakthroughと思える知識をまとめて発信します。お金をかけて得た知識は、元を取ろうと脳が必死で覚えます。明日からの臨床が変わる講義スライドを準備したので参考にしてください。危機的出血対応は無料で見れるので参考に。

最近の記事

簡単に血液ガスでアシドーシスの原因を鑑別し治療方針を決める方法教えます

血液ガスに苦手意識を持っている方が多いです。 この理由は評価の手順が難しいこと、頑張って評価したところでそれほど方針の変更に影響しないことが挙げられると思います。 「頑張って評価しても、治療方針変わらないからいいや!」ってなるのはごく自然な流れです。 今回は簡易スチュワート法を紹介します。 この方法のメリットは計算が簡単であることと、アシドーシスやアルカローシスの定性だけでなく、定量化もできることです。 つまり、複数アシドーシスやアルカローシスが併存している場合に、どの項目

    • 酸素マスクのようにNPPVを使いこなす

      NPPVを使いこなせるかどうかで予後や患者の治療経過が大きく変わります。 普通なら挿管に至るような呼吸不全でも、うまくNPPVを使うと挿管を回避できたり、もしくは挿管患者の抜管を早めたりすることができるかもしれません。 NPPVは使用頻度が高い施設ほど、その成績が良いことがわかっており、スタッフの慣れやコツを掴んでいるかが重要です。 NPPVは一見仰々しくて使用するハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。人によっては、酸素マスクは気軽につけれるけどNPPVまではちょっと

      • 気管切開チューブの離脱や管理中の合併症について

        気管切開の適応や合併症について他のスライドで説明しました。 しかし、その後の管理については明確な基準でチューブの離脱や合併症の管理について説明したものは少ないです。 これについて詳しくスライドを作ったので参考にしてください。 簡単に言えば、気管切開の適応を離脱すればチューブを抜去できる訳ですが、 その間のスピーチカニューレはどのタイミングで適応になるか?、嚥下はさせても良いのか?などについても説明していきます。 合併症について、最も危険なものは気管腕頭動脈瘻からの気管内出

        • 命に直結する気管切開チューブの管理

          気管切開やその管理は、A(気道)のトラブルにつながるため命に直結します。 これを学ばずして重症患者の管理は行うことはできません。 適応に関しては、長期人工呼吸管理が必要になった患者で検討されます。気管切開には以下のメリットがあり適応を満たせば施行するべきです。 ①チューブ不快の軽減 ②気道抵抗の減少(チューブが挿管チューブと比べて短くなる) ③容易な入れ替え、交換 ④スピーチへの交換 逆に上記メリットがない場合には必須ではありません。早期気管切開のVAP予防や予後改善効果に

        簡単に血液ガスでアシドーシスの原因を鑑別し治療方針を決める方法教えます

          入院したら点滴!という当たり前を疑う

          あなたは救急外来に来た患者が入院したら輸液をしますか? ほとんどの医者がハイと答えるでしょう。そしてこれが”倫理的”に正しいとされています。 あなたは救急外来に来た患者が入院したら抗菌薬を投与しますか? これに対しては、感染がなければ投与しないという医者がほとんどではないでしょうか?本来、適応がないのに治療を行うことはあり得ません。 上記抗菌薬の例がそうです。 しかし、輸液に関しては誰も適応を考えることなくルーチンで施行している現状がありませんか? 「急性疾患患者は脱水だか

          入院したら点滴!という当たり前を疑う

          呼吸管理を極める!!

          呼吸を深く理解することのメリットはいろいろあります。 まず、呼吸はバイタルの中で患者の状態悪化を最も早期に知らせてくれるものだということ。病棟の急変患者のデータを調べると、呼吸数の変化はかなり早い段階から現れていることがわかります。また、敗血症の早期所見として呼吸数増加は皆さんも良く経験することだと思います。 そして呼吸はバイタルの中で唯一自己調整が効くということ。 一時的に心臓を止めることはできませんが、呼吸を止めることはできます。 だから、食事を取ったり水中で息を止め

          呼吸管理を極める!!

          科学的根拠に基づくフロセミドの使い方

          「心不全で溢水があるから利尿剤で水を引こう!」 「引き過ぎによる腎前性腎不全も怖いから1/2Aだけフロセミドivして!」 こんな指示を良く聞きます。 そして次の日、「腎機能が悪化しているな。引きすぎたから利尿はやめて輸液負荷だ!臓器障害が悪化しないようにwetに管理して行こう」「なかなか良くならないな、抜管は程遠いな…」 皆さん、こんな会話していませんか? 普段の心不全、溢水治療を行う上で ①溢水の治療を始めた後に腎機能データが悪化した場合には引き過ぎなのか? ②フロセミド

          科学的根拠に基づくフロセミドの使い方

          人工呼吸管理の基本は肺を悪くしないこと≒「コンプライアンスに応じた一回換気量制限」

          題名の内容が全てだと思います。 これを忘れ、正常な血液ガスを求めても予後改善は得られません。 それでは、急性期を脱するまで肺を保護するにはどのように管理すれば良いのか? これは一言で言うなら、「コンプライアンスに応じた一回換気量に制限すること」と言いきれます。 大事なのは圧ではなく、絶対に一回換気量です。 肺はバネの法則に従います。バネがバカになって伸びきってしまうのは、一定の伸びを超えて引き延ばされた時ですね?理科で習ったと思います。バネの伸びとは肺で言うところの一回換

          人工呼吸管理の基本は肺を悪くしないこと≒「コンプライアンスに応じた一回換気量制限」

          無益であると思いながら、家族に「心臓マッサージを希望しますか?」って聞くのはなぜですか?

          高齢社会、2025年問題間近で病院には患者が溢れています。 脳梗塞やパーキンソン、認知症で廃用して、施設で寝たきり。このような患者はどこの施設でも多いことでしょう。 このような方が肺炎や尿路感染で急性期病院に来たら… 上級医が「DNARとっとけよ!」と言う場面をよく目にします。「DNAR取れました!」と嬉しそうに、達成感を持って上司に報告する若手もよく目にします。 DNARは医療従事者にとって最強のアイテム(免罪符)かのように扱われ、これが取得されると一安心みたいなムードは

          無益であると思いながら、家族に「心臓マッサージを希望しますか?」って聞くのはなぜですか?

          ICUの感染症はとりあえずメロペネム、バンコマイシンでO.K.?

          上記の臨床疑問はどこの病院でも出てくる課題ではないでしょうか? 偏見かもしれませんが、どこの病院でも、熱が出たらこの2つの抗菌薬を初めていないと、次の朝機嫌を悪くするモラハラ医師が一定数存在します。(言い過ぎか!?) 上級医の先生がそのストラテジーなので、当然下もこれに前習え… これがごく普通になっていませんか? 彼らは口を揃えて「俺たちは1週回ってここに辿り着いた!」と言いますが、こちらからすると 1週回らずに途中で諦めて戻ってきちゃったんでしょ?と思ってしまいますね。 し

          ICUの感染症はとりあえずメロペネム、バンコマイシンでO.K.?

          AHA の蘇生アルゴリズムは頑張って覚えなくても大丈夫です!!

          AHAの提唱する上記アルゴリズムを覚えるのは大変。 覚えてないならアルゴリズムを見ながらやるかというと複雑すぎて緊急時に見ながら使えるようなものではないですね!! それに、 5または7とか、10または11ってどのように判断して進むの?って疑問に思う方もいるかもしれません。 これらの意図を汲み取って、もっとシンプルに覚えていきましょう。 三つの原則だけ覚えれば実は何も困りません。 具体的には 2分おきにモニターチェックしながら ①ショック適応リズムなら迷わず除細動してすぐ

          AHA の蘇生アルゴリズムは頑張って覚えなくても大丈夫です!!

          重症患者の救命に全力を尽くしている人にこそ見てほしい!! 救命の諦め方

          どんな時も患者を救命しようとすることは素晴らしい。 しかし、それが本当に正解かどうかわからない時もあると思います。 逆に患者を苦しめていると感じて、医療従事者が精神的苦痛を感じることもあると思います。 救命を諦めて、緩和を優先する時 我々は倫理的、法的にどのようなことに気をつければ良いのか?その根拠は? 救命できなければ、我々は負けなのでしょうか? 救命できなくても、患者と家族と医療医従事者が満足できる医療を目指しましょう。 以下にまとめました。長いスライドになってしま

          重症患者の救命に全力を尽くしている人にこそ見てほしい!! 救命の諦め方

          神経保護は何より最優先!!自信もってICP(頭蓋内圧)マネージメントできてますか?

          ICPマネージメントの基本を押さえましょう。 ICP管理で重要なのはICPの値だけを見るのでなく、CPP(脳灌流圧)が維持できているかを意識することです。 CPP=MAP(平均血圧)-ICP CPPは60mmHg以上が目標です。これ以下では脳虚血で二次性脳損傷が進む可能性があります。 例えば、脳出血だからといって血圧を下げすぎると、いくらICPが制御できていてもCPPが低下して二次性脳損傷を進めることになります。 実際に脳出血においても血圧の下げ過ぎ(SBP130以下)は予後

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          危機的出血時の対応は大丈夫ですか?

          危機的出血は地震のように突然やってきます。 当たり前ですが、「明日大量出血の患者が来そうだからみんなでシミュレーションして、輸血早めにオーダーしとこう!」なんてことはあり得ません。 常に準備しておく必要があり、大規模施設ではプロトコール(MTP:massive transfusion protocol)の作成が推奨されております。 異型適合輸血の判断や型合わせは覚えるのは困難でしょう。 また、最近はDOACを内服した患者も増えておりますが、拮抗薬の組み合わせや投与法も、煩雑

          危機的出血時の対応は大丈夫ですか?

          ICUの血糖管理ってもっと簡単にならないの?

          急性期の高血糖や血糖変動は患者予後に影響を及ぼすため、ICUでは頻回に血糖測定を行います。しかし、これが医療スタッフの業務を増やしたり深夜の患者の睡眠を妨げる原因になってはいませんか? また、入院患者の低血糖イベントはだいたい朝の採血で気づかれて慌てて対応されることがほとんどです。つまり、深夜はスタッフも少ないし、患者も寝てるので症状の確認も取れない。このようなことが重なってイベントがどうしても多くなると考えられます。 低血糖になったら勝手に機械が教えてくれたらいいのに!

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          HFpEF SGLT2阻害薬がいいのはわかったけど、急性期どう見極めて、どう管理するか誰も教えてくれない!!

          現在心不全のうち半分はHFpEF、つまり収縮の保たれた心不全と言われます。SGLT2阻害薬などの有効性が証明されてきており今後も注目される病態といえます。 しかし皆さんはこのような患者さんを実際に臨床でどのように見極め、どのように介入していますか? 慢性期の管理として今後上記のSGLT2阻害薬の投与は検討されますが、急性期にどのように管理すればいいか教えてくれる教科書はなかなかありません。 なぜ彼らは心機能が保たれているのに、心不全を呈するのか?心拡大を呈する患者よりも急

          HFpEF SGLT2阻害薬がいいのはわかったけど、急性期どう見極めて、どう管理するか誰も教えてくれない!!