見出し画像

入院したら点滴!という当たり前を疑う

あなたは救急外来に来た患者が入院したら輸液をしますか?
ほとんどの医者がハイと答えるでしょう。そしてこれが”倫理的”に正しいとされています。
あなたは救急外来に来た患者が入院したら抗菌薬を投与しますか?
これに対しては、感染がなければ投与しないという医者がほとんどではないでしょうか?本来、適応がないのに治療を行うことはあり得ません。
上記抗菌薬の例がそうです。
しかし、輸液に関しては誰も適応を考えることなくルーチンで施行している現状がありませんか?

「急性疾患患者は脱水だから輸液が必要だ!」
「栄養や電解質が入らなければ非倫理的でないか?維持輸液するべきだ!」
このようにおっしゃる方がいるでしょう。
しかし、脱水があるならなぜその場で補正しないのでしょうか?
あえて維持輸液でゆっくり脱水を補正する必要はなく、救急外来で適正化して入院すれば良いはずです。
輸液の適応がある時に輸液をし、適応がない時には輸液をしない。
これは、喉が渇いた時に水を飲むと美味しく、喉が渇いていないのに水を飲むのは辛いのと同じだと思います。
栄養や電解質補正に関しても同じです。不足があれば補うし、不足がなければ投与する必要ないはずです。
本当に栄養不良や電解質異常があるなら3号液等の輸液でなく適切な組成で補うべきでしょう。漫然と維持輸液を入れていても適正化されるはずがありません。
入院患者のミネラルの推移を見れば一目瞭然です。

患者によって必要なミネラルや水分量は大きく異なります。これを評価して適応に応じて輸液を行うべきです。
急性期SIADの病態に対して不必要な輸液を行うことは逆に低ナトリウム血症などの電解質異常を招きます。
全ての治療にはメリットのみでなく害があります。抗がん剤や抗菌薬のみでありません。輸液も同じです。輸液は常に患者に保護的に働くというのは間違いで、近年輸液の弊害は多く報告されています。

輸液の意義、適応、投与の仕方、害などについてエビデンスや生理学的知識を交えてスライドにまとめました。参考にしてください。


ここから先は

0字 / 1ファイル

¥ 298

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?