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おりたらあかんの読書ログ

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年間100冊を15年間続けてきました。でも、本当に知らないことばかり!というかアウトプットがまだ少ないなあと感じています。過去に読んだ本は「読書ログ」としてまとめてきたので、それ…
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#自由

北川東子「ハイデガー」NHK出版

北川東子「ハイデガー」NHK出版

ハイデガーの「存在と時間」を前に途方にくれているのもつまらないので、入門書!ということで図書館でこの本を借りてきた。「シリーズ・哲学のエッセンス」の中の一冊だ。こういう入門書は大事だよなぁ^^!

「存在」の専門家がいてもいいじゃないか?

そんな問いかけから始まった。ハイデガーが試みた「基礎存在論」「現存在分析」。これで我々の存在をある程度考察できる。存在論とは「存在そのもの」について考える思考

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木崎喜代治「幻想としての自由と民主主義」ミネルヴァ書房

木崎喜代治「幻想としての自由と民主主義」ミネルヴァ書房


この本に出会った時は「あたり!」って感じだったのを今でも覚えている。
参議院選挙でまた「その場限りの虚構を演じる政治家たち」の熱弁を聞かされると思うと気が重いが、自由とか民主主義を考え直す機会とするならいい機会かもしれない。本著はこういった問題意識に存分に多くを示唆してくれている。

著者は「勉強しない自由」を主張するある大学生の話を聞いて、反論できなかった教授の反応から、きっかけを得たという。

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鈴木大拙「一真実の世界」近藤書店

鈴木大拙「一真実の世界」近藤書店

昭和16年発行のセピア色の本。当時の科学万能主義に疑問を呈し、「自然の反逆児」としての人間の性を直視する姿に共感する。

大拙はこの人間社会の限界を超克するものとして「霊性」を掲げており、それに目覚める道として「禅」の心を説いている。

3次元の世界に凝り固まって自分の世界を狭くしている人間に「脱次元の発想」を提案している。

弱肉強食を良しとする西洋的思考法の限界を厳しく指摘し、彼は東洋思想との

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金子兜太「わたしの骨格『自由人』」NHK出版

金子兜太「わたしの骨格『自由人』」NHK出版

以前、この人から「産土」と「荒凡夫」を学んだ。

それは俺にも十分響くものだった。彼は実に無邪気な側面をもっている。所謂「正義感」だ。これを持つ人こそが「健全な精神の持ち主」なのだという。大いに同感だ。「いじめる奴」と「守る奴」がいるとしたら、絶対に「守る奴」になる。「誰かの役に立つ」とかいうきれいごとじゃなくて、「弱きものの側に立って守る」という「正義感」に立つ彼の思想は、俺のスタイルとかなり重

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E.フロム「自由からの逃走」創元社

E.フロム「自由からの逃走」創元社

昭和27年(1952年)に発行されたセピア色の版で読んだ古典は本当に素晴らしかった。久しぶりに言葉に力と深さがあってゾクッとくる本に出会った。表題の「自由からの逃走」は今に通じるものである。この本が出た1941年はナチスドイツの熱狂がヨーロッパを震撼させていた時期であり、ユダヤ系ドイツ人のフロムはその中で人々の「自由からの逃走」を目の当たりにし、歴史にメスを入れながら作業を展開していったようだ。彼

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