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2022年8月の記事一覧

誰かと似た人

私と別れた貴方は
誰かと似た人と
偽りの幸せを掴んで
死んで逝くのでしょう
私の事など
跡形も無く忘れて
貴方と別れた私は
貴方に似た人を
探したりはしない
虚しさだけが安い胸に
響き続けるから

砂嵐

異国の街は
砂嵐が酷くて
貴方を見失いそうになる
だから握った手を
如何か離さないで
異国の空が
赤く燃えて
爆音と熱風が走る
息を潜め
手を取り合って
僕達の国へ帰ろう
二人の幸せは
探せやしないけど

ピース・ハート・バード

去り逝く夏の砂浜で
貴方を探した夜
漁火も空を羽ばたく酉も
探せない僕は
心を失くしたのだろう
不自由なきこの国で
取り戻せやしないで
僕は死んでしまうんだね
母がそうだったように
束の間の平和を感じる事も無く

ヴァルハラへ落ちる

敬虔なる者は
死してヴァルハラへ
信仰ある者は
死んでヴァルハラへ
信じない者は
死が来てヴァルハラへ
唯、落ちて逝く
生まれ変わる事叶わず
塵となりグラズヘイムを漂う

壊滅

売れない絵画を
描き続ける狂人
油絵の具やキャンバスの
代金を借りてまで
描こうとするその姿は
他人に理解される事は無く
彼は気違いと揶揄された
髑髏の様に沈んだ眼で
血を吐きながら日々は過ぎ
彼は無数の作品の中で
その短く揺れる生涯を終えた
買い手が付かなかった無数の作品は
今や投資目的で買い漁られる
幾ら評価が追い付こうとも
彼の真相は闇に沈んで
誰も調べようとはしなかった
其処に彼の価値など

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自殺する蛾

理由も無く彷徨い
自殺する蛾
生に価値は無いと
本能が知っているから
自らその命を絶つ
個の意志を持たない
彼らは等しく
死に意味を求めず
誘蛾灯で骸を燃やす

全てを止める

彼がRZ350で
街を流せば
夜の街は
光の洪水で溢れた
轟音と灼けたオイルの
匂いに抱かれて
コールを切れば
全てを止めれた
時間も命も権力さえも
何もかも掌の上だった
幾何の時が過ぎ去り
使役する側に
為りたくないと
あいつは言い残して
俺の前から消えた
綺麗過ぎる
RZ350を残して

錆びた鋼花

錆びた鋼花が
枯れる街に
降り立つならず者
まともな心を保てない
民衆は悪魔に縋り付き
他人の命を捧げる
ならず者は魂を売った
民衆を全て殺す為に
焼夷弾を使って
街を消えない炎で埋め尽くす
叫びすら掻き消える中を
静かに歩くならず者
人から遥か遠く離れた
彼に鋼花は似合わない

メロンミルク

カラマッゾのバーで
メロンミルクを飲む不良
愚連の日々は遠過ぎて
灰すら残せずに消えたよ
まともな振りをして
社会に溶け込んでも
隠し切れない衝動が時に
些細な事で顔を出す
巧く生きられやしないのは
貴方だけじゃない筈さ
醒めきった夜に溺れて
許されざる朝が街に訪れる
みな何処に逝くかなんて
あり振れた事を言うのは止めてくれ

矛盾抱擁

静寂の鐘が鳴り
貴方は私の知らない人と
幸せに為るだろう
矛盾に抱擁されても
私達は戻れない
誰かの描いた道を
蟲の様に這いずり逝くだけ
疑問すら抱けずに
夜に羽ばたく事すら叶わず

ブラッド・レイン

寂しがり屋の街に
血の雨が降る
それはすぐ固まって
取れない染みへ変わった
望まなくとも
降り注ぐだけ
延々と終わらない
WW3みたいに

髑髏の稽古着

髑髏の稽古着を
羽織る獣は
死に場所を探す
生き残ってしまった
罪を清算する為に
歓楽街の中心部で
3号コアを臨界させ
それで終わる筈だった
人である事もやめた
貴方は獣ですらないと
知らない声と僅かな音の後
彼は命の幕を下ろされた
過去を振り返らない
マーロウの手によって

三原色のカフェ

夜にだけ開くカフェで
レモンパイとジャワティを
頼んでテラスで食べよう
貴方と私以外の
時を止めたならば
貴方は人の悲しみを
好きなだけ吐露すればいい
人では無い私には
感情は分からないけど
三原色をただ眺めて
時を過ごしたりもするんだ
酸味のあるレモンパイに
無糖のジャワティは良く合う
それは素敵な事なんだと
私は何となく理解したんだ
しばらく二人だけの時間を
こうして静かに楽しもう
人の時は余

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国葬

第3次世界大戦に負け
1000垓で売られた
この国の最後の日に
皆何を話すのだろう
在りし日の思い出や
他愛の無い出来事を
振り返りながら
涙を零すのだろうか
明日からは全ての物を
異国に抱き抱えられ
私達はこの国を葬る
記憶の彼方へ
そして他の国が捨て去った
寂れた土地へ移される
二度と戻れない祖国は
快楽とドラッグに染まるだろう
確実な死を携えた
四人の騎士を出迎えて