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彼は何時からか
焔と言われ恐れられ
動く者は皆撃ち殺した
拳銃が燃え盛ろうとも
それを離せなかった
不治の病に冒されて
余命僅かと言われても
彼は仕事をやり続けた
他に生き方を何も
知らなかったから

リバーサイド川崎

白いZ400FXを
愛して止まない不良少年
KERKERの直管が
公道を包んで爆ぜた
夢は何時か醒めるなんて
虚しい言葉を吐いたりしない
俺達は老いさらばえるまで
ずっとライダーなのだから

星に願いを

知らない誰かの不幸が
テレビジョンから流れ
発狂する振りをした
何も感じやしないのに
遠くに消えた星に願いを
世界が終わります様に
そんな願望すらも
届きやしないんだね

寂れた街のカフェ

真夜中が顔を出す時
店を開けるカフェで
レモンパイを買おう
愛しい人の為にさ
寂れた街に佇む
この店は何時も素敵で
どこか寂しかった
貴方の横顔みたいに

美しい絵

有名な画家が
書き残した
美しい絵に
莫大な金額が
掛けられた
何が美しいのか
本当は誰も知らない
書いた本人でさえも

真夏の雪を

病院のベットの上で
貴方は雪が見たいと呟く
夏に差し掛かる季節は
幻の様に掴めない
もう治る見込みがないと
悟った貴方は孤独な夜に
自らその命を絶った
真夏の雪を眺める事なく

メタルパレード

必要な物を
盗み出して
鉄屑の街を去る
虹の盗賊団
鋼で作られた
兵士に追われ
茨の森へ消えた
パレードの様に

十三夜月

夜を統べる者が
見上げた空に
浮かぶ十三夜月
全てを支配した
その後に必ず彼は
使役するだろう
見えない力に體を
操られながら

泣いている人

白けたバーの
カウンターで
黙って泣いている人
テーブルに置かれた
カクテルの中の
氷が水へ還ろうとも
涙は止まらない
直ぐに時は過ぎて
彼女は帰って逝った
何時もの日常へ

安い言葉

安い言葉を
作り売るのが
彼の仕事
欲しがる者は
沢山いるから
困る事など
何もなかった
自由で不自由な
この国では